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東京ヴェルディが再移転するとしたらどこがいいのか

初めまして。深夜普通と申します。
生まれも育ちも神奈川県川崎市。現在は大阪に住んでいる川崎フロンターレサポーターの一人です。

ヴェルディと川崎市の関係

さていきなりですが東京ヴェルディといえばオールド川崎市民にとっては黒歴史と感じている人もいるのかもしれません。
皆さんご存じかもしれませんが、Jリーグ初年度のオリジナル10のメンバーであり当時はヴェルディ川崎という名で川崎市をホームタウンにしていました。しかしヴェルディ側(というより当時の親会社である読売グループ)としては本当は東京都をホームタウンにしたい意向がありました。
しかし、当時の東京はJリーグ基準を満たすスタジアムがなったことや(一応国立競技場がありますがあそこは「中立地」なので)、Jリーグ界でのプロ野球でいう「巨人」化を恐れた川淵初代チェアマンの考えもあり結局は叶わず、仕方なく川崎市にホームタウンを置いた経緯があります。
その後、東京都調布市にJリーグの基準を満たす東京スタジアム(味の素スタジアム)が完成。1999年に移転構想を発表、2001年に移転し呼称を東京ヴェルディ1969(2008年から東京ヴェルディ)に改称して現在に至ります。
移転構想が発表したころから川崎市との関係は悪化。結局は市も移転に同意しますが、ホームスタジアムである等々力陸上競技場を移転後は一切使用認めないなど犬猿の仲になりました。
念願の東京移転を果たしたものの、先に東京で活動していた同じホームスタジアムを使用するFC東京に観客を奪われたことや成績の低迷(J2降格)、親会社である読売グループの撤退による経営難など苦難に見舞われます。
とはいえ移転してから20年以上経っていますし、川崎市はここ最近の人口増加でヴェルディ川崎を知らない新しい住民も入ってきてますから今更蒸し返してもあれですが。それよりも川崎フロンターレを応援しましょう。

ヴェルディが再起を図るには

そんなヴェルディサポーターでもないよそ者が出しゃばるようで申し訳ありませんが、ヴェルディが再起を図るためにはどうすればいいのか考えた結果、もう一度移転するしかないのではないでしょうか(ただし東京都内)。
一時期の観客数の低迷からは脱出しつつある(コロナ前の話ですが)もののこのまま味の素スタジアムに留まっていてもFC東京との周辺住民(主に京王線沿線民)の奪い合いでは負けますし、そんな競争が激しいレッドオーシャンで揉みくちゃにされるよりも競争のない地域、つまりJリーグチームが周辺にない地域に移転するブルーオーシャンのほうがいいわけです。
ヴェルディもそれは分かっています。2010年にはヴェルディと良好な関係を築かれている練馬区がとしまえんにサッカースタジアム建設を計画し水面下で交渉が行われたと報じられたこともありましたが実現しませんでした。

