日本語で「技術」について語る際の注意点

※本記事は100%個人の感想です。

突然だが、最近バッハのフーガの技法(Art of Fugue)に最近ドはまりしている。フーガの技法というか変奏の技法でもある気がするが、フーガには変奏がつきものなようなのでそういうものなのだろう。

さて、このArtについて、思っている事がある。
「日本の技術が」「技術力が」という話題で雑談なり、ツイッターで話題を見かけたりするが、日本語においては「技術」という言葉の取り扱いには注意が必要である。
なぜならば、「技術」という言葉は、英語でいうところのArtTechnologyの両方の意味があるためだ。

だが、ここで日本語の技術という言葉を分解して英語に直してみよう。
技: talent, skill, art, technique
術: art, craft, skill, technique, method
ということで、「技術」という単語そのものを英訳すると、単にArtやTechnique,熟語であることを加味すれば Art by technique, Art by skill, Method by skill、いうなれば職人芸・職人技という意味になる。
それを意図しているのかどうかは分からないが、「日本の技術がすごい!!」的な番組を見ると大抵の場合職人が出て来るのは多分そのせいなのだろう。

一方、Technologyは職人技から一歩進まなければならない。以前触れた通り、Technologyは、職人が生み出した技を研究(説明、理由付け)し、知識化したしたものという意味だからだ。知識化したからには、本人だけでなく他人にも理解でき、再現できなければならない。

こうした混同は、どうやら西周(にし あまえ)という人物が、海外からの言語を和製漢語として定義したことによるもののようだ。(確かに、産業革命期は専門教育を受けた技術者ー職人ではなく大学で専門教育を受けた者だが、技能もあるーが支えた側面があるため、混同するのも止むを得ないのかもしれない。)

(雑な)まとめ

というわけで、日本語で言うところの「技術」は職人技とTechnology(←あえて翻訳していない)の2つの意味を内包してしまっている。どちらの議論をしているかを考える際は、「それは他人が再現できるか?」を問い、TechnologyなのかArtなのかを考えるべきだろう。

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