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合同会社 清算への道


合同会社清算

2017年3月3日の雛祭りの日に設立した合同会社エムアイティエスですがインボイス制度が2023年10月から始まり、個人事業と法人の2つで消費税を納入する事態になっています。こりゃ面倒だと法人を清算し個人事業だけ残すことにしました。

(1)取引先との契約を法人から個人に
まずは法人契約している先に連絡して個人契約に変更です。具体的には振込している銀行口座の変更になります。

(2)協会けんぽから国民健康保険へ
法人を清算すると協会けんぽではなく国民健康保険になりますので、東大阪市の四条リージョンセンターへ行ってきました。

持参するのは健康保険資格取得・喪失証明書です。資格喪失日は退職日の翌日を記入しますが、一人会社なんで証明などは何とでもなります。提出し、1週間ほどたつと書留で国民健康保険の保険証が届くそうです。本来は国民年金の手続きもいりますが60歳以上で払い込み済みなので対象外です。20年以上も前に退職し独立した時も四条リージョンセンターへ行って手続きしたことを思い出しました。あの頃は若かったなあ(笑)。

(3)解散決議をする
さて合同会社解散の決議をしなければなりません。といっても代表社員一人だけなんで、自分で「解散するぞ!」といえばOKです。検索すると法務局のサイトに「合同会社解散及び清算人選任登記申請書」がありました。申請書はWordで提供されているのでダウンロードすると、総社員の同意書、清算人の選任、就任承諾書の雛型がありましたので自社向けに書き換えます。

清算人は自分になります。総社員の同意書、清算人の選任は社員名(複数社員がいるなら複数記載します)を記載し、名前に押す印鑑は認印で大丈夫です。清算人の就任承諾書にも自分の名前を書くのですが、こちらは個人の実印を押します。実印を押すので、個人の印鑑証明書が必要です。

(4)解散及び清算人選任の登記(解散日から2週間以内)
法務局に解散登記が必要ですが、わざわざ法務局に行かなくてもオンラインでできます。登記・供託オンライン申請システムがあり、不動産登記や商業・法人登記ができます。初めて使う場合はIDの登録が必要になります。申請用総合ソフトをダウンロードして使いますが動いているのは平日8:30~21:00です。

商業登記書から「登記申請書【署名要】」を選択し、「登記申請書(会社用):株式会社,特例有限会社,合名会社,合資会社,合同会社,外国会社【署名要】」を選んで記載していきます。登記申請書の前に「合同会社解散及び清算人選任」と入力し、必要事項を記載していきます。

「登記の事由」は解散&清算人就任となります。添付書類は総社員の同意書1通、清算人の選任を証する書面1通、就任承諾書1通の3つで郵送できますが、ちょうど東大阪商工会議所へ行く用事があったので持参しました。申請した申請番号を控えて、東大阪法務局の受付に書類を渡してきました。登録免許税額は39,000円で電子納付で支払いました。不備があれば補正の連絡があります。実際、印鑑漏れがあって補正連絡があったので出し直しました。

(5)履歴事項全部証明書(解散記載)を取得
登記・供託オンライン申請システムから申請して郵送もできますが時間がかかるので東大阪法務局へ行って4通取得してきました。履歴事項をみると清算人として自分の名前と「総社員の同意により解散」という文言が記載されていました。

(6)日本年金機構 大阪広域事務センター 郵送
協会けんぽから事業者と被保険者(私です)が抜けるので、その手続きです。
・適用事業所 全喪届
・被保険者資格喪失届
・全部事項証明書(解散登記)のコピー
・健康保険の被保険者証
を郵送します。

(7)東大阪税務署(国税)に会社が解散した異動届出書を提出
E-tax Web版を使ってオンラインで行います。「法人設立及び異動手続きの申請・届出」に「事業年度等を変更した場合等の届出」を選んで異動届出書に記載していきます。異動後に「合同会社の清算」と記載して電子署名をつけ送付しました。

(8)中河内府税事務所
こちらはEl-Taxで行います。法人異動事項申告書に同様に記載して電子署名をつけて送付します。

(9)東大阪市役所
オンライン申請はなく、サイトに法人異動届出書(Excel)があったのでダウンロードして記載。東大阪法務局で履歴事項全部証明書をとってきたので東大阪税務署、中河内府税事務所、東大阪市役所をまわって履歴事項全部証明書をそれぞれ出してきました。

(10)12~5月の法人市民税・法人府民税納入 
法人住民税(市民税・府民税)と源泉所得税を年2回納付しますが、4月末で解散したので12月~4月分までを納付します。
PC-Deskを立ち上げて納税メニューから個人住民税(特徴)を選んで、5ケ月分を一つづつ手入力します。送付したらメッセージを確認し、納付情報をもとにインターネットバンキングで振込します。
源泉所得税の場合は1月ずれて1~6月ですので、こちらも4月分まで納付します。こちらはe-TaxWeb版で申請から新規作成を選んで、納付情報登録依頼をします。源泉所得税(告知分)を選んで送信。メッセージを確認して同様にインターネットバンキングで支払います。

