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FaBテクニック:ファティーグ戦略について


ファティーグ

ファティーグとは

ファティーグとは、デッキの質が落ちることを言います。デッキ枚数だけでなく、強いカードの残り枚数(特に色)や並び順もデッキの質と考えます。

ファティーグ戦略とは、相手のライフを攻めるよりも相手のデッキの質を落とすことを狙い、勝負を決められる有効な攻撃を相手が出来なくする戦略のことです。
相手が勝つために取れる手段を徐々に狭めていき、完全にファティーグに成功すれば、相手のデッキの中身的にどうやっても相手が勝てなくなる状況に追い込みます。

ライブラリーアウト(LO)を狙うと思われがちですが、それに限りません。例えば、自分が守り重視の斧Boltynを使っていたときでも相手のデッキが切れて勝ったときは数回で、ほとんどは普通に相手のライフを0にする方が早かったです。

とはいえ、戦略の性質上、ライフを0に出来るくらいファティーグが成功しているならあまり攻めずにLOを狙った方が安全なので、結果的にLOデッキを狙うデッキに近くなります。
また、戦略の性質上、ターンを超えて条件達成を目指す戦略と捉えることもできるのでコンボデッキと位置付けている人もいます。

ファティーグ戦略の方法

ファティーグ戦略をとる上で個人的に重要だと思っているのは以下の2点です。
・自分がファティーグしない=カード消費せず防御・攻撃する
・死なない
ファティーグといえば防御的なデッキという印象が思いますが、それは上の2つの反映で結果的にそうなるだけです。(あとデッキの質の低下を待つのでターンはかかる。)防御をすると言っても、カードを単純に防御に回すこと自体はむしろカード消費が激しくて良くないという話は今後頻繁に出てくると思います。

以上のことからファティーグに向いたデッキには「強いDR・Instant」「強い武器」「ヒーロー能力・装備」が備わってるので、それを紹介します。
これによるファティーグは少し古いカードデザインによるファティーグです。正直強すぎるので、この方向での強化は今後抑えられると思います。
後で紹介するArakniはこれに乗らないように新しい方法でファティーグ戦略をとるヒーローとしてデザインされてます。

補足:攻撃と防御の強さバランス

オンレート・アバーブレート

一枚のカードは普通に使えば3の価値が出るようになってます。3の価値でカードが使えていることをオンレートといい、それより高い価値でカードが使えた時アバーブレート、低い場合はビロウレートと言います。
雑に言えば、出せた価値の合計が高いほうがライフ勝負で勝てるのがFaBなので、アバーブレート、最低でもオンレートの攻撃を目指すのが基本的なプレイです。

攻撃の場合は赤いカードを使うとオンレートになります。防御のカードは防御値3のカードを使えばオンレートになりますが、表現価値の考え方では実際に防いだ値だけ価値と換算します。つまり火力2の攻撃を防御値3で防いだ場合は、防御カードしては2の価値しか出せずビロウレートになってます。
そもそも防御で素朴にアバーブレートを出そうと思うとDRが必要になります。

攻撃の強い面

FaBにおいて基本的には攻撃している方が強くなるように設計されています。単純にはアクションポイント分1ポイント価値が高く出せるからです。また、シナジーのあるカードの使い方や特殊な条件によってアバーブレートは攻撃をしたときの方が出しやすくなっています。具体的には、Rain RazorsBloodrush Bellowがシナジーでアバーブレートが出せる典型例です。

防御でオンレートの価値を出すには、相手の攻撃に依存していることも攻撃の方が強い理由の一つです。防御値が3のカードがあったとしても、攻撃力が2以下の連続攻撃に対してはビロウレートの防御しかできないですし、火力5と火力4の連続攻撃とかをうまく防御できるかは手札次第になります。つまり、効率よく防御するのは相手の攻撃や手札にかなり依存するので難しいです。

防御の強い面

防御にも強い面があります。攻撃の方が価値が出しやすいといいましたが、それは攻撃カードが赤(せめて黄色)を使っている間が基本です。デッキに赤や黄のカードがなくなってくると途端に攻撃で価値が出せなくなります。
一方、防御値は色が関係ないので基本的には防御で出せる防御値が下がっていくことはないです。(DRは別。なのでDRを中心に守る場合には「防御値のファティーグ」の問題が発生します。)
これがファティーグ戦略が成立する根本原理になっていると思います。

