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統率者戦ルール訳および注釈 (2024/04)

(承前)この記事は米国製トレーディング・カードゲーム "Magic; the Gathering" に関する記事です。

この記事は2021年に書いたものですが、統率者戦の方針(Philosophy)が2024年4月に更新されたことを受け、記事内容を複製・更新して公開しています。そのため、一部の表現は過去の記事と同様になっていますのでご了承ください。

統率者戦の公式ルールは、統率者戦ルール委員会 
 https://mtgcommander.net/
によって作成されています。しかし日本語に言語を変更してもGoogle翻訳であるので、以下にルール部分の拙訳を記載しています。また、ルールに関してはCRに比べて簡略化されているので、注釈をつけています。より詳しいルールを知りたい方は、CR903を参照してください。

統率者戦の方針 / The Philosophy of Commander

 統率者戦はマジック:ザ・ギャザリングの伝統的なフォーマットとは一線を画しています。伝統的なマジックのフォーマットは継続的に改良が行われ、自分の利益は他者の損益になるようなゲームプレイが望ましく意欲的になるような環境を作るために管理されています。
 これに対し、統率者戦はそれらのゲームプレイだけが目指すべきものではない環境を提供します。統率者戦ルール委員会は、そのルールと禁止リストを定めることにより、統率者戦にふさわしいゲームプレイの方針が守られるように強化しています。

この方針は3つの原則によって定義されています。

懇親的 / Social

 統率者戦は懇親的です。各ゲームはプレイヤーが共有する体験であり、そこではすべてのプレイヤーが関係者全員のゲーム体験に配慮します。すべてのゲーム的勝負は競技的であるのと同じ意味で、マジックもまた競技的です。しかし、競技という行為が懇親的な雰囲気と対立するときはいつでも、統率者戦は懇親的な雰囲気を優先し、それを守ります。

この原則に基づくフォーマットの管理は、下記を目的としています:

  • ゲームという体験を共有することで、人々が絆を深められるような、前向きな共同体験を奨励する。

  • プレーヤーが自分の好みを伝え、期待されうる体験を共有できるようにする。

創造的 / Creative

 統率者戦は創造的表現のためのフォーマットです。歴史あるマジックのほぼすべてのカードプールを使って、ストーリーライン上の伝承や物語、そしてアートの展示などに根ざしたデッキを構築することができるフォーマットです。また、プレイヤーがパズルのようにカードのメカニズム的な側面を組み合わせ、探索する中で斬新で高揚する構成を発見しお披露目する場でもあります。

この原則に基づくフォーマットの管理は、下記を目的としています:

  • プレイヤーが特定のデッキ構築方法に従うことを強いられない環境を促進する。

  • 利用可能なカードプールを最大限に活用する。

  • マジックの公式コンテンツが新しく作成された場合、それをフォーマットに組み込む。

持続的 / Stable

 統率者戦は持続的なものです。統率者戦のプレイヤーは、プレイを通じて自分のデッキを最適化することでデッキに感情移入するようになり、その絆はゲーム体験の重要な部分となります。統率者戦のデッキを構築するプレイヤーは、長期にわたってそのデッキと付き合うことができる自信があるでしょう。

この原則に基づくフォーマットの管理は、下記を目的としています:

  • 必要であれば、フォーマットに変更を加える。ただし、それがたとえ大きな変更であったとしても、メタゲームを定義するためや、「大変革を及ぼす」ためや、あるいは近日に話題となった事例に即応するためではない。

  • プレイヤーが積極的にデッキを維持管理しなければならないような変更は最小限にとどめる。

 統率者戦ルール委員会の役割は、これらの原則が他の目標や方針と対立する場合にそれを維持し、起こりうる決定で優先順位付けが必要な場合に、互いのバランスを取ることです。

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統率者戦ルール

 以下のルールを読む前に、上の「統率者戦の方針」をお読みください。単にルールを守るだけでは、良い体験をすることはできません。

デッキ構築ルール

1.プレイヤーは統率者として伝説のクリーチャー・カードを1つ選びます。

(注釈)一部のプレインズウォーカーは、「統率者として指定できる」能力を持つものがあります。これらはクリーチャー・カードではありませんが、統率者として選ぶことができます。また、共闘能力により1枚ではなく2枚の統率者を選択することもあります。

2.カードの「固有色」は、そのカードの色とテキスト内のマナ・シンボルの色を足したものです。カードの固有色はゲーム開始時に決定され、ゲーム内での効果によって変更されることはありません。カードの固有色のうち1つでも、統率者の固有色に含まれないものがある場合、そのカードはデッキに入れることができません。

(注釈)より正確には、カードの固有色は「カードのマナ・コストにあるマナ・シンボル」「色指標など色を定義する能力」「テキストにあるマナ・シンボル」で決定されます。《鉄のゴーレム、ボッシュ/Bosh, Iron Golem》はマナ・コストには色マナシンボルはありませんが、起動コストに{R}があるのでそれの固有色は赤です。また、《地下墓地の選別者/Catacomb Sifter》は、欠色を持つので色は無色ですが、マナ・コストに{G}{B}があるので、これの固有色は黒緑です。