(11)解散・債権申出の公告(解散後遅滞なく)
2か月以上の期限を定め、会社の債権者は申し出るべき旨の官報公告を行いなさいとあります。「エー、官報載せるのに金かかるし債権者なんていないし、みんな本当に載せているのと」とインターネットで官報を見てざっと調べてみましたが合併公告ばかりで解散公告を載せているところはないですね。とりあえず定款で会社のホームページに公告すると記載しているので、ホームページに掲載しました。

(12)労働基準監督署への届出
事業廃止の日から50日以内に「労働保険確定保険料申告書」を提出とありますが、経営者は労働者ではないため、そもそも労災保険の対象外ですから、こちらは無視。

(13)税金の支払い
前の決算~解散までの法人市民税、府民税の均等割り支払が必要です。3月末決算で4/29に解散したら2ケ月分でなく1ケ月分ですみました。
法人市民税 50000円の1ケ月分4,200円  
法人府民税 20000円の1ケ月分1,700円
消費税 free申告で計算しE-Taxで、納付情報を発行してインターネットバンキングで支払います。

(14)経営セーフティ共済 承継
経営セーフティ共済(倒産防止共済)があります。連鎖倒産を防ぐことを目的として、1978年(昭和53)4月にスタートした制度で、2020年4月から経営セーフティ共済に名称変更しました。なにがいいって、法人だと掛金を損金に個人事業なら必要経費にできます。つまり税金を安くできます。

合同会社で加入していたのですが、調べると個人事業に承継ができることが判明。反対に個人事業が法人成りした時は事業の全部譲渡にしてしまえばOKです。ただし事由が生じた日から3ケ月以内に申出が必要です。
パターンとしては
・相続(個人→個人)
・合併(法人→法人)
・事業の全部譲渡(法人→法人、法人→個人、個人→法人(法人成))
・事業の全部譲渡(個人→個人)
などがあります。
このうちの法人から個人事業主への事業の全部譲渡に該当。事務局に連絡したら書類が郵送されてきました。これを個人事業で使っている銀行へ持ち込みます。すぐに終わるかなと思ったら支店にとっても初めてのようでマニュアルとくびったけで1時間ほどかかりました。
・中小企業倒産防止共済契約承継申出書・事業譲渡説明書
・法人(承継申出者)の印鑑証明書
・個人(被承継者)の印鑑証明書
・預金口座振替申出書
・共済契約締結証書
・履歴事項全部証明書
・社員総会議事録-事業譲渡したもの
・事業譲渡契約書
※しばらくしたら、書類に不備があると銀行から電話がかかってきました。訂正して出し直しましたが今回で一番、大変な作業になりました。

(15)大阪シティ信用金庫 法人口座を解約
法人口座の解約に窓口に行くと、まずはインターネットバンキングの解約が必要ということで解約申込書を書くと、本部でないと解約できないそうで、解約の電話連絡がきてから、やっとこそ口座解約ができます。ところが国税庁に還付などのために法人口座を登録していることが判明し、こちらも本部で解約してもらいました。結局、解約まで30分以上かかりました。

(16)PayPay銀行 法人口座解約
申込した時はジャパンネット銀行でしたが途中でPayPay銀行という変な名前の銀行になってしまいました(笑)。個人の口座に全額を振込して残高を0円にしてから解約。ネットバンクなので銀行に行かなくてもネットでできます。

(17)会計ソフトの解約
法人で使っていた会計ソフトfreeeの解約。決算申告を自分でやっていたので、まずはfreee申告を先に解約してからfreee会計を解約です。

(18)清算登記
解散から2ケ月が経過したので登記・供託オンライン申請システムを使って清算登記をします。法人の清算を清算結了というんですね。清算結了とは会社が解散した後に残余財産をすべて清算・分配し、会社自体を消滅させることだそうです。
清算結了承認書と清算計算書は郵送で送りました。清算の登録免許税が2000円だったのでインターネットバンキングで納付します。
3日ほどたつと「手続終了」の案内が届いたので、履歴事項全部証明書を登記・供託オンライン申請システムで請求。4通頼んだので500円×4通=2000円です。届いた書類を見ると「閉鎖事項全部証明書」になっていました。

清算結了

(19)東大阪税務署(国税)に会社が清算した異動届出書を提出
E-tax Web版を使ってオンラインで行います。「法人設立及び異動手続きの申請・届出」に「事業年度等を変更した場合等の届出」を選んで異動届出書に記載していきます。異動後に「清算結了」と記載して電子署名をつけ送付しました。

(20)中河内府税事務所
こちらはEl-Taxで行います。法人異動事項申告書に同様に記載して電子署名をつけて送付します。

(21)東大阪市役所
法人異動届出書(Excel)に記載して閉鎖事項全部証明書とともに郵送。東大阪税務署、中河内府税事務には別途、閉鎖事項全部証明書を郵送しました。                 

【かかった費用】
清算人個人の印鑑証明書 300円
解散の登録免許税   39.000円
清算結了の登録免許税  2,000円
履歴事項全部証明書4通 2,400円
閉鎖事項全部証明書4通 2,000円
計 45,700円

これで全部、終了です。

番外編
(19)特別徴収
年2回納付するために特別徴収にしているのですが5月分が未納と東大阪市から督促状が送られてきました。清算や解散の異動届出書を出したのにおかしいなと連絡すると、別途、特別徴収に係る給与所得者異動届出がいるということでした。Eltaxで出しました。

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