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おひれ(尾鰭)

魚の特徴の一つで尾鰭があげられます。
上の画像のスズメダイも尾鰭の端部が伸長していますし、付け根の部分から色が変化しているのも特徴だと考えます。
それほど大きな割合ではありませんが、尾鰭の色がボディの色と違う種がおりますので、何らかの意味があるのだと思います。
魚にとって尾鰭は移動のために重要な部位ですから、この欠損や障害は命に直結する謂わば致命傷と考えられます。

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この画像のアカオビハナダイの雄の尾鰭は、通常とは異なり3つの伸長が見られます(よく見ると4箇所)。青い縁取りが全ての端部にありますので、この形状は最近のものではなく、少なくても雄に性転換する前にはこのような形状であったことが予想されます。見た限りでは、この形状によって泳ぐスピードが遅いとか方向転換がぎこちないとかは無いようなので、問題はなさそうでした。周辺の雄と同様に繁殖行動も行っていました。

画像2

この画像のマツバスズメダイは、尾腐れ病(あるいは水かび病)と思われる個体です。アクアリウムや栽培魚場などで発生する病気ですが、あまり自然界では目にしません。もちろん、絶対に発生しない訳ではありませんが、少ないと思います。この個体は、卵を守っていたので雄だと考えますが、もしかすると産卵のための床を形成している時に、尾鰭を使って岩肌を綺麗にしていたのかも知れません(見ていた訳ではないので想像です)。その際、該当菌が付着して罹患したことが考えられます。

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この画像はケラマハナダイの雄ですが、2番目に紹介したアカオビハナダイと同様に雌性先熟の種で、雌から雄へと性転換をして繁殖をする魚です。雌の時は、アカオビハナダイとケラマハナダイは見分けがつかないほど酷似していますが雄に性転換してしまうと全く違う種であることが一目瞭然です。
アカオビハナダイは熱帯から温帯まで生息域の分布が広いのですが(もしかするとそれはここ数十年の出来事かも知れません)ケラマハナダイは熱帯から亜熱帯域の魚とされてきました。ところが、ここ数年の間に観察数が増え、つい3〜4年前に雄を初観察しました。今年になって既に5〜6個体の雄を観察しています。アカオビハナダイもここ10年ほどで増加傾向が著しく、ケラマハナダイに関しても同じような傾向を感じます
ここからは話のオチになりますが、その昔アカオビハナダイが三保真崎で見られるようになった、今では普通種だと言っていた頃は「話に尾鰭がついている」と言われたものですが、ケラマハナダイの定着・繁殖が確認できたらのならば、それは尾鰭どころの話ではなく、分布が「おぉ〜(広い)ひれぇ〜」ってことになりますが、小噺のネタではスマなさそうな違和感があります。

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