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記憶の紙魚

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雨森が集めた怪談。 こっそり怪談イベントの感想も。 ※朗読や語り利用されたい方はご連絡ください。 内容の肉付け含め相談OK。勉強中のため無償です。
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2022年6月の記事一覧

しまい

高田さんが祖母のしめ子さんから聞いた話だ。 日本では人糞肥料が使用されなくなって久しい。 しかし需要のあった時代には、農家が一般家庭まで回って汲み取りに行ったほどであった。 そんな時代。当時まだ幼かったしめ子さん。 家の農業の手伝いで糞尿を運ぶことがあった。 自宅の便所から「ツボ」と呼ばれる肥溜めに流し入れる。 それだけのことだが、子供には非常に辛い手伝いであった。 肌に汚れが飛び、匂いで鼻が痺れる。 蠅や虫が、顔や体につくのも我慢しがたかったという。 しめ子さんが、い