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《マネドリ/Mockingbird》

今回はこちらのカードに関する記事です。

《マネドリ/Mockingbird》

《マネドリ》はいわゆる《クローン》系の亜種で、戦場にあるクリーチャーのコピーになることができます。ただし、いくつかの制限があり、出てくるコピーも鳥であって飛行を持つという少しの例外があります。

以下、《マネドリ》についての挙動を見ていきましょう。

唱えるために支払ったマナ

《マネドリ》のマナ・コストには{X}が含まれています。が、カードテキストにはXの値がありません。従ってこのカードがXの値を使用するのは、唱えられる際にただ単に決めるだけです。先にコピー先を選ぶ必要はありません。が、将来的にコピーするものに合わせてマナを支払うように、Xを調整する必要があります。
そして実際に《マネドリ》が解決される際に、唱えるために支払ったマナの量を数えます。例えば、コピーしたいクリーチャーのマナ総量が4であるなら、《マネドリ》を唱える際に少なくとも4マナ以上は支払う必要があるので、Xの値は3以上になるでしょう。

一方で、マナ・コストを支払わずに唱えたり、唱えずに戦場に出たりした場合、《マネドリ》を唱えるために支払ったマナの量は0です。従って、この場合、何かのコピーになるためには、マナ総量が0のクリーチャーが戦場にいる必要があります。

マナ総量が0であるクリーチャーの一例

《マネドリ》が何かのコピーになるために、それ自身が唱えられている必要はありません。あくまで、唱えられた際にコピーの選択の幅が増えるだけです。また、何もコピーしないことを選択できます。その場合、元々の能力、つまり飛行ともう機能しない能力を持つ1/1の鳥となります。

{X}があるクリーチャーのコピーになる

《マネドリ》のマナ・コストには{X}が含まれています。このXを適当に設定して唱えて、解決時に、やはりマナ・コストに{X}が含まれる別のクリーチャーのコピーになることを選んだ場合を考えます。今回は《搭載歩行機械》を例に挙げます。

マナ・コストに{X}がある例

《マネドリ》をX=2として、合計3マナを支払って唱えます。解決時に、戦場の《搭載歩行機械》のコピーになることを選びました。この《マネドリ》はどのような状態で戦場に出るでしょうか?

この場合、カウンターが1個も置かれない《搭載歩行機械》のコピーとして戦場に出て、次の状況起因処理で墓地に置かれます。
なぜなら、CR107.3jに以下の記述があります。

107.3j オブジェクトが能力を得た場合、その能力内のXの値はその能力によって定義される。その能力が定義していない場合、0となる。これは rule 107.3i の例外である。これは能力を与える効果、文章変更効果、コピー効果によって発生することがある。

マジック総合ルール

《マネドリ》は解決時に《搭載歩行機械》のコピーとなって戦場にでますが、《搭載歩行機械》の「搭載歩行機械は、+1/+1カウンターX個が置かれた状態で戦場に出る。」というテキストでのXは、能力内で定義されていません。従ってこのXは0になり、+1/+1カウンター0個が置かれた状態で戦場に出ることになります。

新生能力持ちのコピーになる

今度は解決時に新生能力持ちのコピーになった場合を考えましょう。

新生持ちの例

《マネドリ》をX=2として、合計3マナを支払って唱えます。解決時に、戦場の《耕作する高原導き》のコピーになることを選びました。これが戦場に出たあとはどうなるでしょうか?

この場合、元々の呪文には新生コストは支払われていません。従って、戦場に出たコピー《耕作する高原導き》の新生能力が誘発することはなく、1/1であるコピートークンも生成されません。

新生能力を得て唱えられた

話はすこし複雑になります。BLCには以下のカードがあり、クリーチャー呪文に新生能力を得させることができます。

《渓間の声、ジニア》

あなたは《渓間の声、ジニア》をコントロールしています。《マネドリ》をX=0とし、新生コスト{2}を追加で支払って唱えました。解決時に、戦場にある《池の預言者》のコピーになることを選びました。何が起きるでしょうか?

《池の預言者》

まず、この《マネドリ》にはマナが{2}{U}と支払われているので、支払われたマナの量は3です。従ってマナ総量が2である《池の預言者》のコピーになることができます。そしてこれは無事に鳥であって飛行を持つ《池の預言者》のコピーとして戦場に出ます。

これはスタック上で新生を得ています。つまり、コピー効果(第1種)の後で新生能力を得る(第6種)ことになります。つまり、パーマネントになったこの《池の預言者》も新生を持っています。そして、新生コストが支払われていたので、新生能力が誘発します。

新生能力の解決時に、これのコピーである1/1のトークンが生成されます。では、これのコピー可能な値は何でしょうか? そう、鳥であって飛行を持つ《池の預言者》です。《マネドリ》ではありません。つまり、新生によって生成されたトークンは《マネドリ》の能力を持たず、他のクリーチャーのコピーになることができません。あくまで鳥であって飛行を持つ《池の預言者》の1/1のコピートークンが生成されることになります。

今回はここまでです。以下、夏コミ(C104)の宣伝です。


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