ファティーグ戦略で重要な3大要素

強いDR・Instant

防御でバリューが出せるDR、特に、Sink BelowやFate Foreseen、Unmuvableは基本です。
初期のDRはぶっ壊れ気味になってるので初期クラスのヒーローはそれだけでファティーグ戦略が出来る候補に入ります。Flic Flak、Steelblade Shunt、Staunch Responseどれも強いです。(Reckless Swingも強いですがファティーグとは別方向の強さ。)
特に、Flic Flakは2枚で9点防御を可能にし、Steelblade Shunt1枚と1リソースで6点防御というバリューだけで見れば本当にぶっ壊れ性能になってます。このような無条件で単純にバリューが出るカードは今後出ることはないと思います。

防御で使うInstantとしてはOasis RespiteやPiece of Mind、Reinforce the Lineが典型的な良いカードです。

ファティーグ戦略をとるときに必要なのはカード消費を抑えて守ることなので、1ターン当たりの防御のバリューだけではなく、防御しつつもピッチなどでカード消費が抑えられてるかどうかを考える必要があります。例えば、2枚で5点しか防げなくても1枚はピッチで使ってカード消費を1枚で抑えられたなら優秀です。(普通に2枚で防御すると2枚カードを消費している。)

強い武器

理想はカード消費が少なく攻撃できることなので、ピッチで強い武器が振れるヒーローはファティーグに向いています。基準としては青ピッチで4点以上だせるかどうかです。
Kodachiは火力は低いものの、1点を2回振れるため相手が効率よく守れないので悪くないです。
1コスト3点の武器もありますが1枚で守れてしまうのでファティーグの観点で言うと良くはないです。

ファティーグに向いたヒーロー能力・装備

カード消費せずに防御や攻撃でバリューが出るヒーローがファティーグ戦略が取れる候補になります。
典型例が、ピッチで防御ができる装備品でありCrown of Seeds, Rampart of the Ram's Head, Phantasmal Footstepsなどがあります。
ヒーロー能力としてはOldhimのディフェンスリアクションがあります。

ファティーグ戦術はかなり戦略の幅が広く、ピッチでバリューが出せたらなんでもファティーグに使える可能性があります。
Faiの能力も相手のターンにも使うことでOldhimをファティーグで倒せる強さを持っているくらいです。

おまけ:Arakniについて

Arakniはデッキの質を直接落とす能力があるという意味で完全にファティーグヒーローとしてデザインされているにも関わらず、これまであげたファティーグ戦略で重要な要素を完全に剥奪されているヒーローです。

ArakniおよびAssassinクラスの特徴

Assassinクラスは「アタックリアクションが強力」、「妨害効果が多くある」、「どのカードも防御値が3である」ことが特徴であることを前提していきます。ヒット時効果がそもそも通しやすかったり、相手との駆け引き(オーバーブロックなど)がすべての攻撃で発生するのですが、いちいち書くときりがないので基本的に省略します。

Contractのカードは赤で0コス4点、1コス5点、2コス6点のようになっており標準的な火力が出ます。(簡単にいうとバニラにContractという追加能力がタダで付いているカードプールになっている。)
Contractカードは「ヒット時に相手の山札を追放する」能力と、「(ややこしいので雑に書くと)Contractカードが場にある間追放したカードが指定した種類のカードだとシルバートークンを出すという」能力の2つの能力が付いています。(さらに追加効果があるものもある。)シルバーの効果の方はいったん無視します。
ヒット時追放効果と4点攻撃なので、相手は防御に2枚差し出すか、1枚差し出してもヒットすれば1枚デッキから追放できるので、カード枚数の1:2交換をするカードと捉えるのが分かりやすいです。

Arakniの能力はContractカードを使うときに相手のデッキトップを見て、下に置くかそのままにするかを選べるという能力です。Contract達成のための能力と思われるかもしれませんが、それはメインではないです。最初は単純にデッキの質の操作や次に引くカードが見れる能力だと思った方がいいです。