3.統率者戦のデッキは、統率者を含めちょうど100枚です。相棒(能力)を持つカードを用いる場合、相棒は固有色の制限と1枚制限に従う必要があります。条件を満たしたなら、相棒は開始時のデッキとしては加えずに、101枚目として使用します。

(注釈)例えば《獲物貫き、オボシュ/Obosh, the Preypiercer》を相棒として使用したい場合、統率者を含めた他100枚は、《獲物貫き、オボシュ》の構築条件(=土地以外のマナ総量は奇数のみ)を満たす必要があります。また、統率者の固有色は赤黒を含まなければいけません。また、100枚の中に通算2枚目となる《獲物貫き、オボシュ》を入れることもできません。

4.基本土地を除き、英語名で同名のカードは、2枚以上使用することはできません。いくつかのカードは自身のテキストによって、このルールを上書きします。(例:《執拗なネズミ/Relentless Rats》)

(注釈)いわゆるハイランダー(1枚制限構築)ルールです。「何枚でも入れて良い」「N枚まで入れて良い」とテキストにあるカードは、この制限を上書きすることができます。

プレイルール

5.プレイヤーの初期ライフは40点です。

6.ゲームを開始する際、統率者は統率領域に置かれます。統率者が統率領域にある間、それを唱えることができます。ただし、通常のクリーチャー呪文を唱えることと同じ制限がかかります。統率者のオーナーは、統率領域から統率者を唱える度に、これより以前にこの方法で唱えた回数と同じだけ{2}を支払う必要があります。これは追加コストです。

(注釈)統率領域から統率者を唱える場合、2回目なら{2}、3回目なら{4}、というように追加コストがかかります。これは「統率者税」と呼称されます。

7. 統率者が墓地や追放領域にあり、そのカードがその領域に置かれたのが直前の状況起因処理のチェックよりも後なら、その統率者のオーナーは、それを統率領域に置いても構いません。また、統率者がいずこかからオーナーの手札またはライブラリーに置かれるなら、それのオーナーは代わりそれを統率領域に置くことを選んでも構いません。この置換効果は同じイベントに対して複数回適用できます。

(注釈)俗に"tuck rule"と呼ばれるルールです。元々は統率者がライブラリーに直接押し込まれ(tuck)てしまうことを起こせるカード、《奉納》や《バントの魔除け》への対策として提案されたルールでした。統率者を統率領域に戻すことが容易になった反面、当初は墓地に置かれることも置換してしまったので、「死亡したとき~」という能力を誘発させることもありませんでした。
 現在は統率者が移動する先によって挙動が変わります。墓地や追放領域に置かれる場合、一旦は墓地または追放領域に置かれます。そして、その後に1度だけ、統率領域に戻せる機会が存在します。これにより、「死亡したとき~」といった能力が誘発することになります。重要なのは、統率領域に移動することを選んだなら、誘発したこれらの能力を解決する時点では、もう墓地や追放領域にはその統率者はそこに存在しない、という点です。例えば死亡したクリーチャーを戦場に戻すような指示があっても、統率領域から戦場に戻すことはできません。
 一方、ライブラリーや手札に行く場合は、以前と同様に代わりに統率領域に置くことに置換できます。通常置換効果は同じイベントには1回しか適用できませんが、この置換効果は特別に何回でも置換できます。

8.「統率者であること」は特性(CR109.3参照)ではありません。それは物理的カードそのものが持つ属性です。そのため、「統率者であること」は、コピーされたり、継続的効果によって上書きされることはありません。そのカードが「統率者であること」は、位相が変化しても変わることはありませんし、他のプレイヤーにコントロールされていても、依然として「統率者であり続け」ます。

(注釈)例えば、あなたの統率者を《クローン》でコピーしても、それは統率者ではありません。(もちろんそれは伝説でもあります。レジェンド・ルールにご注意!) また、統率者が裏向きになったり、変身したりしても、それは依然として統率者です。

9.ゲーム中に、特定の統率者から累計21点以上の戦闘ダメージを受けたプレイヤーは、ゲームに敗北します。

(注釈)これは他のゲームの敗北条件と同様に、状況起因処理です。特定の統率者からの戦闘ダメージを累計します。コントローラーが誰であったかは問いません。

10.ゲームの外部からあなたがオーナーである定形のマジックのカードをゲーム内に加える(例:《生ける願い/Living Wish》、《ウラモグの種父/Spawnsire of Ulamog》、《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》、《願い/Wish》)という能力の部分は、統率者戦では何もしません。

(注釈)統率者戦ではいわゆる「願い」系の効果は何ももたらしません。願い用のサイドボードを準備するグループもありますが、それはハウスルールであり、採用するかはグループで話し合って決めるべきです。

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以上です。楽しい統率者戦を!

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