愛の冷蔵保存と魂の存在


母の姿を追って水に飛び込むことを1年、2年、3年……と続けていくうちに深く潜れるようになり、とうとう水底に眠る母親と再会を果たす。そこは水温が低いうえ塩分濃度も高いため、母の遺体は生前そのままに保存されていたのだ。

『ワタリ』の中で、主人公が殺された恋人の亡骸(なきがら)を湖の底に置いて冷蔵保存してゐる場面があった。
主人公は少年で、恋人も、女の子。
ほんとにまだ幼気な女の子が、丈の短い・ふくらはぎの半分が出た着物で横たはってゐる。
水底での接吻。

魂を信じない人間には、これしか方法は無いのかと、ものすごく胸が痛んだ。
・・・のを憶えてゐます。

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