R5-2漢検一級 設問ごとの難易度考察

緒言

お久しぶりです。R5-2漢検一級を受けてきましたので、これを投稿することにしました。

私個人の点数は合格なのか不合格なのかちょうど分からないくらいのラインでした(^_^;)
追記:合格していました!

ですから説得力はあまりないことを言っているものと思って温かい目でご覧ください。ツッコミどころが大量だと思いますので、ご指摘いただけるとありがたいです。


・一行目に客観的事実を、二行目に私個人の感想を書きます。個人の感想としてレベルをA1~Dまで振ります。難易度は、「本番で出されて答えを書いてそれが正解になりやすいか」を個人的に判断したものになります。

A1:初学者でも正解できるレベル。

A2:初学者には難しめだが、合格のためには決して落とせないレベル。

B:少しなら取りこぼしがあっても問題ないが、大部分は正解しておきたいレベル。

C:基本的に解けなくても問題ないが、いくつかは正解しておきたいレベル。

D:満点阻止問題ではないかと疑うレベル。

ただし、漢字の問題が解けるかどうかというのは畢竟、それを知っているか知らないかということだけですから、その問題が難しいと感じるかどうかはやってきた問題集等により大きく異なります。よって、一個人の意見と捉えてください。

(一)読み

・漢検漢字辞典第2版の大見出し語、小見出し語であればそのことを記入します。記載がなければ「記載なし」と書きます。

・漢字逞筆Lvについて

たとえば「矍鑠」という問題があったとき、「矍鑠」は漢字逞筆さん(以下敬称略)の問題集のレベル1に記載があるため、「逞筆Lv1」とします。

たとえば「貶竄」という問題に関して、「貶竄」という熟語自体は逞筆に載っていません。しかし、逞筆Lv1に「褒貶」が、逞筆Lv1に「改竄」があり、逞筆Lv1までやっておけば推測で十分正解が可能であろうと思われます。その場合、「逞筆Lv1」とします。

1 大見出し 逞筆Lv2

 A1

2 大見出し 逞筆Lv2

 A2

3 小見出し 逞筆Lv4

 B

4 見出しなし 逞筆Lv4 小見出しに「樛木」がある

 C 旁が「翏」の字は音読みのバリエーションが多いので難しい。

5 小見出し 逞筆Lv3 大見出しに「旻天」がある。

 A1

6 小見出し 逞筆Lv2

 B 「覃」を含む字の読み分けは重要なので正解するべき。

7 見出しなし 逞筆Lv2

 A1 漢検漢字辞典に掲載は無いが、「嫗伏孕鬻」は漢検四字熟語辞典掲載の一級配当四字熟語であるため、基本問題である。

8 小見出し 逞筆Lv4

 A2 字形から読みを推定しやすい。

9 見出しなし 逞筆Lv4 小見出しに「銛利」がある。

 C

10 大見出し 逞筆Lv2

 A1

11 小見出し 逞筆Lv2

 B

12 見出しなし 逞筆Lv2 「濁醪」と「醴泉」は大見出し。

 A2

13 見出し無し 逞筆Lv1 「卓犖」は大見出し。

 A1

14 小見出し 逞筆Lv3 「讖緯」や「讖文」は大見出し。

 B 「図」を「ズ」と読むか「ト」と読むかで間違えそう。

15 見出し無し 逞筆Lv2 小見出しに「罅裂」がある。

 B

16 見出し無し 逞筆Lv4

 C 「纔着」を知っていれば解ける。だがレベル高めの語彙。

17 見出し無し 逞筆Lv2 「鶏鶩」は小見出し、「櫂歌」は大見出し。

 B

18 見出し無し 逞筆Lv2 「卸任」は大見出し。

 B

19 小見出し 逞筆Lv4

 B 字形から読みを推測することもできそう。

20 見出し無し 逞筆Lv 記載なし 「麼虫」は小見出し。

 D 「怎」は音読みを複数持ち、「怎様」は「シンヨウ」、「怎生」は「ソウセイ」と読む。どこまで許容されるかが不明だが、「ソモ」のみが正解になるためには、「怎麼生」という語彙を知っていなくてはならないため難しい。

