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先進国の罠の構造

                       先進国の罠
トランプの再びアメリカを偉大にと言うのは、アメリカのどの経済ステージのことを指すのだろうか。健全で勤勉な製造大国に戻るならば、それで良いのだろうが、過去の軍事金融大国に戻すと言うならば異常である。
 極端に肥大した金融市場というのは、経済崩壊を招く。金融は本来農工業のための資本を回すためにある仕組みだったはずである。
それが債権、つまり、借金の証文のようなものを公開売買することによって、その賭博場を維持するために、際限のない通貨発行を必要としてしまう。そしてごく限られた導線をカネが入ったり来たりするような過剰な通貨流動構造を形成してしまう。
 これは実体経済とはかなりかけ離れたものであり、労働及び物品市場とは隔絶された世界を作ってしまった。
 もしこの巨大なキャッシュフローが現物市場に流れ込んできたら、非常に極端な物価上昇(通貨価値下落)を招いてしまうだろう。人々は皆、きらびやかな、第三次産業者を夢見るようになり、汗を流して働く農工業からは去っていくだろう。このことにより一国の製造、生産能力は次第に低下し、第三次産業従事者ばかりの異常な国になり果ててしまう。
 この現象を私は先進国の罠と呼んできた。
これは不可逆的な経済現象だ。
 この状態に陥ると、人々は再び汗水流して働くことなどいやであり後戻りはできない。農地は荒れ果て工場は錆びつき、再びそれを元に戻すのであれば何十年以上もかかるであろう。
 帝国末期はこの様に荒れ果てた姿となる。おそらく1〜2世紀は回復できないのではないだろうか。

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