NKODICEの話から、ネタとしてのゲームの扱いを考えてみた

夏休みで久々にSteamで遊んでたら、NKODICEの作者さんのNOTEが出て何か揉め事があったの思い出した。NKODICEを買った自分としてもなにかしら書きたくなったので残しておく。

そもそもNKODICEって何が受けたんだろ?

パッと考えると次のようなものがあると思う。
 1. ゲーム性はチンチロ
 2. 出てくるのは下ネタ。だけど小学生が笑うようなレベル
 3. 日本語非対応
 4. ビジュアル、BGM、SE、見せ方などは非常に凝っている
他にもあるかもしれないけど、パッと出てくるのがこの辺り。
 プレーヤー側はサイコロを振って役が揃えば良いとすぐわかるのでゲームに入りやすく、飛び交うのが小学生レベルの下ネタなので単純に笑える。だけど、ゲーム側は日本語わからない態で小気味良いBGMと和風SE、スタイリッシュな見せ方と相当凝ったグラフィック、と下ネタを完全に想定してない振りをする。単純にそのギャップが受けたのではないかと思う。

Vtuber側は何をしたのか(1)

 NKODICEはビジュアルや音楽に凝っているが、サイコロを振るチンチロなのでパクろうと思えば非常に簡単にパクれる。サイコロを振って出目を決めること自体はプログラムの入門書に書かれるような基本的なことで、後は出目のひらがなで「ちんこ」だの「うんこ」だのが出れば良い。ということで、つかみ/フックとなる部分は非常に簡単にパクれる。
 ビジュアルやら音楽は用意できなくてもNKODICEのPVがあるので、PVを見ておけば作ったもののビジュアルや音楽が稚拙でも頭の中で補うことができる。1年後なら単なる下ネタサイコロにしかならない物でも、流行っている今ならNKODICEを下敷きにすることができる。
 二次創作かオリジナルか以前にNKODICEにただ乗りをした、それもNKODICEの作者に連絡も無しに。これが一番の問題点だと思う。

Youtuber/Vtuberがゲーム実況をする理由

 Vtuber含めYoutuberが動画を投稿する理由の一つが収益化である。昔ながらのアフィリエイトならばリンクを踏ませて商品を買わせるように動いただろうが、Youtubeで収益を得るなら延べ再生数が必要である。つまり、大ネタで半年に1つ動画を投稿するより、ある程度のネタで動画の本数を増やしたほうが総再生数は増える(半年に一度10万再生を狙うより1000再生を180日続けたほうが総再生数は大きい、という話)。
 そのため、収益を目指すYoutuberは次から次へと動画を投稿することになる。しかし、次々投稿する動画はある程度面白くなければ再生数は減ってしまう。そこで必要となるのがネタだ。ドッカンドッカン受けるのでなくてもある程度でいい。ということで、最初は自分の知る分野からスタートするが、だんだん様々な分野にネタを探しに行き消費していく。
 ゲームもそのネタの1つだ。だから、Youtuber / Vtuberはゲーム実況をする。

再生数が取れる動画?

 Youtuber / Vtuberの動画の面白さはぶっちゃけて言えば、Youtuber / Vtuberの魅力とネタの面白さで決まる。

動画の面白さ = Youtuber Vtuberの魅力 + ネタの面白さ

Youtuber / Vtuberのブランドが確立されている(面白い、かわいい、など)のであれば、ネタが無くても再生数は稼げる。単に雑談だけでもある程度の再生数は得られるだろう。一方、ネタが面白ければ Youtuber/Vtuberが知られてなくても(面白くなくても)再生数を稼げる。
 ゲーム実況の場合、ゲームが進んでいきYoutuber / Vtuberがプレーヤーとしてリアクションを取る形になる。ゲームが動画の進行役となるのでYoutuber / Vtuber側が動画の内容を広げるネタを考えなくていい。これは次々と動画を投稿する必要があるYoutuber / Vtuberにとっては楽である。もちろん、あまりに面白くないゲームの場合はツッコミやリアクションという Youtuber / Vtuberの魅力を押し出して動画の面白さを維持する必要があるが。
 ということで、ゲーム実況が目的のYoutuberで無い、収益化目的のYoutuber / Vtuberにとってはネタが面白いゲーム実況というのは、再生数獲得のために非常に重要である。したがってNKODICEがYoutuber / Vtuberに取り上げられるのはもう必然であった。