次に狙うのは一般社団法人 渋谷未来デザインが発表した渋谷区の代々木公園近くにある新スタジアム構想でしょうか。

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SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA(渋谷スクランブルスタジアム、仮称)は3~4万人規模のスタジアムを予定しており、サッカー以外にもコンサートなどの音楽イベントや他のイベントに使用されることも想定されています。
渋谷未来デザインは渋谷区に関わる人々がもっと渋谷を好きになりもっと誇りを感じて暮らせる街、いわゆるシビックプライド(自分が住む地域に対する誇りや愛着のこと)目指しさまざまな取り組みが行われており、それを高めていく具体案として「サッカー専用スタジアム」をつくり、Jリーグのプロサッカーチームを誘致することを提案しています。
そしてそのプロサッカーチームとして白羽の矢が立ったのがヴェルディ。
もともと渋谷区をホームタウンとしていたことや、渋谷区を中心に活動するゴミ拾いボランティアのNPO法人「green bird」と以前から連携していること、同区内で障がい者スポーツの体験教室を積極的に開催していることなど縁があること。
また現在ヴェルディが進めている「総合クラブ化」への動きが関係しています。記事(日経クロステック)中の当時の代表取締役社長の羽生英之氏によると
「元々サッカークラブとしてスタートしたヴェルディですが、今はサッカー以外の競技にも進出し、15競技17チームを保有する“総合型スポーツクラブ”になっています。そして今後10年で、そこから“スポーツ”を取り、“総合型クラブ”になっていきたい。つまり、スポーツだけではなく、音楽や芸術の分野にも進出し、あらゆる分野にヴェルディブランドを背負った人材を輩出していきたいと考えています」
と発言し渋谷未来デザインが目指す構想とヴェルディが目指している“総合型クラブ”の親和性は高いとうたっています。
ともかくヴェルディとしてはこのスタジアムを欲しがっているのは言うまでもありません。人口が多い23区で初の本格的なサッカースタジアム、ましてや交通の便がいいとなるとそれだけでも観客動員の増加が見込まれるでしょう(無論地域に愛されるような営業努力も必要ですが)。
しかし、そのスタジアムを狙っているのは東京にホームタウンを置くFC東京や町田ゼルビアも同じです。特にFC東京は先ほどの渋谷未来デザイン主催の別のイベントにヴェルディと一緒に参加しております(qoly.jpの記事参照)。
また、2027年竣工を目標にしているようですがそもそも利害関係から反対されて頓挫する可能性があるとする識者もいます。


移転するなら2つの案

もし渋谷区のスタジアムが頓挫した場合、どこに移転するべきなのか。私は2つの案を考えました。

その1日産自動車村山工場跡地

一つ目は日産自動車村山工場跡地に建設する案です。
村山工場跡地は立川市と武蔵村山市にまたがる広大な自動車生産工場跡地です。2001年に閉鎖された後に売却され、跡地の4分の1にあたる北部部分にはイオンモールむさし村山、武蔵村山病院、わらべや日洋東京工場などが建設されました。
残る4分の3(中央部、南部、東部)の区画は立川市に本部を置く宗教法人の真如苑が購入します。そしてその区画を巡り日産自動車、東京都、立川市、武蔵村山市、そして真如苑の「跡地利用協議会」(五者協議会)が2002年に立ち上げられ、「プロジェクトMURAYAMA用地」と称されてまちづくりのための土地利用が検討されてきました。
5回の検討を経て翌年には跡地全体の土地利用についての「まちづくり方針」を発表するものの、その後は進展せず野球グラウンド4面と体育館を擁する「真如苑グラウンド」と2013年に全面天然芝のサッカーグラウンド「真如苑芝生ひろば」がオープンしたのみでほとんど更地の状態です。
ただ、所有する真如苑としては明治神宮の森のように100年かけて原生林を再生させる計画があるそうです。

立川市ホームページより

さてこの村山工場跡地ですが、土地利用計画案をみるとGゾーンには「緑豊かな文化・スポーツ施設等」が記載されています。

武蔵村山市ホームページより
株式会社UG都市建築ホームページより
南北道路2号の東側がGゾーン

私としてはここにスタジアムを建設するのがいいのではないでしょうか。
西武拝島線武蔵砂川駅から近いですし(将来的には駅と跡地を結ぶ都市計画道路が作られる予定です)、近くにJリーグサッカーチームがない西武沿線はまさに「ブルーオーシャン」です。土地もスタジアム建設には十分に余裕がありそうです。

立川市ホームページより
見にくいが武蔵砂川駅と村山工場跡地を結ぶ都市計画道路が作られる予定だ

また真如苑が目指す「100年の森」に溶け込むようスタジアムも新国立競技場のコンペ案で注目された田根剛さんの「古墳スタジアム」があっているように思います。
下記の画像を見ると結構上の屋根まで緑に覆われているため太陽光がピッチの芝生まで照らしてくれるかどうかなのと建設費の高騰が不安材料ですが。

