『ファウンデーションズ』での変更点
『ファウンデーションズ』のメカニズムが発表されました。原文は以下のリンクを参照してください。従来からのキーワード能力が多数含まれることに触れていますが、既存のルールからの大きな変更が1つあります。
それは、戦闘フェイズでの「戦闘ダメージの割り振り順」の宣言が無くなったことです。本文中には具体的な例も示されていますが、今回はこれを解説します。
戦闘ダメージの歴史
少し歴史に触れます。原初のマジックから戦闘ダメージが特別扱いされたのは、第6版ルールの変更からでした。当時のルール文は以下のとおりです。
そう、かつての戦闘ダメージはスタックに積まれて解決を待つようになっていました。これにより「轢き逃げ」など色んなトリックができていたのですが、スタックに積まれたオブジェクトの扱いなどで問題が出てきたので、これはM10ルールで廃止されて今現在(2024/10)の形になりました。戦闘ダメージはスタックを用いません。
皆様ご存知のとおり、複数体のクリーチャーにブロックされた(もしくは稀に複数体の攻撃クリーチャーをブロックした)場合、戦闘ダメージを与える順番を宣言してからゲームを進めるようになっています。これを「戦闘ダメージ割り振り順」の宣言と呼んでいます。
M10ルール
現行のM10ルールでの挙動をおさらいしましょう。
APが5/5のクリーチャーで攻撃し、NAPは3/3と4/4のクリーチャーでブロックしたとします。
複数体のクリーチャーにブロックされたので、APは戦闘ダメージの割り振り順を決めます。
ここでは、APは3/3→4/4の順に選んだとします。
さて、ここでNAPの手札には《巨大化》がありました。ダメージの割り振り順はすでにNAPも知っているので、先に3/3にダメージが与えられることを知っています。つまり、3/3を対象に《巨大化》を唱えます。
これにより、戦闘ダメージステップまで行って戦闘ダメージを割り振ると、NAPのクリーチャーは2体とも生き残ることになります。
FDNルール
では、『ファウンデーションズ』でのルールでどうなるかを見てみましょう。まず、複数体にブロックをされましたが、この時点でダメージを割り振る順番を宣言することがなくなります。また、実際にダメージを割り振るのは戦闘ダメージ・ステップに入ってからです。
先ほどと同じように、NAPは《巨大化》を持っているとしましょう。今度は、NAPはどこにダメージを与えられるかを知りません。迷ったNAPは、3/3に《巨大化》を唱えることにしました。
さて、この状況で戦闘ダメージ・ステップを迎えます。APは5点の戦闘ダメージを割り振りますが、もう6/6になっているクリーチャーに5点を与えても破壊できません。なので、4/4のクリーチャーを破壊できるように、それに4点、残りの1点を6/6に与える、という選択ができます。
戦闘ダメージは以下のように与えられます。NAPの4/4クリーチャーは破壊されてしまいました。M10ルールでの結果と比べてみてください。
また、後に何かをすることを考えて、あえて致死ダメージを与えなくても構いません。例えば、以下のようなことができます。
最後に
今回のルールの変更は大きなものですが、ゲームに影響を与えるかどうかはこれからのゲーム次第です。攻撃クリーチャーが複数体にブロックされた、または複数体の攻撃クリーチャーを1体でブロックした、場合に気をつけるようにしましょう。
今回は以上です。