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記憶の紙魚

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雨森が集めた怪談。 こっそり怪談イベントの感想も。 ※朗読や語り利用されたい方はご連絡ください。 内容の肉付け含め相談OK。勉強中のため無償です。
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2023年12月の記事一覧

小指の所在 上

林田くんはコンビニ店員だ。 フルタイムでシフトに入り、主に深夜帯で勤務していた。 慣れているとはいえ、客足が遠のく午前三時あたりになると眠気がやってくる。 防犯上、事務所にばかりいるわけにもいかない。 その上、彼は一度寝てしまうと起きれないタイプのロングスリーパーだったものだから、何がなんでも起きていなければならなかった。 ある夏の夜。深夜三時を回った頃。 うつらうつらしながらレジに立っていると、客が入ってきた。 白いワンピースに黒いキャップ、いかにも最近風の女性。 彼女の

知らない家族

前上さんは古物商の真似事をしていた。 古いものを買っては、フリマアプリや本物の古物商に持ち込み、金を稼ぐ。 ある時からはホームレスに換金すると声をかけて、協力してもらっていた。 その中のひとり、ヤスイと名乗るホームレスが持ってくるものは格別だったそうだ。 古い陶器やら細工物が多く、それらは高く売れる。 だが、ヤスイはそれらに添えて必ず何枚かの白黒写真を持ってきた。 前上さんとしては写真はあまり価値がなく必要なかったが、ヤスイが全部引き取れとうるさいので残らず買い取っていた。

狸虫

かな恵さんは、小学校に通う歳になってもおもらしが直らなかった。 それもいわゆる大のほう。 排泄は便所でするものだと頭では理解しているのに、いざとなると体が動かない。 漏らすことは恥ずかしく、せめてもの抵抗として足をきつく交差させて、汚物が出ないように尻まわりに力を入れた。 それでも努力の甲斐なく下着を汚す日々。 常に糞便の臭いをまとえば、友人などできるはずもない。 本人だけでなく、両親や先生らにも悩みの種となっていた。 ある日、かな恵さんの家に猟師の宮坂さんがやってきた。