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本日、おれのマンガが載ったSHARPさんの本が発売されました。

この度、「おれのマンガが載ったおれの本じゃない本」が発売されたようです。
おれの本じゃなきゃ誰の本だというのだろうか。それはなんと「SHARPさんの本」だという。そうあの某SNSの超有名企業アカウント「シャープさん@SHARP_JP」だ。びっくり。

3年前のある日、そのシャープさんがおれの『自分が分からなくなったとき、本を読みまくったら抜け出せた話。』というエッセイ漫画を読んで、それについてコラムを書いてくれたことがあった。(この時もかなりびっくりした。)

▽そのコラム(とても面白い)


「コミチ」というマンガのプラットフォームで「シャープさんの寸評恐れ入ります」というコラムが連載されている。
この連載は、コミチに投稿されたたくさんのマンガの中からシャープさんが毎週一作を取り上げその作品についてコラムを描くという企画である。

その連載の107回目で、シャープさんがおれのマンガを見つけてくれたのだ。
ちなみにこの連載は4年間計240回以上続いているのだからかなりのご長寿コラムである。

そして今回出版される本は、この連載をまとめたものだ。

タイトルは『スマホ片手に、しんどい夜に。』。著者名はシャープさん…ではなくその“中の人“山本隆博さん。出版社は講談社。価格は1400円。税は別、である。

20作の短いマンガと、20作のシャープさんによるコラムがそれぞれセットになっている。
その中の一角におれのエッセイマンガを収めてもらったのだ。



今年の5月に「あなたのマンガをこの本に載せたい」とコミチの担当者のAさんから連絡が来た時、おれは嬉しさと共にちょっと懐かしい気持ちになった。
それは、あのコラムがずっと心に残っていたからである。

正直に言うとその文章をはじめて読んだ時、おれはけっこう腹が立ったのだった。
なぜならそのコラムがおれよりもおれの作品のことを深く理解し解釈していたからだ。

それも分かりやすい言葉で、豊かに、とても面白く。
そしてこの「分かりやすい言葉で、豊かに、とても面白く。」はおれが作品を作るときに目指していることでもある。

おこがましいことこの上ないが、つまりおれはシャープさんの文章に嫉妬で腹を立てたのだ。
そして同時にたまらなく嬉しかった。

そのコラムの中で「表現に救われた人は、いつかきっと表現に恩返しするのだ。」という言葉があった。
これは今でもおれが創作活動をおこなう中で一つの指標になっているし、これからも大切にしていくつもりだ。

シャープさんがくれた(と一方的に思ってる)このコラムは、おれがそれから3年間マンガ家として特に結果を出すことなく、今だに無名の現在でも創作活動をなんとか続けられている理由のうちの確かな一つだ。

と、まあ意図せずこれがおれのマンガの書籍デビューということになったようだ。
全くもって不思議で特殊なカタチだが、かなり自分らしい書籍デビューだなと気にいっている。

ちなみに初めてハズったマンガは自分で描いた文章を自分でマンガにするという不思議な作り方だったし、初連載は4ヶ月間標高900mの雪山の酒屋で店長をやらされその体験をほぼリアルタイムでWeb媒体でマンガにするという超が付く程特殊な企画だった。
そして初書籍デビューはシャープさんの本という摩訶不思議。




数日前に、完成したこの本が家に届いたので早速一冊通しで読んでみることにした。
ページを捲っていると次第におれの中である「仮説」みたいなものが生まれた。

それは「シャープさんは実はずっとこのコラムを通して毎週マンガ家たちを励まそうと試みていたのではないか」という仮説である。
そして読み進める程にそれは確信になっていった。

それは強く直接的な言葉ではなく、底からじんわりと効いてくるようなそんな言葉だった。
まるでシャープさんがSNS上でおこなっている「宣伝せずに宣伝する」ことのようではないか。つまり「励まさずに励ます」である。

そしてそれはシャープさん自身の表現への恩返しの一環みたいな行為なのかもしれない。だからこの本を読んでいると、「お前、表現やめるなよ。」と励まされているような気持ちになるのだ。

なるほど、それを漫画家が創作を続けることをインターネット上で支援する「コミチ」という場所でずっと続けていたのか。
だとすると、おれはまんまとこの3年間シャープさんの手のひらの上で踊らされていたということになるではないか。

こうしておれがはじめてこのコラムを読んだときに「たまらなく嬉しい気持ち」にさせられたものの正体が掴めたのだった。
これから先もヘタクソな身のこなしで踊らされながら表現への恩返しの道を行こうと思う望月なのであった。

著者のシャープさん、編集者のたらればさん、素敵な本を作ってくれてありがとうございました。
そしてコミチの担当者のAさん、初めての出版で何も分かっていないおれの面倒な質問に本当にご丁寧に対応してくださってありがとうございました。

そしてこの場を借りて、、、
「次はおれのマンガが載ったおれの本を出せるように出来るように頑張るぞ〜!(お〜!)」

と、長くなりましたがみなさんおれのマンガが載ったシャープさんの本、ぜひ購入して読んでみてください。

あとね(まだあるんかい)、シャープさんの「まえがき」と「あとがき」がかなり名文なのです。マジで。
シャープさんがしてきたこれまでの活動の経緯や想いが綴られていて、SNSのつぶやきではなかなか見られないハートフルシャープさんが覗けます。

以上!



▽そんなシャープさんの本はこちらから

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