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【開催報告】糞土師伊沢正名さんがお伝えする「災害時でも困らない、快適葉っぱノグソ術」

「食べものを育てて備えるオンラインサミット」というオンラインの講演会イベントをしたときに登壇してくださった糞土師の伊沢正名さん。今回、伊沢さんの茨城県のご自宅にお邪魔しました。はじめてお会いするリアル伊沢さんは、画面越しに感じていたとおり、優しいたたずまいの方でした。

優しいたたずまいの伊沢さん。

そもそも、糞土師って何?何でノグソするの???

「食べものを育てて備える」というサミットを企画するくらいですから、私は食べるということに関心があります。食べることについて、そして身体や環境にいい食べものについて学んでいくと、その食べものの育て方へ行き着きます。伝統的な農業では、人糞を使うことは、どうやら当たり前だったらしい・・・しかも、栄養価の高い食生活をしていた、たとえば大名屋敷や武士などの家の糞尿は、素朴な食事をしていた農民の糞尿より高く買い取られていたらしい・・・というところまでは、学んでいく中でたどり着くことができました。

ところが「糞土師」伊沢正名さんは、あえて「糞」を「土」にかえします。そして「師」ですから、先生です。糞を土にかえす先生!!!(絶句)してしまいますね。その発想はどういうことなのか、が不思議でたまりませんでした。「肥やし」ですらなじみがない現代。アプローチがあまりに違います。心理的な抵抗感もあります。その一方で、私の尊敬する複数の人々が伊沢さんのことを手放しで賞賛していることも事実。であれば、何かすごい理由があるに違いない・・・!

伊沢さんにインタビューしてわかったこと。それは、つまりはこういうことなのです。

伊沢さんは、人間を自然の一部として考えています。自然の一部であるから、自然から命を受け取ったらその命は自然にかえすのが当たり前なのです。排泄物もそう。本来は亡くなった後の亡骸もそう。人にとっては、不要なものなので汚いものと感じるかもしれませんが、他の生き物にとっては「ごちそう」なのです。実際、ウンコが大好きな動物や虫はたくさんいるそう。そして菌類や微生物によって土になっていきます。そこからまた新しい命がはじまります。

その心を追求したのが「糞土思想」であり、さらに具体的な方法として、社会に迷惑をかけない、そして自然に循環しやすい形を追求しているのが「伊沢式ノグソ術」なのです。


「災害時でも困らない、快適葉っぱノグソ塾」開催報告

これまでも伊沢さんは日本中に出向いて「糞土思想」や「葉っぱ講座」をされていたそうですが、今回お願いして、オンラインでのモニター講座を開催しました。

「食は権利、うんこは責任、野糞は命の返しかた」
「場所選び 穴掘り葉で拭き水仕上げ、埋めて目印、年に一回」
ー糞土師 伊沢正名

「みんな身体に入れるもののことは、すごく気にするんだけれど、出すもののことは気にしない」
「でも、出すことのほうが大切なんですよ」と伊沢さん。

「出すことが大切」を一番実感しやすいのは災害時です。食べることはある程度我慢できますが、出すことは我慢できません。災害が発生したとき、真っ先に困るのはトイレ。トイレにほとんど行けないから、水分を我慢して体調を崩してしまう方がたくさんいます。伊沢さんは、断水してもトイレが止まっても、トイレットペーパーが無くても、まったく困らなかったそうです。

そして、伊沢さんが林に返した命は、次の命になって林を豊かにしています。

伊沢さんはもともと写真家。こちらは写真家としてのデビュー作品。

ウンコを土にかえすのは動物、昆虫、菌類、微生物。中でもキノコなどの菌類を例にして、たくさんの写真とともに、命の循環について学びます。

そしていよいよ、実践編。林でのデモンストレーションの動画を見ていただき、また、どんな葉っぱを選べばよいのか、参加者の選んだ葉っぱを見たり、たくさんある葉っぱを見たりしながら、話し合いました。

参加してくださった方の感想

人糞のお写真だけやや抵抗感がありましたが、分解過程への嫌気性/好気性の働きがとても分かりやすかったです。ぬか味噌をかき混ぜる理由もよく分かりました。野糞も「ただ土へ返す」という概念から、「菌類、動植物へこんなにも有効に自然に作用する」ということが理解できたので参加でき良かったです。どうもありがとうございました!

Nさん

『共生』という言葉が、とても印象的でした。自然とともに暮らしている方はこの言葉がよく聞かれるので、対人間だけではなく、この地球に生きるもの全てとの共生だと再確認できました。この地球には様々な菌から成り立っており上からみるか下からみるか見る角度で、感じること考えること行動することが変わってくるんですね。自分なりの排泄物(うんこなど)の命の返し方を、私なりに実践していきます。ずっとどんな感じで野糞するのか想像できなかったので映像があってよりリアルを認識しました。このような機会をいただきありがとうございました。

Kさん

今回のモニター講座でいただいた参加者のご意見も参考に、更に楽しくパワーアップした本講座をお届けできれば、と考えています♪開催するときは、オンラインサミットのメルマガからお知らせいたしますので、お楽しみに!

伊沢さんと林を歩いてみた

伊沢さん、糞土師として、なんと48年もの間ノグソを実践し続けているとか。そんなノグソをするのにぴったりな林を今は所有されていて、訪ねた際に、日が暮れる前に、と案内してくださいました。

田んぼや畑が広がる風景ですが、イノシシの害を防ぐための電柵もちらほら。
柵がないと作物がめちゃくちゃにされてしまうそう。

ここが入り口です。と伊沢さんが立ち止まったのがここ・・・ここ?!!というこちらの反応をニコニコ楽しむ伊沢さん。

とても入り口には見えないけど・・・

意外や意外。入ってみたら、中は明るい空間でした。そして、歩きながら色々な葉っぱを手に取ってみました。
例えば「ムラサキシキブ」と「ヤブムラサキ」見かけも名前もそっくりな植物ですが、手で触れてみると、感触は全くの別物!ムラサキシキブはちょっと薄くてすべすべするのに対して、ヤブムラサキはふんわり滑らかで柔らかい!!その違いは、うっすらと密集して生えている毛にあるようです。

こちらはヤブムラサキ
こちらは糞土師の木「ぎんどろ」の葉。
登る子どもたち!楽しそう。

糞土思想を学びたい方へー本格的に学べる糞土塾

今回、伊沢さんを訪れたのは、「糞土塾」をはじめるということをお伺いしたから。伊沢さんの持っている林を現場に、見て、触れて、感じて、学ぶ場。ホンモノの命の循環を体験する場として解放されています。
ぜひ、訪れてみてくださいね。

伊沢さんの生家でもある古民家は築200年超!の歴史ある建物
ありがとうございました!!

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