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酉の市を散策していた時のことだった。 楓さんは贔屓にしている飲み屋へのお土産を物色していた。 食べ物がいいか。それとも熊手がいいか。 境内をウロウロしているうちに、参道と砂利の段差に躓いた。 思わず手を着いたのは、おみくじの無人屋台。 くじの入っている生年月日の枠に掴まったため、代金を入れる小箱から小銭の音がした。 「おネェさん大丈夫?」 見ると隣に鮎の塩焼きの屋台があり、焼き場から男性が心配そうにこちらを見ていた。 少し強面の体格のいい男性。 好みの風貌に、思わず顔がほ