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酪農現場でおからは粗飼料の変わりになりえるのか? ~個人的な見解~

久しぶりにnoteに帰ってきました(笑)

現在、畜産酪農現場は類に見ない飼料高騰や資材などの高騰なども重なり非常に厳しい環境下にあります。そこで飼料高騰に対して安価な餌やエコフィードといった餌に注目が集められています。
しかし、これらの餌は使い方を間違えれば「使わないほうが良かった」なんてこともあったりします。
そこで私がずっと前から気になっていたことを書き綴ろうと思います。
このような餌は私の経験上「使い方が難しい」「使い方が分からない」といった声を多く聞きます。
では時々聞く「〇〇は粗飼料の代替えになる」「〇〇は△△の代替えになる」というのを私なりに考えていこうと思います。
あくまでも個人的な見解ですのであしからず(笑)

生おからは粗飼料の代替えになるのか?

おから分析表

今回は生のおからで話を進めます。
上記があるメーカーのおからの分析表です。

昔ある農家さんがグラスサイレージの代替えにおからを使用し上手くいったケースがあるのでご紹介します。
この農家さんは増頭により自給飼料のみでは粗飼料が足らなくなってきており、その際におからを使用することにより粗飼料不足を解消したケースです。ご紹介する数値はその時のものではありませんが概ねこんな感じでなはいかと思います。さておからは粗飼料の代替えになったのか?

おからが粗飼料の代替えになるケース

一般的な飼料におからを足す際にグラスサイレージと代替えしてみるとどうなるか?成功する可能性のある場合。

乳量30㎏/頭の設定 成分

上記はグラスサイレージを5㎏/頭減らし、おから5㎏/頭を給与した場合の成分です。※今回はたまたま現物5㎏で乾物も合ってしまいましたが、本当は現物ではなく乾物量をイコールにするイメージですます。

この場合おから区でも悪くはないですね。
もう15年以上前になりますが、おからを給与してグラスサイレージを減らした方がいました。この方曰く「自給飼料が足りなくなってきていたので、おからがあって助かった」とよく話されていました。おからを給与してグラスサイレージを減らしていました。
実際にはおからを10㎏/頭くらい給与していましたので、もともとはもっと粗飼料NDFが高かったのではと考えられます。
この場合、意図的に粗飼料NDFが高い設計の際におからを使用して粗飼料NDFが低くても大丈夫ということを頭に入れて変更したというよりも、たまたま数値があって結果オーライ的な感じであったと思います。

この農家さんは「おからはグラスサイレージの代替えに出来る」という表現をします。この発言に対して思うことは最後に書きます・・・

一般飼料区に比べておから区は粗飼料NDFが低くなり乾物摂取量が増える可能性があり、MEもMPも上がっているので乳量も増える可能性があります。
これだけだといいことばかりに聞こえますが、実際の目標設定ではない結果になるので乾物摂取量が増えたり乳量が増えたりした場合はその後微調整が必要になってくる場合があります。微調整をしなければ徐々に思った通りには行かなくなる可能性があります。

もともと粗飼料NDFが高いケースでは単純におからと代替えをしても上手くいく可能性があるのかなと思います。

おからが粗飼料の代替えにならないケース

乳量30㎏/頭の設定 成分

上記はグラスサイレージを5㎏/頭減らし、おから5㎏/頭を給与した場合の成分です。※今回はたまたま現物5㎏で乾物も合ってしまいましたが、本当は現物ではなく乾物量をイコールにするイメージですます。

先ほどの飼料変更の仕方と全く同じですが、違うところは元の餌の成分が違うということです。代替えできるケースでは粗飼料NDFが25.8%であったのに対して今回は23%です。今回のケースだとおからを5㎏給与すると粗飼料NDFが19.4%とかなり低下してしまいます。
このようなケースではおからをグラスサイレージの代替えとして使用するこは不安です。
乾物摂取量がが上がった!乳量増えた!となるかもしれませんがその後は・・・不安です。

本来はおからとグラスサイレージをそっくりそのまま変えるということはせずにおからを使ってコスト低減をし、成分は変えずに乳量などはそのままというのがい成功といえるのではないでしょうか。

じゃあどうやるんだ!ということですが。。。

当たり前すぎてすいませんwww

上記はグラスサイレージとおからを単純に置き換えるのではなく、成分を出来る限り変えずに飼料設計をしてみました。
おからは今までと同じ5㎏/頭給与しますが、グラスサイレージを減らすのではなく配合飼料を減らしてとうもろこしやビートパルプを増やしながら成分を調整していきます。
一般飼料区とおから区ではほぼ同じ栄養成分になっていますので同じ結果がでる可能性は上記2例よりも高いのではないかと思います。

まとめ?

栄養成分が同じだから何らかの粗飼料と代替えできると考えるのではなく、栄養以外の粗飼料ならではの特徴があります。当たり前ですが反芻です。基本的には反芻に対しては餌の長さや粗剛性が必要になりますので、その辺りが期待出来そうなエコフィードであれば粗飼料との代替えは可能になるかもしれません。しかしおからなどは長さもなく粗剛性も弱いため粗飼料と同等の反芻を期待することは出来ません。

あと、エコフィード(←やっぱりエコフィードって言うの慣れない笑)を多給していくとどうしてもaNDFomの値が高くなってきます。一般的にはaNDFomが増えると乾物摂取量が減る傾向にあると思われがちですがエコフィードのaNDFomに関しては消化性や消化スピードが粗飼料に比べて高いくて速いのでそれほど気にしなくてもいいです。エコフィード多給しながらaNDFomの値を保とうとすると必然的に粗飼料を減らしていかなければならなくなります。基本的にはそのようなことはしなくてもしっかりと乾物摂取量は維持できると思いますし、粗飼料を減らすことによるリスクのが高いと思います。

最後に「おからはグラスサイレージの代替えに出来る」という表現に関してですが、農家さんが自分の経験上発言することは実際にそうなったので良いと思いますが、私のように不特定多数に伝えることが仕事という人が同じく上記の発言をするのには違和感を感じます。

私は農家のためになる情報発信をしていきたいと思っていますので、たまたまそうなってしまったことをあたかも「そうなる」というような表現では伝えられません。
本気で農家のためだと思っていたことが実は違うなんてこともあるかもしれませんがそうならないようにしていきたいなぁと常に思っています。

こんな情報がどこかの誰かの役に立つことが出来れば幸いです。
もしくは何か質問やもっとこうじゃないか!というようなことがあればいつでもご意見頂ければ幸いです。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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