車が買える人生

 車が欲しい。私は地方出身者なので、大人になる=車を持つことだった。車は家にいる大人の数だけあって当たり前だったし、大人になっても自転車に乗っているのは不審者だったし、公共交通機関も機能してなかったし、そもそも歩道が無かった。歩道が無いということは、車道の傍の白線の外側を歩かねばならないということだ。都市で生まれ育った人からすればとんでもないことだ。

 どんな車が欲しいか。4人乗りで、内側からカーテンができて、どんな悪路でも走れて、車中泊ができて...そういう車が欲しい。中古ではなく、新車が欲しい。都市で車を持つと、駐車場代含めて年間30-40万程度の維持費がかかる。とんでもない金食い虫だ。だが、私はそれが欲しい。

 飯を食うだけで終わる私の給料には分不相応なオモチャである。だが、それが欲しい。今の薄給で貯金だの言ってたら何年かかるか分からないし、そもそも維持費が払えない。

 私が転職を決意したのは「車が欲しい」という感情を抑えられなかったからだ。子供も配偶者も要らないが、清貧なんてクソ食らえだ。ほどほどに働いてめちゃくちゃに遊ぶぞ。

 とりあえず30までに年収600万は最低ラインだ。だから、待遇がいい職場に行きたい。今の所は身体がついていかない上に薄給だし身分も安定しない。やるぞ。


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