北九州市長選挙立候補予定者「たけうち和久」さんの欠点をあげつらいます!

北九州市長選挙に立候補を予定している武内和久さんの欠点は「欲がないところ」だと、ぼくはひそかにそう思っている。

知っている政治家の顔を思い浮かべてみてください。ほら、脂ギッシュな、欲の皮が突っ張った表情が次々と浮かぶでしょ。「そういう人が選挙に勝っている」というのが日本の現実なのだ。みんな口では「あんなやつ嫌いだ」「汚いやつだ」なんて言うけど、一方で「いい思い」をさせてくれそうだものね。

武内さんと実際に付き合ってみて、ある意味で、ほんとに欲がないな、と思う。政治を変えたい。街を変えたい。弱い人に手を差し伸べたい――はいはい、武内さんが純粋にそう思っているのはわかってますって。世の中を良くしたいという、野心というか、野望というか、ええ、それはめっぽう強い。
で、ぼくのほうは「武内さんが当選したら、自分にも少しはいいことがあるのかな」と心のどこかで思ったりするのだ、正直な話。でも、残念ながらそういう誘いは一切ない。いやいや、純粋な心だけでは人はついてきませんよ……なんて思いながら、もう3年も応援し続けてしまっている自分に、時にあきれたりもする。

「欲がない」と言ったが、その反面で、闘争心は強く戦闘力は高い。そう見えないかもしれないけど、理想を話し始めれば情熱があふれまくる。とくに私欲のためだけに動く政治家に対しての怒りなんて、すさまじいものがある。

既得権益、アンシャンレジーム、利権の構造が大嫌いで、これらをぶっつぶすためなら、損得抜きで立ち上がる。そのせいで一度は金も仲間も仕事もすべて失ったのに、一敗地にまみれたはずなのに、ぜんぜん懲りてない。倒されても、倒されても、立ち上がる。はっきり言って、敵にはしたくないタイプだ。

たぶん武内さんは勝つまでやる。あるいは死ぬまでやる。そんな姿を隣で見せられると、ぼくのような欲深く、罪深い人間でも、仕方なく立ち上がることになる。武内さんを支持している人の多くは、おそらくそんな感じで、「ついつい戦いに参加してしまった人」なんじゃないかと思う。

あれは1年前、武内さんとバーで飲んでいた時のことだ。ちょっと変わった店で2階に卓球台があり、マスターは勝手に遊んでいい、と言う。50歳の同い年。笑顔で始まったラリーは次第に熱を帯びてきて、しまいにはスマッシュの打ち合いになった。

瞬間、武内さんは高く飛び上がった。ピン球が歪むくらいの渾身の一打。見事に台に突き刺さった球はその勢いを減じぬまま、ぼくの頬を打った。痛ッ!

時間が止まり、ぼくたちは目を見合った。

「武内さん、たかが遊びの卓球で、あまりにも大人気ないじゃないですか」
「確かにそうですね。すみません」

ぼくたちは視線のやり取りだけでそう会話し、その後、同時に大笑いした。しばらく笑いが止まらなかった。

武内さんはそういう人である。不利だろうがなんだろうが、相手が強かろうが、多かろうが、義憤に駆られたら勝負を挑む。そして、一度、戦い始めたら全力でやる。一心不乱にやる。絶対に逃げない。

本心を言えば、ぼくは1円にもならない応援なんてやりたくない。でも、武内さんがやるんだったら仕方ない。ま、確かにわくわくしてますよ。おもしろがってますよ、おかげさまで。あー、やれやれ。

最後にあらためて武内さんの欠点を挙げておくならば、早食いが過ぎるのと、ごく稀にではあるが、身も蓋もないほどくだらない駄洒落を言うところだ。


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