東北完全制覇+α(第九夜)② JR東日本 気仙沼線BRT 乗車体験

私が気仙沼線に初乗車したのは1990年の8月。その21年後、東日本大震災により大被害を受けた気仙沼線は、BRT(Bus Rapid Transit;バス高速輸送システム)で復旧され、鉄路として再生することはありませんでした。本作は、その「BRTなるもの」に乗車した記録です。

今回、気仙沼線BRTに乗車したのは、ひとえに「乗り継ぎの都合、効率的な乗りつぶしのため」であり、正直「鉄道でなくなった気仙沼線」を通るのも気が引けました。前谷地から気仙沼でバスで2時間半かかるというのも、気を引けさせる要因でした。そのこともあり、最初は動画撮影もするつもりはなかったのですが......。

実際に乗ってみて、「震災から10年経っても復興が終わらない現地の状況」「未だ全ルートの完成に至らない気仙沼線BRT」「旅客動向からみる現実の厳しさ」を実感することができました。私以外の最初の乗客が乗ってきたのは、前谷地から志津川・本吉を越えて、なんと陸前階上(はしかみ)。気仙沼市街地に近づくにつれて若干の乗り降りはありましたが、終点の気仙沼で下車したのは私を含め二人だけでした。

このような環境では、鉄道として残すのは難しいよなと実感しました。線路用地をバス専用道に転換し、普通のバスよりも定時性を高めた形で交通網を維持するだけ、JR東日本は誠意があったのかもしれないと思いを改めました。「我が町が地図から消える。鉄道がつながっていればそんなことにはならないのに」との思いも理解はできますし、JR山田線の釜石ー宮古間が三陸鉄道に組み込まれた例もありますから、些かの理不尽さも感じないではありません。が、「普通の路線バスサイズで(平日朝夕はともかく)間に合ってしまう程度の需要しかない」現実には抗えなかったというのが、実際のところなのでしょう。

先述のとおり、乗りつぶしのための経路としてしか位置づけていなかったため、動画に残せているのはBRT専用道の両端だけという体たらくですが、実際の雰囲気だけでも感じとっていただければ幸いです。

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