21 大見出し 逞筆Lv1

 B

22 大見出し 逞筆Lv1

 A1

23 大見出し 逞筆Lv4

 A2 文脈から推定しやすい。

24 見出しなし 逞筆Lv 記載なし

 C 印象には残りやすい訓読みなので一度見た事があれば思い出しやすいかもしれない。

25 見出し無し 逞筆Lv 記載なし

 A2 逞筆の訓読みには「笄」と「髷」の記載はなかったが、いずれも基本的な訓読みであるため難易度は低い。

26 見出しなし

 A1 一級配当の四字熟語「衣錦尚絅」の意味を正しく把握していれば類推が可能。

27 大見出し

 A2 「すする」という漢字は数が多いためやや紛らわしいかもしれない。

28 見出し無し

 B 「~んずる」という送り仮名になる訓読みは数が少ないのに加え、文脈からも推測がしやすい。

29 大見出し

 A1

30 大見出し

 A2


(二)書き取り

・漢検漢字辞典第2版の大見出し語、小見出し語であればそのことを記入します。記載がなければ「記載なし」と書きます。

1 大見出し

 A1

2 大見出し語と大見出し語の組合せ

 B 「襤褸」は一応大見出し語だが、熟字訓であるため難しい。

3 大見出し

 A2

4 大見出し

 A1 「絨毯攻撃」という語彙を知らないと戸惑って別の答えを書いてしまうかもしれない。

5 大見出し

 B

6 大見出し

 A1

7 大見出し

 B 基本的ではあるが、訓読みの書き取りはやや忘れやすいと思うのでB。

8 大見出し

 A2

9 見出し無し 広辞苑に記載あり

 C

10 大見出し

 A2

11 大見出し

 A1

12 大見出し

 C 常用漢字大見出し語の対策は遅れることが多いためC。

13 大見出し

 A1

14 小見出し

 B

15 見出しなし 広辞苑に記載あり

 C

16 見出しなし 広辞苑に記載あり

 D

17 大見出し

 A1 非常に典型的で、模試などで頻出の同音書き取り問題である。

18 大見出し

 A1 非常に典型的で、模試などで頻出の同音書き取り問題である。

19 大見出し

 A1

20 見出しなし

 A1 見出しにはなっていないが国字なので当然書けるべき。


(三)語選択

・漢検漢字辞典第2版の大見出し語、小見出し語であればそのことを記入します。記載がなければ「記載なし」と書きます。

1 見出しなし 広辞苑に記載あり

 D

2 大見出し

 A1 準一級で頻出であるため容易。

3 大見出し

 B 意味までしっかりと覚えて書くとなるとやや難しいかもしれない。

4 大見出し

 A1 準一級で頻出であるため容易。

5 大見出し

 C 常用漢字大見出し語は対策が遅れがちなためC。


(四)四字熟語

・漢検四字熟語辞典第2版に記載されていて、なおかつ例えば一級配当のものには「一級配当」と記載します。記載されていない場合は「記載なし」と書きます。

・漢検漢字辞典第2版に記載がなく、四字熟語辞典ONLINEに記載があるものには「四字熟語辞典ONLINE」と記載します。

問1

1 一級配当

 A1

2 一級配当

 A1

3 五級配当

 C 五級配当なので対策が遅れがちであるためC。

4 記載なし

 B 記載はないが、一級配当の「蹉跎歳月」からの推測が可能だと思われる。

5 一級配当

 A1

6 一級配当

 A1 「沛」の字形に注意。

7 記載なし 広辞苑に記載あり

 D 「ムザン」という音でぱっと思い浮かぶものは「無惨」「無慙」くらいなものなので、適当に書いたら正解したということも十分に起こりうる。

8 一級配当

 A1

9 一級配当

 A1

10 記載なし 広辞苑に記載あり

 D 難しいが、仏教関連の四字熟語が出題される潮流は以前からあり、予想問題として取り上げられていたこともあるため、それを把握していた人は正解しやすかったかもしれない。