このように、デッキのカードを減らすカードとデッキの質を減らす能力により、Arakniはファティーグ戦略を一番直接的にできるヒーローです。ただし、純粋にこれまでのファティーグのやり方まで出来てしまうと強すぎるので、ぶっ壊れDRもないですし、単純バリューが高い武器もありません。また、go againもなく高コストの高火力もなく、武器も単純火力は出ないため、単純な殴り合いに向いているわけでもありません。

ということで、当初Arakniに興味をもったときに以下の理由から強いヒーローではないとあきらめていました。
 ・ファティーグをしようとしたときに、他のファティーグ戦略のように効率よく守れないため、守るとデッキ消費が激しくむしろファティーグ(LO)される。
 ・防御と攻撃でバランスよくバリューを出すミッドレンジ戦略を取ろうとしたとき、ミッドレンジテストがクリアできないため弱い。

ミッドレンジテストについては以下の記事を読んでください。

ということでArakniを使っていなかったのですが、Uzuriを使っているうちにAssassinクラスの強みが分かってきてプレイングも分かってきました。

簡単に言えば、別にデメリット効果があるクラスではないので、ファティーグやミッドレンジに拘らず、強力なリアクションや妨害効果、Codexなどのパワーカードでトータルで結果的に勝つことができます。

他のクラスと違って明快に強い動きがあるわけではなく特徴を説明しづらいので、他のヒーローと比較して立ち位置の観点で説明すると、
 ・初期LeviaやBoltynのように能力やカードプール的に普通の殴り合いでは勝てないほど、デメリットや立ち回りが極端ではないので、普通に戦える
ぐらいで捉えると分かりやすいかもしれません。

感覚としては、相手ヒーローや試合進行によってファティーグや殴り合いのバランスを柔軟に変えていくことをするヒーローと捉えるといいと思います。
・妨害や強力なリアクションによる心理戦がやりたい
・状況に応じて柔軟に戦いたい
・相手ヒーローの知識を生かして戦いたい
という人にオススメだと思います。

戦略は説明しづらいので、最後の節でArakniのプレイングについて少し書きます。(具体的にこういう動きは強いとかは書ける。)
また、以前書いたUzuriの記事も参考になると思います。やり続けると分かってくるのですがAssassinクラス自体のプレイングに特徴があるので、ヒーローによって採用カードやできる動きは違うものの勝ちを目指すために使う頭の使い方は共通していると感じています。
(この意味でいいクラスだと思っています。)

補足:最近の武器のデザイン

武器はクラスの特徴を決めるカードです。その上で、以前は単純に火力が高く、ファティーグ戦略に向きすぎているカードが多すぎました。
そのため、最近の武器は単純なダメージ効率は低い代わりに相手に選択を迫るカードが増えています。典型例がAssassinのダガーに加えてFlail of AgonyBanksyです。
具体的に言えば、ヒットするとバリューあるいは動き的に得するが、防御されるとバリュー的に損する(その代わり防御にカードを使わせることができる)というものになっています。

アサシンのダガーの場合、それ自体がヒットしても明確なバリューは出ず、その後のカードが相手が防御しづらくなるかどうかで初めて意味を持つので、攻撃側も防御側もより難しいカードになっています。

雑記:Arakniプレイング

内容をまとめて分かりやすくするのは面倒なので列挙していく方式にします。

・デッキ消費を墓地で確認する
ファティーグの際は山札の枚数を相手と比較しがちですが、Arakniを使う場合は相手と自分で墓地の枚数の比較をする癖をつけるといいです。
ファティーグのプレイングではデッキ消費を抑えることが重要ですが、Arakniはそれが難しいヒーローです。なので、山札ではなく墓地の枚数を比較することで純粋な攻防によるデッキ消費の優劣が分かります。Contractがヒットすることでトータルではデッキ枚数差を埋めることができます。
デッキの差だけを見ていると何が勝因か分かりにくく経験を積むためにも、墓地の枚数の比較もしましょう。

