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言葉を考える 中国語には濁音が無い!

大家好!

これは中国語(と言っても中国で話される五十以上の言語のうちのひとつである汉语)で「みなさんこんにちは!」と言うほどの意味で、中国人が独自に決めた発音記号(=拼音、ピンイン)で書くと(Dàjiā hǎo)。

James Curtis Hepburn氏らが制定したヘボン式ローマ字表記に慣れている日本人が拼音表記を見るとDの字が見えるので、これは濁音じゃないか、、、と思いがちだが(Dàjiā hǎo)は濁音が無い。

実際に聞こえる音をカタカナにしてみると、確かに「タージャ・ハオ」の様に聞こえ、「ダージャ・ハオ」ではない。

これは大家好!に限ったことではなく、中華人民共和国の国民の65〜80%の人が使っていると言われる汉语(Hànyǔ)全体に濁音が全く無いのだと!

中国語(汉语)を学び始めてみると、とにかく発音が超難解。

全ての音を高々五十音+α(濁音や半濁音など入れてもせいぜい百音ぐらい?)の音にマッピングしてしまい、カタカナで表記できる程度の解像度しか持たない超単純な日本語音声に慣れている日本語母語話者にとって、子音21種、母音36種を言い分け、聞き分ける中国の汉语の音韻的解像度は超ハードルが高いですね。

しかも、しかもですよ、拼音でDAと記述される音もTAと記述される音も、いずれも濁音ではなく、清音の内でDAとTA。

それ以外にもGAとKA、BUとPUなど、日本語なら濁音と清音で区別する様なペアを清音の中で区別しなくてはならない。

どうやら汉语には、有気音と無気音という区別があるらしく、これはどちらも有声音であって無声音では無いから声帯は振動するのだが、声帯が振動するまでの超短い瞬間に「子音だけを発する」瞬間を入れるか否かと言う区別らしい。

例えばDAは濁音では無いので、日本語のタと似た様な発音になるが、これが有気音のTAになると、子音のTと母音のAの間に僅かな間隔があって、Tの破裂音だけが聞こえた直後に母音のAが聞こえる、、、様な感じ。

有気音の気とは音にならない気流が聞こえると言う意味なのかもしれないですね。

でもね、解剖学みたいに小さな部分を分解して、拡大して、仔細に見て行くと上記の様なことになっているけれども、実際の会話などで、DAやTAは頻出連打されるわけだし、TAや DAに混ざって、GAやKAも、BUもPUも頻出するわけだから、これら頻出する基本的な音素を有気音と無気音に区別して発音しなければならないし、この区別ができないと多くの語彙が同音異義語に聞こえてしまう。

相手の話を聞いて理解するlistening力も向上しないと言うことになるので、中国語(の中でも汉语)の発音問題は、登山に例えたらアイガー北壁の様に立ちはだかっており、初学者の我々を近寄らせない恐ろしさを感じてしまいますねぇ。

中国語(汉语)には欧州の言葉に多いsadやlookやbitなどの子音止め、つまり母音の後に子音が来て終わる発音が少ない(語尾のnとngぐらいか?)ので、子音21種と母音36種の組み合わせと言っても、子音+母音+子音の組み合わせほどの数にはならないが、子音+母音だけでも単純計算で21✖️36=700以上の可能性があって、そこからマス目はできても中に入る実例がない「空欄」を除いても400種ぐらいの音を区別しなくてはならない。嗚呼。

この約400種の音を区別するだけで無く、その音の高低(声調)も4種類あり、声調を使わない軽声をカウントすれば5種の区別があるわけですから、単純計算で400✖️5=2,000種ぐらいの言い分け、聞き分けができる様になるのだと思って、中国語学習を楽しみましょうか!



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