問2

1 記載なし 広辞苑に記載あり

 B 「ミミズが這ったような字」という表現が一般に使われるため、それを想起できれば予想しやすい。

2 一級配当

 A1

3 一級配当

 A2

4 記載なし

 B 一級配当の「朽木糞牆」と似た雰囲気を感じ取れれば選択は容易い。しかし、「蛆」の音読みがやや難しい。

5 記載なし

 B 「沸鼎」などの語彙を知っていれば選択は容易い。


(五)熟字訓

・過去の漢検一級で出題履歴があるものについては「過去問」と記載する。

・たとえば、漢字逞筆のLv3に記載のあるものには「逞筆Lv3」と記載する。

1 過去問 大見出し

 A1

2 逞筆Lv2 大見出し

 B

3 過去問 大見出し

 A1

4 逞筆Lv3 大見出し

 B

5 逞筆Lv 記載なし 大見出し

 C

6 逞筆Lv2 大見出し

 B

7 過去問 大見出し

 A2

8 逞筆Lv 記載なし 大見出し

 C

9 過去問 大見出し

 A1

10 逞筆Lv3 大見出し

 C


(六)熟語の読みと語義に合う訓読み

・漢検漢字辞典第2版の大見出し語、小見出し語であればそのことを記入します。記載がなければ「記載なし」と書きます。

・漢字逞筆Lvについて

たとえば「矍鑠」という問題があったとき、「矍鑠」は漢字逞筆の問題集のレベル1に記載があるため、「逞筆Lv1」とします。

たとえば「貶竄」という問題に関して、「貶竄」という熟語自体は逞筆に載っていません。しかし、逞筆Lv1に「褒貶」が、逞筆Lv1に「改竄」があり、逞筆Lv1までやっておけば推測で十分正解が可能であろうと思われます。その場合、「逞筆Lv1」とします。

