デ・キリコ展

参戦してきたので書き散らし
休日の上野駅公園口は本当にいつも混雑していて辟易としてしまう
が、東京都美術館は想像より人も多くなく快適と言ってよかった

入ってすぐ驚いたのが展覧会場の構成
言い方にセンスがなさすぎるけど壁にいっぱい穴が空いていて反対側も見られる配置
これどういう意図があったんだろう
少なくとも自分は穴から先の作品が見えたときはワクワクしたし、
すでに見た作品が見えたときはもう一度見に戻ろうかな、という気持ちになった
よかった

はじめの方はひたすら自画像や家族の肖像画
なんというかこの時点からすでに周りと一線を画している感はあった
知らんけど

形而上絵画ゾーン入るともう完全に事前に知ったキリコワールド
イタリア広場とか見ると否応なくテンションが上がる
知ってる作品を目の当たりにできるだけで来る価値があると改めて思う

キリコの作品にたびたび描かれるインテグラルみたいなのなんなんだろう
ユーティリティ形而上パーツなのか
あと屋根とか床とか均一な線すぎて境界線がぼやけて脳みそぐちゃる
なんか見たまま描く印象派とか、捉え直しのキュビスムとかと違って
完全にキリコの脳内で完結してるものを見せられてるから解釈に糖分を要する感じした
でもその解釈を幅広く取れるのがまた人を惹きつけるんだろうなとも思う

水浴系のところはもうカオス極まりない
みんなやたらお水に入ってる
あと水の描き方が完全に統一されててもう逆におもしろい
ギザギザ描いたらもうそれは水らしい
今度自分でも描いてみようか

マヌカン期に入ってくるともうさらにワールド
表情が何も無いぶん見てる側の想像力というか、こうだったらいいな、を気楽に当てはめられる感じが好きだった
表情が無いぶん、体の中に属性埋め込んでるのかな?と思った矢先にどれかの解説にドンピシャ同じこと書いてあって嬉しかった
ようやくセンスが磨かれてきたか
マヌカン系で特に気に入ったのは「南の歌」
それまで無機質だったマヌカンに温かみが足された感じ
確かルノワールだか印象派画家に影響を受けたみたいなことが書いてあった気がする
確かに柔らかーい感じがルノワールっぽくて、印象派から西洋美術入りした自分が親しみをもつのもよくわかる

さらに進んで、本当に最後くらい
セクションでいうと「新形而上絵画」のところ
ここがなんというかカオスの霧から抜け出してきたのかな?という印象
なんとなく明るい色使うのが増えたのかな?
「放蕩息子」けっこう好き
好き勝手生きてきた息子の方が逆に雁字搦めになって何もできないのに対して、自然に生きてきた父の方がほぼ裸一貫逆になんでもできそうな対立構造がおもしろい
とここまで描いたけど父と息子の解釈逆な可能性もある気がしてきた
自由に生きまくって裸の息子が、選択肢がほとんどない父親を見下しているのか…?
まあどっちでもいいか、で終われるのがよいところ
答えなんてないでしょう
「瞑想する人」も好き
元々写真か何かで見たことあったけど、実物見るとまた違う
瞑想しすぎて思考に閉じ込められている感じがなんとも形容し難い
でもまだ右手はギリ動かせそうだし、外が見える窓がわざわざ描かれてるのは希望の道筋なのではと思う
てかこの絵たぶん右にあるその窓が光源のはずなのに影も右側に伸びてておもしろい
この絵に限った話じゃないけどキリコの絵はたびたび光源どこにあんねんというのが多くてそのあたり注目してみてもよさそう
形而上なので光源なんて関係ないんですかね
「オデュッセウスの帰還」これが今回のイチオシとなりました
まずシンプルに全体としてキュートすぎる
落ち着いた色使いもいいしあと別に水浴期がダメなわけじゃないけどそれと比べるとめちゃくちゃ水をちゃんと描いてくれててありがたい
壁にかけられたイタリア広場、窓から見えるギリシャ神殿、やっと室内に配置してもらえた家具たち
アニメの最終回くらい集結してる
自分の画家としての旅路とオデュッセウスの帰還を重ね合わせてるのでは?みたいな解説を見てなんなら涙が出そうになったし、15分くらい見続けてたと思う
旅路はこれで終わりかと思いきや奥のドアは開いてるのでまだまだキリコは止まらなさそうという印象も好き
これは好きすぎてポストカードもマグネットもミニチュアキャンバスも買っちゃった
家の諸所にオデュッセウスがいる生活、いかがでしょう

最後に、ミュージアムショップへの力の入れようもすごかったと思う
前に都美に来たのは印象派展の時だったと思うけど、こんなにコンセプトに合わせてたっけ?と
図録の並びとか、ポストカードの配置、他アイテムの並べ方もそうだし、あとは配色も好きだった
どこまでが考慮されたものかわからないけど、人が多くても動線が完全に埋まるとかもなく快適にお買い物できた
ありがとうございます

初めて展覧会の感想を書き殴ってみてるけど楽しい
その時気付けなかった感情とかも想起できる気がする
と同時に、感想書くなら言ってから日を空けたら大変だし図録は買った方が絶対にいい
キリコ展に関してはどうして図録買わない選択したのかがわからない
ので会期中にまた行きます


次の狙いは福島でやってるダリ展
なんとか時間空けて日帰りで参戦したい

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