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文庫本の改装『月に吠える』その1

文庫本を布装丁のハードカバーに改装するのを、自分もやってみたいという方が身近にいたり、ほか、作り方講座というかいわゆるワークショップをしてもらえないか?というお問合せもあったりして、そのご希望に応えるというか、お話をすすめるにあたって、もうちょっとサンプルがあったほうが良いかな、と思って、いくつか作っています。

『月に吠える』の新潮文庫版を改装してみたので、その過程などを記録しておきます。

とりあえず、初心者むけのサンプルということを意識して、あえて『美篶堂とつくるはじめての手製本』というハウツー本に載っている作り方とデザインに沿って作ってみました。

この作り方の特徴は、大きく2つ。文庫本本体の表紙を切り抜いて表紙に貼るデザイン。そして、カバーの表紙は本文の「扉」になるように本文の最初に貼って組みたてること。

本をばらす
パーツに切り分ける

私の作ったもので、美篶堂の本とちがうところは、カバーの背表紙も裏表紙も本文に貼って組みたてている点です。
背は和紙の「足」を足して。この方法は、ルリユールのやり方に倣っています。
カバーもその本の大事な部分、本に関しての情報記載があるので、本来捨てるべきでは無いので、基本的に貼り込みたいと考えています。

和紙に背表紙を貼る。右に幅をとって。
和紙の「足」の端を、背表紙が裏表紙に面する向きで貼る。
この貼り方で組み立てると、背表紙も1ページとしてめくって見ることができる。
裏表紙と背表紙。仕上がると、このように。

もうひとつ違うのは、これも革装のルリユールのやり方ですが、ミゾの固定を、竹ひごではなく、タコ糸でしばっておく方法でやります。
紙の表紙ではできないですが。

この本は、私の個人的な思い入れのある古い文庫本で、ご覧のとおり本文紙も茶色くなってるようなものなので、アンティークな雰囲気で見返しの紙を選びました。

茶色の地に金のインクで花模様が刷ってある紙。
表紙の布は、着物の古布。

昔の新潮文庫なので、表紙が黒と赤の2色刷です。カバーで画くれてしまうのに。贅沢。
今は1色刷りです。
つかわなかった裏表紙は、赤い葡萄マークが可愛いのでそのまま活かして、しおりにしました。

できあがり。

参考にした本と、美篶堂さんのリンクです。


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