1 大見出し 逞筆Lv3

 A1

2 大見出し 逞筆Lv4

 A1

3 見出しなし 広辞苑に記載なし 逞筆Lv1

 B

4 見出しなし 逞筆Lv1

 B

5 小見出し 逞筆Lv4

 B 「嗜」の意味を持つ「耆」であると推測しやすい。

6 大見出し 逞筆Lv4

 B 「嗜」の意味を持つ「耆」であると推測しやすい。

7 小見出し 逞筆Lv5

 A2 字形から読みを推測しやすい。

8 大見出し 逞筆Lv5

 B

9 大見出し 逞筆Lv2

 A2

10 見出しなし 逞筆Lv 記載なし

 B 「敞閑」を勉強するときに自然と「敞」の意味も学習するので難しくないはずである。


(七)対義語類義語

・漢検漢字辞典第2版の大見出し語、小見出し語であればそのことを記入します。記載がなければ「記載なし」と書きます。

・漢字逞筆の「対義語類義語」に、例えばレベル3のところに記載があれば「逞筆Lv3」と記載します。

1 記載なし 逞筆Lv 記載なし

 B 一級配当四字熟語の「樗櫟散木」から推測しやすい。

2 大見出し 逞筆Lv 記載なし

 A1

3 大見出し(ただし、「あいおい」という読みで) 逞筆Lv 記載なし

 C 「ソウショウ」という読みから「相生」を思い付くのは困難。

4 大見出し(ただし、「カッキン」という読みで) 逞筆Lv1

 B 「カクゴン」という読みは小さく記載がある。

5 大見出し 逞筆Lv 記載なし

 C 常用漢字の大見出し語は対策が遅れるため。ただし、熟字訓の対策で知っていた人もいそう。

6 記載なし 逞筆Lv 記載なし

 B 四級配当の四字熟語「国色天香」を知っていれば推測しやすい。

7 小見出し 逞筆Lv 記載なし

 A2

8 小見出し 逞筆Lv2

 B そもそも「雀色時」が見出し語になく、広辞苑記載の語彙。だが意味はなんとなく推測ができる。

9 大見出し 逞筆Lv3

 B

10 大見出し 逞筆Lv1

 D 答える熟語より元の言葉の方が難しいパターン。見出し語になく、広辞苑記載の語彙。「青」や「人」を見て、「蒼氓」「蒼生」など、青色で人民のことを表すことがあることを想起できれば正解できるかもしれない。もしくは、消去法で選択肢が「ソウボウ」であることが分かり、「蒼氓」を当てはめてみたらしっくり来て正解できたというパターンもありそうである。


(八)故事ことわざ

・漢検漢字辞典第2版に記載があれば「漢検漢字辞典」と記入します。

・漢検漢字辞典に記載がないが、漢字逞筆の「故事ことわざ」に、例えばレベル3のところに記載があれば「逞筆Lv3」と記載します。

・漢検漢字辞典にも漢字逞筆にも記載がないが、「新明解故事諺辞典第二版」に記載があれば「新明解」と記載します。

・上三つのいずれにも記載が無いが、「広辞苑」に記載があれば「広辞苑」と記載します。

・以上のどれにも記載が無い場合、「いずれにも記載なし」と記載します。

1 いずれにも記載なし

 C 「極まり罔し」から果ての無い様子を想像できれば推測が出来たのではないか。

2 新明解

 C

3 いずれにも記載なし

 B 「ビンヅラ」を知っていれば簡単そうだが、広辞苑にすら載っていない語彙である。しかし、なんとなく書いて当たってしまいそうな問題に感じる。

4 漢検漢字辞典

 A1

5 逞筆Lv3

 B

6 逞筆Lv2

 B

7 いずれにも記載なし

 C 文脈からして「キュウ」が「窮」なのは容易に推測できるが、「キ」を「鬼」や「驥」などにして間違えてしまいそうである。

8 逞筆Lv3

 A2

9 漢検漢字辞典

 A1

10 逞筆Lv5

 B 文脈から推測できる可能性もあるためBにした。


(九)文章題

・漢検漢字辞典第2版の大見出し語、小見出し語であればそのことを記入します。記載がなければ「記載なし」と書きます。

1 大見出し

 A2

2 大見出し

 A2

3 大見出し

 A1

4 大見出し

 A2

5 大見出し

 A1

6 大見出し

 B 「兢兢」にしてしまうミスがありそう。

7 見出しなし 広辞苑にも記載なし

 D 個人的に今回最難だと思う。文脈からも推測が不可能なので、原著を読んでこの語彙をメモした人でないと正解は不可能ではないか。

8 見出しなし 広辞苑に記載あり

 B 「詩人」という言葉が直前にあるので、それと同意語なのではないかという推測ができるはずである。

9 見出しなし 広辞苑にも記載なし

 B 「ふす」という言葉につかえる漢字は限られるし、文脈から推測できそう。

10 大見出し

 A2

ア 見出しなし

 B 代名詞なので、本などで目にする機会があるのではないかと思う。

イ 大見出し

 A1

ウ 大見出し

 B

エ 大見出し

 A2

オ 見出しなし

 A2 漢字の意味から容易に推測できる。

カ 大見出し

 A2

キ 大見出し

 A1

ク 大見出し

 A1 一級配当四字熟語の「後悔噬臍」を覚えるときに覚えられる。

ケ 見出しなし

 B

コ 大見出し

 B 文脈からの推測も難しくなさそうである。

総括


以上、

A1問題 62点

A2問題 33点

B問題 65点

C問題 27点

D問題 13点

A1~B問題で合計160点ですから、A1~Bで基本的に落とさず、C問題でもちょくちょく正解できれば合格できる、と言ったところでしょうか?


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