⑨鬼ふうじ小平と形塚龍三⑴

浮き世平原の戦さから二日後の午前。

形塚龍三は、

現在の君主、バック ディナーから授かった、

吸血鬼退治用の杭を、

外出用の着物のふところに収めた。

一方その頃…。

鬼ふうじ小平は、

今日の夜、

一太刀と浮き世騒動の今後について、

熱く語る事を楽しみにしながら、

午前中の内から、

一太刀の母家界隈で釣りを始めていた。

小平「早く、夜が来ないかの〜。

いったい何を話そうかの〜。

いや〜、楽しみだ。」

そして、

何時間か過ぎて、

小平は暇を持て余していた。

小平「…釣れん。

全く、釣れん。

…暇だ。」

と言い、

ため息をついていた所、

小平は釣り竿を横に置いて、

ふいに起立しその場で深呼吸をし始めた。

そして、

深呼吸をし、息を整え終わると、

海辺をゆっくりと一望し、

何か変わったものがないか探した。

小平「…。

う、う〜むぅ…。

…。

はい!

異常ありません!!…。」

と、

ふざけて見てたものの周りには人一人、居ない。

…。

そう言うはずだった。

暇を持て余していた小平が、

夜に集まる一太刀の母家をちらりと見ると、

その母家付近に、

なんだか、

黒い覆いを着けた怪しげな格好の侍を、

見つてしまった。

…。

小平「!?

何者だ??」

その黒い侍は、

一太刀の母家へ一直線に歩いている様子だった。

小平「…なんだ!?

怪しい奴がいる。

何か危ない雰囲気も出している。

…。」

小平はこれ以上黒い侍を、

ほおって置けなかったので、

黒い侍の方まで全力で走っていった。

タ、タ、タ、タ、タ、タ…。

一方で、黒い侍が、

一太刀の母家の戸を引いた所、

急いで飛んで来た小平が、

小平「…ハア、ハア…。

おい、お主なにをしている?

ここは私の友人が住んでいる所だ。

まだ寝ている。

そっと…。」

黒い侍「!!?

こ、小…。」

黒い侍は右手に大きい尖った杭を持って、

何かをしようとしていた。

小平「!!?

き、貴様ーーー!!、

その杭で何を!!?」

黒い侍「…む。

…刀を抜けい!!」

黒い侍がいきなり真剣勝負を挑んで来た。



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