朝日新聞の記事より
国立競技場のコンペ案で注目された「古墳スタジアム」

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後はスタジアムの建設費をどのように負担するのかという問題があります。例えばJ1基準最低限(15000人以上収容できること)ギリギリの15300人が入れるミクニワールドスタジアム北九州ではPFI(PFI事業者が資金調達を行い、施設を建設し、その所有権を市に移転した上でPFI事業者が維持管理・運営を行うBTO方式を採用)で建設費は89億円。そのうち30億円をtoto(スポーツ振興くじ)で賄い、残りを北九州市の市債で充当しました。
しかし、村山工場跡地は航空写真からでもわかるように立川市と武蔵村山市が複雑に入り組んでいます。Gゾーンは大部分が武蔵村山市に属していますが財政規模が小さい武蔵村山市が果たして市債を負担することに同意してくれるのか、立川市もどこまで負担してくれるのかわからないです。
吹田スタジアムのように建設費を企業と個人の寄付だけで賄うのが一番ですがどこまで集められるかはヴェルディの努力次第です。
無論土地を所有する真如苑がスタジアム建設に同意するかも懸念材料です。

その2日野自動車本社工場(数年後に跡地になる予定)

2つ目は日野市の日野自動車本社工場にスタジアムを建設する案です。
実は日野自動車本社工場は2020年ごろをめどに閉鎖し茨城県古河市に移転することを2011年に発表されました。実際には移転は遅れているようですが数年後には完了する予定です。

そしてその工場跡地をどうするのかについて議論されているのですが、その中にスタジアムを建設する案があります。
これは日野自動車のラグビーチームである「日野レッドドルフィンズ」が2018年に当時のジャパンラグビートップリーグ(現JAPAN RUGBY LEAGUE ONE DIVISION 1)に昇格した後の会見で日野自動車の下義生社長(現会長)が
「将来的には跡地にラグビーのスタジアムを造りたいという希望を持っている。まだ工場は残っているし、70年を超えて工場として使っていたところなので、さまざまな調査もやらないといけない。スタジアム建設に向けてロードマップを描いていきたい」
と発言しています。

これは2021年になっても変わらず小木曽聡現社長は
「地域の人たちとの「共生」が大きなテーマだ。例の一つとして、ラグビーチームの日野レッドドルフィンズの話(下義生会長が2018年に言及したスタジアム建設構想)もある」と話されています。

まだ実現できるかどうかわからない構想ですがスタジアム建設が可能なら東京ヴェルディも乗っかってみるのも一つの手です。
そもそもラグビーとサッカーは開催期間は一部被るものの共存は可能です(ラグビーは1月上旬から5月上旬、サッカーは2月中旬から12月上旬)。
また日野駅から徒歩20分と時間はかかりますが、交通が不便なところではないですしJR中央線沿線のためブルーオーシャン戦略とも合致しています。
建設費も日野自動車が負担してくれるなら問題なさそうです。
なお日野市はヴェルディに出資している自治体なので移転もウエルカムなのではないでしょうか。

練習場移転も必要

さてホームスタジアムの移転について話してきましたが、もう一つヴェルディが抱えている問題として練習場の費用が高額であることです。
2010年現在土地を所有するよみうりランドに対する使用料として約1億5000万円払っており経営を圧迫していることが理由です。一時期は練習場を移転する話も出ていました。
これも例えば村山工場跡地や日野工場跡地のスタジアムに隣接して練習場を設けたり、または現在使用休止中になっている明星大学青梅校のキャンパスをお借りするか買い取り(体育館などもあるので総合型クラブとして長い目でみたらこちらのほうが安いのかもしれない)練習場として使うか考えたほうがよさそうなのかもしれません。

最後に

ヴェルディサポーターでもない私がヴェルディのことについて考えるのはお門違いかもしれませんが、しかし一時代を築いたヴェルディをこのままにしておくことはもったいないことです。
私が出した案は「私が考えた最強の〇〇」かもしれません。しかしヴェルディの今後を願って書かせていただきました。
またいつか黄金期のヴェルディが戻ってくることを願っています。

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