「キミに会うと一日がパッと明るくなった」 ガイジンレスラーの追悼メッセージに見る木村花さん


木村花さんの死は国内のみならず、海外にも大きな悲しみの波紋を投げかけている。

WWEでは実況アナウンサーのマウロ・レナロが5月27日放送のNXT中継内で木村さんの死について触れ、あわせてネット上での誹謗中傷をやめるように呼びかけた。AEWでは5月23日放送のPPV『Double of Nothing』の中で木村の写真を映し出し、エクスカリバー(解説者)が追悼の言葉を述べた。ROHはTwitterで木村さんの死を悼み、昨年のMSG大会での試合動画を公開した。

<(上)AEWのPPV中継で映し出された写真、(下)5月30日に放送されたWWE Smackdownに、HANAと書かれたアームバンドを着用して出場したサーシャ・バンクス>

以下では、木村さんと交流のあった外国人プロレスラーたちの、追悼メッセージを紹介したい。いろいろな選手のメッセージやエピソードからは、木村さんの公平で親切で努力家であるという一面が、驚くほどの一貫性を持って浮かび上がってきて、お人柄が忍ばれる。


ブロディ・キング

2016年に休暇で日本に行った時、ロッキー・ロメロの紹介でアイスリボンの道場で練習をさせてもらった。東京郊外の電車の駅まで迎えに来てくれて、道場に連れて行ってくれたのが、木村響子さんと、当時プロレスラーを目指していた娘さんのハナさんだった。
2人は自分のことを、見知らぬガイジンレスラーという感じではなく、まるで家族のように招き入れてくれた。ハナは優しくてフレンドリーで、お母さんととても仲がよかった。何回か練習をして、自分はハナにさよならと言って別れた。また会うことになるとも知らずに。
2019年、自分はマジソン・スクエア・ガーデンにいた。まだ空席の客席を眺めながら、MSGを満喫していたら、突然「ブロディ!」という叫び声が聞こえてきた。振り返ると、髪をピンクに染め上げた日本人の女の子が走り寄ってきて自分に抱きついた。ハナだった。
現実の出来事ではないみたいだった。遠く離れた場所で成功を夢見て頑張ってきた2人が、いま世界で最も有名なアリーナに夢見心地で立っている・・・。ハナ、キミはこの世界にはもったいない人なんだよ。


ウィル・オスプレイ

スターダムの新木場大会を見に行って、バックステージでたむろしていた。人を待ちながら、スマホで動画を見ていたんだ。何の動画を見ていたのかはどうしても思い出せないんだけど、ハナが突然、「何見てるの、オスプレイ?」と覗き込んできたんだ。
そして彼女は僕の隣りに座って、5分くらい一緒に動画を見ていた。動画が終わると彼女は、「わからなかった」といった。僕は笑いながら、「じゃあどうして見ていたんだ」と聞くと彼女は、「オスプレイと一緒にいたかったから」と言うんだ。
使う言葉は違っていても、彼女は会う人全員に気を配る人だった。ハナの笑顔の思い出は宝物だ。キミに会うと一日がパッと明るくなった。


ビー・プリーストリー

私の親友。美しくて、情熱的で、優しくて、面白くて、カリスマがあって、才能があって、いつも部屋中を楽しい空気で満たしてくれた。言葉もない。自分の心の一部が欠けてしまったみたいだ。いつの日かまた会ったら試合をしましょう。愛してる。
あなたの初めてのジャーマンスープレクス。許してあげる。

ザイヤ・ブルックサイド

日本語を教えてくれて、ダンスも教えてくれて、いつも気にかけてくれて、私の通訳までやってくれて、本当にありがとう。そして何より、あなたがいてくれて、いつも笑わせてくれたことに感謝します。遠く離れた場所で過ごすことは不安なものだけれど、あなたのおかげで日本は自分の家のようでした。アリガト、ハナサン。

"ザ・セッション・モス"マルティナ

スターダムの初日に一番歓迎してくれたのは、ロッカールームで一番英語のうまいハナだった。英語の練習を兼ねて、ガイジン選手と話をするのが好きだった。私も毎回、彼女に会うのが楽しみだった。
有名人も普通の人。みんなに心があって、傷つくこともある。神経が図太い人もいるけど、それも突き刺さるまでのこと。言葉には気をつけよう。あなたの言葉は思いもかけないほど、他人を強く傷つけうるから。


ジェイミー・ヘイター

悲しすぎて、言葉も感情も消えてしまった。何も考えられない。すばらしい人、ガイジン・ヘルパー、可能性の塊、きれいな心、優しさ。気持ちが乱れて言葉なんか出てこない。せめてハナが安らかでいてくれますように。

レイラ・ハーシュ

スターダムに初めて参戦した時、まず歓迎してくれたのがハナだった。いつも元気で、いつもすすんで世話を焼いてくれた。一緒にいてすごく楽しい人だった。試合をするチャンスはなかったけれど、日本で試合をするときには私はいつも彼女の隣にいれたことは幸せだった。(大江戸隊の決め台詞である)「YES, SIR」をうまく言えなくても、ハナはいつも辛抱強かった。ご家族、お友達、スターダムの皆さんにお悔やみを申し上げます。



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