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(2021.12.14 The Critic誌記事和訳) トーキングショップでの練習

2021.12.14 The Critic誌の記事
An exercise in talking shop
https://thecritic.co.uk/an-exercise-in-talking-shop/
をDeepLアプリ+適宜修正で日本語訳しました。

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トーキングショップでの練習

〜「転換療法」の禁止は、見かけほど簡単ではない

(訳註:トーキングショップとは「議論が行われるが決定権のない場所」、俗語では「オフ中にする仕事の話」みたいです)

by キャスリーン・ストック

英国政府は、「人の性的指向を変える、あるいはトランスジェンダーに変える、あるいはトランスジェンダーから変えることを意図した」あらゆる会話療法を含む転換療法を禁止したいと考えている。

傍目には、性的少数者の生活への強引な治療介入を阻止するための賞賛に値する試みのように見えるかもしれない。現在行われている禁止に関する協議の序文にあるように、"我々はすべての個人が自分自身でいる自由を持つことを望む "と言っているのだ。しかし、残念ながら、政府の提案の背後にある混乱した考え方は、正反対のことを達成する可能性を持っている。

ストーンウォールの提案の基本的な問題は、性的指向と性自認を「LGBTアイデンティティ」という見出しでくくっている点にある。この点で、彼らは標準的なトランス活動家の論理に従っており、すでに他の国々で転換療法の禁止をもたらすことに成功している。しかし、LGBTのアイデンティティなどというものは存在しない。増加中の、自らを「クィア」と呼ぶエッジの効いたヘアスタイルの異性愛者を意味するのであれば、話は別だが。むしろ、この提案によって影響を受ける可能性があるのは、a) ゲイ男性 b) レズビアン c) 両性愛者 d) 性自認の不合がある人々の4つのグループである。

最初の3つのグループに属すると見なすには、少なくともある期間、同じ性別(sex)の人々に惹かれる必要がある。もしあなたに当てはまるなら、これはアイデンティティ(自認)というよりも、あなたのセクシュアリティ(性的指向)に関する事実といえるだろう。したがって、4番目のグループのメンバーだけが、「アイデンティティ」という観点からもっともらしく特徴づけられる(実際、「性自認」という名前が示すように)。

性自認の不合があるということは、心理学的に言えば、異性の理想像、あるいは男女両性(ノンバイナリーの場合)に自身を強く同一視することを意味する。男性(male)は女性(female)の性自認を持ち、女性(female)は男性(male)の性自認を持つことができ、両性とも二元的でない性自認を持つことができる。これらのアイデンティティ(自認)は、多くの場合、違和:自分の性別(sex)のある身体に対する苦痛な嫌悪感 を伴う。

専門家によれば、性的指向は少なくとも思春期後期までに、場合によってはそれ以前に固定化されるというので、性的指向の転換療法を禁止するのは理にかなっている。治療的に介入しようとしても無駄なようだし、トラウマになる可能性もある。異性愛から転換させようとする試みも全く同じである。

“適切な治療法の探求を犯罪にすることは、デフォルトで転換療法になるかもしれない

しかし、性的指向とは異なり、性自認は人生の様々な段階で出現したり、変化したり、消滅したりする。これは、同一化の心理的活動に期待されるところだ。トランスアクティビズムはしばしばこれを否定することに力を注ぎ、ストーンウォールは性自認を「生得的」なものと定義している。しかし、その潜在的な可変性は、かつて性自認の不合に基づいて自らをトランスと分類していたが、もはやそうではない人々、すなわち脱トランス者の増加によって明らかにされる。

つまり、性自認に関して「自分が自分である自由」を与えるという政府の説明には、すぐに問題があるとわかるのだ。一時的なものになる可能性のある性自認の不合が、なぜ自動的に本当の自分として扱われなければならないのだろうか。治療を経てたどり着いた脱トランス後の方がより本物の自分であることも、同様にあり得る。

この疑問は単に学問的なものに過ぎないように思えるかもしれないが、性自認の不合があることが、思春期ブロッカーやホルモン剤の服用、手術といった永久的な身体改造の行為と関連していることを思い出すと、切実なものとなる。

性自認の不合がある人には、子ども、青年、若者が含まれる。現在、英国では、16歳未満は思春期ブロッカー、16歳以上はクロスセックスホルモン剤と手術が利用できる。これらはすべて、身体に消えない痕跡を残すものだ。若くて経験がない場合、治療で実際に何が起こっているのかを自由に検討する余地を残すことが不可欠であると思われる。ある種の議論を事前に犯罪化することは、このプロセスを害することにしかならないのだ。

そして、さらに悪いことに自閉症者や性的虐待の過去を持つ人々と並んで、ゲイやレズビアンの思春期の子は、他のグループよりも性自認の不合を示す可能性が高い。タヴィストック性自認サービスの臨床医は、彼らのクリニックにいる同じ性別(sex)に惹かれる若者の数が平均より多いことを報告している。政府は、例えば、男性の性自認を持つ女性はトランスであり、そのように解決しなければならないとほのめかしているが、実際には、彼女はまだ自分の性的指向に関する矛盾した感情と折り合いをつけていない若いレズビアンであるかもしれない。

個人差はあるが、彼女の状況を治療的に適切に検討することを犯罪とすることは、デフォルトで転換療法となる可能性がある。つまり、生殖能力と生まれながらの性別(sex)の特性をそのままに、同性愛を幸福に受け入れて終わる道から、医学的なトランスの道へと転換させ、たとえその時は熱心に同意したとしても、後で後悔するかもしれないのだ。

政府は、「人をトランスジェンダーに変える、あるいはトランスジェンダーから変える意図を持つ」会話療法だけを明確に対象とすることで、これらの問題を回避できると考えているようだ。ストーンウォールの代表であるナンシー・ケリーもこれに同意しているようで、「転換療法の禁止は、治療関係において...性自認を探求することを妨げたり制限したりするものではない」となだめるようにツイートしている。しかし、これは明らかに誤りである。

自身の同性愛を認めさせる目的で、「男の子のように感じる」という若い女性の語りを長年の経験で探求するセラピストは、外から見ると、彼女をトランスの人からそうでない人に「変えよう」と意図する人物と同じに見えるかもしれない。どんな法的テストも、その違いを簡単に示すことはできない。

政府の提案は明らかに見直す必要がある。現状では、若いゲイやレズビアンを保護する手段として構想されているものが、実際には彼らに深刻な被害を与える可能性が高いのだ。批評家からの圧力により、政府は最近、精査のために8週間の追加期間を設けた。しかし、どんなに手を加えても、取り返しのつかない身体的変化をもたらすかもしれない治療関係に法律が介入したときに生じるはずの深刻な問題を取り除くことはできない、という懸念は残る。

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