・アタックリアクションを覚える
Assassinはアタックリアクションが重要ですが、択になっているのでどういう駆け引きをしているかを理解している必要があります。
〇Cut to the Chase:Contractしか対象に出来ないが0コストで3バフできる
〇Shred:Assassinアタックにしか使えないが相手の防御を1枚分無効にする。防御しない、あるいは、ダメージを受けたくないときはオーバーブロックが必要になる選択を迫る。Temper防具を使ってきたときに1回で破壊するなどいろんな応用がある。
〇Spreading Plague:オーバーブロックをとがめるカード。リソースがないと使えない。
〇Flick Knives:駆け引きとしては、DRで4点ジャスト防御を無効にする使い方がある。それ以外にもSand Coverを無効にするなどいろいろ応用がある。
〇Blacktek Whisperers:ヒット時go againをいつでもチラつかせることができる。決定的なダメージを与えるときにはこれが重要になることが多い。

リソースがなければSpreading Plagueの警戒を相手はする必要なくなりますし、手札がなければBlacktek Whisperersも警戒する必要がなくなります。いろんな可能性を残して相手に難しい選択を迫るのが重要です。

・手札を余らせた状態で攻撃する
Assassinの一番強いところはリアクションですが、手札がなければ相手は警戒する必要がありません。なので、手札が使いきれないとしても手札を余らせた状態にすることは重要です。例えば、Contract 2枚の手札だとgo againがないため1枚しか使えないですが、相手にリアクションを警戒させられる上に、アーセナルにアタックを置くことで次のターンで3枚防御したとしても2枚で返せることができます。
何枚の手札でも柔軟に動けるのがAssassinのいいところですが、1, 2枚の動きしかしないとしても2, 3枚残すことが強い動きにつながることを踏まえて防御を考える必要があります。

・Assassinの詰め能力を信じる
Assassinはライフを削り切る力がダントツでトップです。そこまで踏まえて戦いましょう。
例:相手の体力が9のとき、Already Dead(Contract 6攻撃)で残り手札が2枚のとき、相手からすれば3防御1枚でも余裕で耐えられると思うかもしれませんが、Cut to the ChaseとShredで仕留めることができます。Flick Knivesも考えたら10点でも通せます。
4枚手札の攻撃なのでそれほど狙える動きではないですが、相手の甘い守りとしては十分ありえます。2枚も手札を残していて相手がカードプールを知っていればこんな甘い防御はないですが、いろんな選択肢があるので相手も完璧な防御は不可能です。

・Arakni能力の優先度
Arakni能力はContract達成のために思われがちです。(相手はそういう反応をしてくることが多いです。)よくあるのは、トップをキープした場合はContract対象だと思われてることがほとんどです。
実際のところ、そもそも追放できるかが攻撃側からは分からないことが多いのでContract達成だけが理由でトップに残すことはほとんどないです。
自分はおおよそ以下の優先度でArakni能力によるトップ入れ替えを判断します。
 カード位置入れ替え自体の価値>カード追放>Contract達成
カード入れ替えというのはデッキの質を落とすのがメインの目的です。他にも「強力なカードがトップにあり追放も期待できなくてドローされた場合に面倒」な場合に下に送るとかいろいろ応用ができます。追放はon hit効果ですが入れ替えは確実にできるのでその判断の質を上げるのがArakniを使う上で重要だと思います。

・Arakniで注目のカード
Arakniが他のAssassinと違う良いところは、青や黄色を入れて動くヒーローであるところです。ダガーも振りやすいですし、1コスと2コスの組み合わせの攻撃もしやすいです。
Annihilate the Armed:Contract達成しやすいところも強いですが、それ以上に1コス5点が強いです。逆に言うと0コス4点が意外とそんなに強くないです。特に1コス5点だと赤から青まですべてがいい仕事できるのが良いところです。

Come to Fight:Already DeadやCommand and Conquerと相性がいいですが、普通のContractに使っても十分強い。注目は防御値が3のところです。Arakniは1枚の防御値が3を基本として計算しながら攻撃の返し方を考えるので、悪い引きで防御しづらくなることを考える必要がなくなります。このカードがあれば少なくともBlitzだとかなり攻撃的なArakniでも普通に成立します。(入れても防御が弱くわけでもない。)


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