Vtuber側は何をしたのか(2)

NKODICEがネタとして面白いのは間違いない。
→ だから動画に使いたいが「まんこ」が邪魔して動画に出来ない
→ 動画のネタに必要なのはつかみの部分で、これは簡単にパクれる
ということで、件のVtuberは動画に邪魔な部分だけ取り除いてパクった、ということになる。これはVtuber側からすると非常に当然の流れである。再生数が必要であり、動画投稿にネタが必要であり、簡単にパクれる大きなネタを発見した、というだけである。
 と同時に、Vtuber側はネタ元のゲームやゲーム作者を宣伝する意識が無かったことをこれは意味する。要するにVtuber側とゲーム作者に接点は無く、作る意識も無いということである。
 実際のゲーム実況はLIVEで行われたようであるが、動画の面白さはVtuberとネタが混ざった状態で決まり、視聴者はどちらがどれだけと区別はできない。しかもNKODICEが流行った時点で行ったので、パクリゲーはNKODICEという下駄を履いた状態である。ということで動画は非常に盛り上がり、面白さがVtuberとゲームのどちらにあるか判断出来ないが、パクリゲーもVtuberが作ったため、Vtuber一人勝ちの状態で終わる、という事態になった。
特にVtuberの場合は顕著であるが、

Youtuber  Vtuberの人気 = Youtuber  Vtuberの魅力 + ネタの面白さ

のように、最終的な動画の面白さが視聴者にとってのYoutuber / Vtuber人気になる傾向がある。ネタを自分で考えている場合ならそれでいいのだが、ネタが別の人間である場合はこれは大変問題であり、実際に問題となった。

何が問題なのか

 一言で言えばネタ元への還元が無い、ということになる。繰り返すが、ネタを自分で作ったのであれば自分への還元ということで、特に何かをする必要はない。問題は、その場合と同じ意識のまま他人のネタを使用している、ということである。
 ゲーム実況をする目的で始めたなら他人のネタを初めから使用しているので、ネタが自分のものという意識は無いだろう。しかし、自分の中のネタが枯渇し次々とネタを求めていった場合は、最初期はネタへの還元が必要なかったのだから、その意識が無いまま他人のネタを使う可能性が非常に高い。しかもYoutubeの収益化の観点からすると動画を次々と出さねばならず、遅かれ早かれ持っているネタは枯渇する。その上で、動画投稿ペースを維持するならば他人のネタも結構な勢いで消費しなければならない。要するに、収益化を考えた時点でネタ元への意識なんて無くても仕方がない状況が作られている、ということになる。
(本来ならYoutuber / Vtuberの会社とか事務所がその意識を常に持つ、もしくは指導するって筈なのだが、その辺どうなんだろうね)

 ネタ元への意識が無いってことは損得勘定が無いってことで、評価をくだす場合は良い面もある。ゲーム実況なら、そのゲームに対して率直な評価や意見が出るかもしれない。だが問題は収益化である。数字として見える形で利益を得た。ならば、数字として見える形でネタ元へ還元が無ければ、ネタ元が不満を持つのは当たり前だ。自分のゲームを使って盛り上がってる、再生数やスパチャも多い、だけどゲームが急に売れたとか聞かない、せめてゲームが褒められたりすればいいけどそれも無い、ってことならそりゃネタ元のゲーム製作の人の不満は大きいと思われる。特にYoutuberがネタとして取り上げるゲームって値段安くて個人単位で作ってるゲーム多いから、余計に不満が溜まりやすいのかもしれない。

 Youtuber / Vtuberが減るってことはすぐには考えにくいし、ネタ元に利益還元する方向に動いていけば良いんだろうけど、すぐには変わらないのかなあ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?