《敵対工作員》

ある質問に対して、説明が詳しく要ると判断したので、noteに記事として残したいと思います。

問:AとBが対戦している。Aは《溜め込む親玉》を戦場に出した。それの誘発型能力の解決前に、Bは《敵対工作員》を唱えて戦場に出した。《溜め込む親玉》の能力の解決時に、BはAのライブラリーからカードを探すことになるが、追放されたカードはAとBのどちらがプレイすることができるか?

探す/search

解答の前に、まずは「探す」という行動についておさらいをしましょう。CR的には以下の項番になります。

701.19. 探す/Search
701.19a カードをある領域から探すとは、その領域にあるすべてのカードを見て(非公開領域であっても)、条件に合うカードを見つけるということを意味する。

ある意味当たり前ではありますが、これには重要な点があります。それは、領域からカードを探して見つけ/findたとしても、そのカード自体はまだその領域を動かないでいるということです。

ほとんどの場合は、探したあとで見つけたカードに対して何かをすることになります。例えば手札に入れたり、戦場に出したりすることになります。

《敵対工作員》を考慮

では、《敵対工作員》を考慮してみましょう。単純にするために、Aはフェッチランドである《溢れかえる岸辺》を起動したとしましょう。Bは当然これの解決前に《敵対工作員》を唱えて戦場に出した場合を考えます。

《溢れかえる岸辺》の解決時、BはAのライブラリーから該当するカードを探して見つけます。---ここでは《島》にしましょう---そしてBはそのカードを追放します。ここまでが「ライブラリーから探す」行動です。そして探されたカードは追放されてもうライブラリーにないので、《溢れかえる岸辺》の解決を続けても、さきほどの《島》を戦場に出すことはできません。

つまり、《敵対工作員》は「探す」部分を「探して見つけたカードを追放する」ことにします。ここで重要なのは、探しただけでは領域を移動しないのですが、領域を移動する行動になっている点です。つまり、本来は探して見つかったカードに対して行われる領域移動などが、見つけられたカードがもうライブラリーにないので、行われないことになります。

《溜め込む親玉》VS《敵対工作員》

では本題に戻りましょう。Aの《溜め込む親玉》の能力を解決します。そして探している最中にBがAのライブラリーを探し、何かしらカードを見つけ、それを追放します。そしてその後、起動型能力の解決を続けると、見つかったカードに対して裏向きに追放しようとしますが、もうライブラリーにはそのカードはありません。従ってこの方法で追放されたカードはありません。

最終的に、見つけられたカードは、表向きに追放され、それをプレイできるのはBだけ、ということになります。

Gatherer Ruling 

この考えに至るまでに、筆者は一回誤った結論に至りました。それは、《敵対工作員》のGatherer Rulingに以下の文があったためです。

The cards found in the search will be exiled rather than be put wherever the spell or ability tells the opponent to put them after finding them. Any other effects the spell or ability has will still apply. If such an effect refers to the found cards, it can see them in exile.

探したあとに影響する効果は追放されたカードを参照できる、と書かれています。しかし実際には、探す→探して追放 としているので、探したあとに何かをする効果はもうライブラリーに該当するオブジェクトがないので、参照できません。
従って、この文章は本来は「追放されたカードを参照できない」とされるべきである、という見解が出されています。


実際の大会においては、ジャッジの指示に従ってください。

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