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不思議な種

私、ある惑星の発明家です。

故郷の惑星から遠くの惑星に引っ越して来ました。

私、

遠くの惑星の村の丘に、

小さな畑と小さな家を作りました。

とても自然豊かで最高です。

そう言えば近所の村で、

近々、収穫祭があるそうです。

ウフフ。

私、

自前の宇宙服で参加しようと思っています。

(う、きつい。

ちょっと太ったかな?)

うん。

幸せ太りってやつですよ。


                    ーろくでなしー


ろくでなし「う〜さむい。

寒すぎる。

昨日、

追いはぎにあってお金と服をもってかれた。

何か着る物ないかな〜。

お、

あんな所にボロボロのカーテンがある。」

                     
                         ー収穫祭ー


発明家が丘の家から村まで降りると、

村には、

子供たちが魔法使いの格好や、

貴族の格好をして、

ワイワイはしゃいでいました。

そして村の広場では…。

村の収穫祭には似つかわしくない、

2m以上の翼を持った赤い悪魔が、

馴染みのない商売を始めていました。

発明家「いらっしゃい。いらっしゃい。

今日は、

畑に撒くと2日で作物がなる不思議な種を、

家から持って来たよ〜。

お買いどくだよ〜。」

しかし、

2m以上の翼を持った赤い悪魔の見た目に、

ビックリし過ぎた村人は、

一目散に遠くまで、

走って行ってしまいました。

発明家「おかしいですね〜。

この種は、

故郷では飛ぶように売れたヒット商品なの

に。」

赤い悪魔が頭をひねっていると、

ボロボロのカーテンを身にまとった男が、

近づいて来てこう言いました。

ろくでなし「何でも言う事を聞きますので、

私に食べ物を分けてくださ〜い!

お願いします!」

と頭を下げてお願いしました。

(沈黙)

発明家「分かりました。

いいでしょう。

この種で村のみんなに、

美味しい作物を作ってあげてください。

そして、

この村の丘に、

私の家と畑があります。

それもあなたに差しあげます。」

ろくでなし「???…。

ええ!!

良いんですか!?

ありがとうございます!!

信じられない!!

あなたは命の恩人だ。」

そして、

発明家は、

ジュゴーーーー!!!

と、

背中のエンジンをふかしあげ、

空の彼方に飛び立ってしまいました。

数日後、

ボロボロのカーテンを身にまとったろくでなしは、

ふもとの村まで作物を運び、

ろくでなし「すいませ〜ん。

どなたか私の作物と服を交換してもらえませんか??」

と村人にお願いしました。

すると、

村人は彼の食べ物の質と量を見るやいなや、

彼を「神」と呼び始め、

村人はろくでなしを村に受け入れました。

そして長い間、

村はとても栄えたそうです。

…。

そうそう、

ところであの赤い悪魔はどうなったかと言うと、

発明家「やっぱり故郷の惑星が1番落ち着きますね。」

と言って惑星にUターンして行きました。

ところで彼の職業は、

「惑星地域促進センター 主任」だったそうです。

ちょっと「神様」に似た資格を持っていた、

お役職ではありませんか?

ビュー。

おや?

今度は、

青い宇宙服を着た仲間が、

発明家とすれ違い通り過ぎて行きました。

あの人はこれから、

一体どこに行くのでしょう?

                     
                        ー終わりー












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