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関連している能力

(表題画像はMS Image Creator を使用して生成したものです)

今回は「関連している能力/Linked Ability」について記載します。関連している能力を持つカードは、例えば以下のようなものです。

関連している能力を持つカードの例

関連する能力

あるオブジェクトに複数の能力(A, B, C…)があり、Aの能力によって何かをして、Bがその「何か」を参照するなら、AとBは関連している能力である、というルールがあります。CRの文章では以下のように表現されます。

607.1. ある種の行動をし、あるいはオブジェクトやプレイヤーに影響を及ぼす能力と、その行動、オブジェクト、あるいはプレイヤーを直接参照する能力とが印刷されているオブジェクトが存在する。これらの能力は「関連している/linked」ものであり、この2つ目の能力は、その1つ目の能力による行動やその能力によって影響を受けたオブジェクトやプレイヤーだけを参照する。その他の能力によるものを参照することはない。

マジック総合ルール

《等時の王笏》では、刻印能力が1つ目(A)にあたり、2つ目の能力(B)は1つ目の能力によって追放したカードのみを参照することになります。仮に《等時の王笏》が別の能力Cを後付で持ち、そのCによってカードが追加で追放されたとしても、BはCによって追放されたカードを参照することはありません。なぜならCとBは関連しているわけではないからです。

どのような能力の組み合わせが関連しているかは、CR607.2に詳細があります。15種類もあるので、この記事で全ての引用はしません。一例として《等時の王笏》が該当する項番のみ挙げておきます。

607.2a あるオブジェクトに、いずれかのプレイヤーにカードを追放させる起動型あるいは誘発型能力が印刷されており、また「その追放されたカード/the exiled cards」あるいは「[このオブジェクト]によって追放されたカード/cards exiled with [this object]」と書かれた能力が印刷されている場合、これらの能力は関連している。この2つ目の能力は、その1つ目の能力の指示の結果として追放されたカードで、追放領域にあるものだけを参照する。

マジック総合ルール

関連している能力は結構色々なところに顔を出します。例えば、キッカーを持つ呪文であっても、関連している能力を持ちます。

では、もう少し特殊な状況を見てみましょう。

複数回追放された場合

今度は以下のカードを例にとりましょう。

先の《等時の王笏》と同様に、《精鋭秘儀術師》も、関連している能力を持ちます。では、1つ目の能力(A)が、何らかの効果によってコピーされたり、他の能力によって追加でもう一回誘発した場合を考えましょう。

当然、それぞれの誘発型能力の解決時に、手札からインスタント・カードを1枚追放することになります。ここでは、結果として《稲妻》と《稲妻の一撃》を追放したとしましょう。

さて、《精鋭秘儀術師》2つ目の能力を起動するためには、Xの値をいくつにすればよいでしょうか? 考えられる選択肢としては以下のようなものがあります。

・X=1で起動できて《稲妻》を唱える。
・X=2で起動できて《稲妻の一撃》を唱える。
・X=3で起動できて《稲妻》か《稲妻の一撃》うち1つを唱える。
・X=3で起動できて《稲妻》と《稲妻の一撃》を唱える。

では、総合ルールを参照してみましょう。

607.3. 関連した能力の組の中で、一方の能力が「その追放されているカード」「[このカード]で追放されているカード」などの表記で単一のオブジェクトを参照していて、他方の能力が複数のカードを追放した場合(たとえば能力がコピーされた場合など)、この能力はその追放されたカードそれぞれを参照する。その能力がその追放されたカードについて特性やマナ総量などの情報を必要とする場合、複数の答えが得られる。その答えを用いて何らかの値を定める場合、その答えの合計が用いられる。その能力が「その/the」追放されたカードに何らかの処理をする場合、その追放されたカードそれぞれにその処理を行う。その能力が「その/the」カードのコピーであるトークンを生成する場合、その追放されているカードそれぞれにつき、そのカードのコピーであるトークンを生成する。その能力が追放されたカード「1枚/a」に何らかの処理をする場合、その能力のコントローラーがどのカードが影響を受けるのかを選択する。

マジック総合ルール

では、この状況に当てはめます。《精鋭秘儀術師》の2つ目の能力は、1つ目の能力によって追放されている《稲妻》と《稲妻の一撃》の両方を参照します。Xの値を決めるにはそれらのマナ総量を問われているので、「1と2」が答えとして得られます。そして値を定めることになるので、それらの合計が用いられます。つまり、Xの値は3でなくてはいけません。そしてこの能力の解決時には、追放されたカードそれぞれについて「その追放されたカードをコピーする。あなたはそのコピーを、そのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。」ということを行います。つまり、《稲妻》と《稲妻の一撃》の両方を唱えることができる、ということになります。

質問箱からの質問

MTG質問箱に寄せられた質問に、以下のようなものがありました。

問:《The Creation of Avacyn》のI章能力をコピーし、それぞれの解決時に《グリセルブランド》と《全知》を裏向きに追放しました。II章能力の解決時に、私はどのカードを表向きにし、何点のライフを失いますか? また、III章能力の解決時にこれらを戦場に出せますか?

すでにご理解いただけているかもしれませんが、I章能力と、II、III章能力はそれぞれ関連しています。従って、先の《精鋭秘儀術師》の状況と同じ考え方をすることができます。

II章能力の解決時に、2枚それぞれのカードが表向きになります。そして、「それがクリーチャー・カードであるか」という問いには、複数の答えが返ってきますが、その中に「はい」という答えがあるので、問いの答としても「はい」になります。つまり、プレイヤーはライフを失うことになります。失うライフの値は、マナ総量を問われています。「8と10」が答えとして得られます。そして値を定めることになるので、それらの合計が用いられます。つまりプレイヤーは18点のライフを失います。

III章能力の解決時にも、同様に2枚それぞれのカードに対して影響します。そして、「それがクリーチャー・カードであるか」という問いには、複数の答えが返ってきますが、その中に「はい」という答えがあるので、問いの答としても「はい」になります。プレイヤーは《グリセルブランド》と《全知》それぞれを戦場に出してもよいですし、戦場に出すことを選ばずに手札に加えても構いません。


今回は以上になります。


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