卒業した話


3学期になると、小学校側から校長や教頭と私の母中学校側から校長と教頭の数名で学校生活で気をつけるべき点や注意事項、緊急時の対応等の話し合いが連日続いた。


私はと言うと、友達と入学後の生活に胸を躍らせ期待に満ち溢れていた。

卒業式の日、もちろん両親に妹、祖母まで駆けつけてくれて私の門出をお祝いしてくれた。


例年、私の通っていた小学校では卒業証書授与の際に、本人のバックにあるスクリーンに幼少期の写真を写して一言メッセージを言うことになっていた。


友達はみんな、リハーサルの時から将来の夢や中学校に入ってからの目標を宣言していて私は悩んだ。
将来の夢もあるし、中学校に入ってからやりたいこともあるけれど他にも言うべきことはあると思ったから。


悩んだ挙句、私は本番当日名前を呼ばれたあと持ち前のドデカボイスでこう言った


『私は12年間、奇跡のなかで生きてきました。この奇跡は周りの人の助けがあったから成り立っていたものだと思います。この先も奇跡が続きますように。今日も明日も明後日も世界で1番幸せです。』


大声で言い終えた後、校長に卒業証書を渡された時顔を上げると涙目の校長がいた。
校長はマイクに拾われない程の声で
『頑張ったね。』と言ってくれた。

保護者席を見ると母も祖母も泣いていた
入学した日はまさか自分が医療的ケア児になるとも思わず、これから始まる学校生活に胸を膨らませていた私が、6年の時を経て医療的ケア児として卒業式に出席していたことが不思議であると同時にこれもまた奇跡なのだと感じた

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