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転生炎獣

中・上級者を対象とした紹介であり、各種カードの説明や基礎的な展開パターンは省略する。

デッキコンセプト

転生の持つ強み

転生ギミックを回すことで万能無効であるロアー、封殺能力の高い深淵を成立させつつ、展開の中で獲得したアドバンテージによって、ライフの削り切りもしくは更なる押し付けによって勝利を狙う。
転生カードへのアクセス手段を豊富に持ち、コンボデッキながら安定したゲームプランを遂行できる。

「確立した強固な勝利プラン」と「非常に高い再現性」を両立させていることが、転生を使うメリットである。

環境定義

各大会の分布や入賞結果から読み取れるように、転生が大幅なシェアを誇る「1強環境」となっている。
その他のデッキタイプについては、「転生と同等以上の展開強度と安定性を有する」もしくは「妨害をある程度踏み越える手数の多さと高打点の盤面押し付けができる」といった要素を持たない場合に、転生と渡り合うことすら叶わない。
例、機界、コードトーカー、HERO、オッドアイズなど
中速ビートダウンはライフレース、リソース勝負における勝ち筋が見込めず、転生に対して圧倒的な不利相性となる。

ベイルの耐性により破壊での除去が機能しないため、採用される妨害が限定されてる点も転生が与えた環境への影響の一つである。

構築の前提認識

環境定義で示した「転生1強環境」から、対転生(ミラー)の勝率高めることが、全体勝率を上げる上で最も効果的である。
その他のデッキタイプについては、転生の持つデッキパワーと、それらがtire2たる所以(先後や事故率、他対面等を考慮した勝率)から優先度を落としている。

転生ミラーの概要

構築の採用カードを選ぶにあたり、転生ミラーにおける勝敗に影響する要素を洗い出し構築へ反映させる。

まず第一に、このマッチアップ先手側が大きな優位性を持つ。
これは先手側が後手側と比べ、「リソースを得る状況」と「相手側のリソース獲得に対しての妨害」を事前に準備できるためである。
お互いが同様の手札の質で回しあった場合、ターン数の多い先手側がリソース差で圧倒し勝負が決まることとなる。
後手側が捲り勝つには、①妨害を踏み越えて展開した後に②相手ターンに展開ができない状況を作る、という2つの要素を完遂しなければならない。

先攻側の方針

先攻側は妨害を受けない(DDクロウを除く)ことから、手札で可能な展開を行えば良い。
転生ギミックにおける展開の理想値
①深淵+ロアー
②深淵
③ロアー
これらに素引きの妨害札を加えたものが妨害の質となる。
優先度の比較では、深淵>ロアーと設定しているが解説は後述とする。

構築による改善
・転生ギミックの安定性を向上させるカード群の増量
・単体性能の高い妨害札の採用

後攻側の方針

後攻側の捲りにはエネミーコントローラーが大きな役割を担う。
リソース供給のエンジンであるウルフの処理と、リンク素材2の獲得を一度に満たせるためである。
先攻側のエネコンを阻む手段は、ロアーを含めた罠妨害になるため、これらを事前に処理する除去札も後手側に要求される。

構築による改善
・浮き札が出にくい各種カードの枚数比調整
・妨害札の処理手段を採用

以上を踏まえた、お互いの勝つための手札要求値は次の通りとなる。
先攻:①転生ギミック
後攻:①転生ギミック②エネコン③罠除去
※エネコンを通した先に、深淵による蓋もしくはライフを削り切らなければ、先手とのリソース差で敗北となる。
先攻の手札要求が低く、反対に後攻の手札要求が高いことが、先後によって勝率が偏る原因であることは明らかと言える。

デッキリストと構築論

前述の内容を基に作成したリスト

転生における構築の違いは以下の3つに分別される。
①各サーチ札の枚数比
②ギミック外(罠)の選択
③デッキ枚数の増減

①各サーチ札の枚数比

・フォクシー2、デバッガー1(ジャガー1)
召喚権を消費するサーチ群で手札で重なった場合は一方しか使用できないため、同じ役割のカードとして扱っている。
枚数比からも伝わる通り、フォクシー>デバッガーと評価をしている。

フォクシーの強み
・転生カードである
ガゼル、フォウルの条件を満たし、罠への耐性が増す。
フォウル、フォクシーのコストとなり浮き札となりづらい。
・炎陣へのアクセス率を上げる
リソース差を大きく広げる要素であり、先攻の優位性をより確立させる。

フォクシーを初動(ガゼルへのアクセス)と認識できないことへの反証
・フォクシーでガゼルを加えなければならない状況の確率
条件は「フォクシーのみを引いている」かつ「ガゼル関連の計7枚を引いていない」であり、その確率は約8%となる。

デッキ枚数20、先攻時

・フォクシーによってガゼル、炎陣をめくる確率

以上より、初動としての役割を果たさない状況は全体の約3%程度しかなく、メリットの価値が上回ると判断している。

デバッガー
単体で完結できる性能とマイニングの選択先として、1枚散らす形とした。
フォクシーの強み要素を持たず、その点が弱みに当たる。

・マイニング2
召喚権を使わず全てのモンスターへアクセスできることから、深淵ロアーの達成に最も適しているカードである。
被りによって腐り札となること、手札コストを必要とすることから、先攻時に1枚のみ引くことが理想となる。
1枚→先攻時ガゼル絡み8枚の初手率89.8%
2枚→初手率93.2%(差3.4%)、被り率3.1%
「ギミックの回らないリスク>先攻時の浮き札1枚のリスク」としている。

②ギミック外(罠)の選択

本構築については、フォウルの2枚目、サイク2、エネコン2が該当する。
エネコンについては後手捲りの要であることは説明済みであり割愛する。

・フォウル2
ロアーを含めた伏せ妨害を少ない挙動で踏むことができ、本命を通すためにサーチを介することなく用意したい。
先攻においても役割を持ち、深淵の設置率向上に一役買ってくれる。

・サイクロン2
転生ギミックの展開で受ける罠妨害の多くは2:1交換となるため、1:1交換で被害を抑えられる点で評価価値が高まる。
フォウル同様に本命を通すことに貢献する。
展開に対して直接的に阻害をする訳ではないものの、ロアーや強制脱出、大捕りなどの罠妨害による処理手段を断ち、先攻の優位性を保持するカードとして先攻においても有用である。

その他の罠妨害について
どの罠妨害についても、「先攻勝率に貢献し、後手勝率に関与しない」と評価したため、一律で不採用としている。
先攻勝率の寄与は、後手側の手札要求値を一段階上げる機能でしかなく、深淵+ロアーの両立を目指す方針で代替可能と考えている。
(転生展開+エネコン+罠除去の要求を指す)
※他対面への勝率向上には関与する。

後手における各種の性能
・大捕り物

バトル時のライフカットとリソース獲得が強み。
フォクシーが残されている場合は1:1交換すら見込めない場面も少なくない。

・強制脱出(他フリーチェーン除去)
1:1交換以上を見込めない。
先打ち要求orウルフ回収後にフォウルのコスト込みで1:1交換以下となる。

・DDクロウ
同様の枠で唯一後攻時に妨害として機能できる。
デメリットとして、2枚被りが許容しづらい、先攻時に深淵と役割が被る、後手のトップドローで機能しない、他対面への運用の差が挙げられる。

その他(EX、スキル)

EXについて
転生カード2種4枚、深淵に加え、汎用の処理手段兼ライフ奪取手段であるセキュリティ+ニンギの計7枚は固定としている。

・ダークリベリオン1
残りの1つの選択枠ではあるものの、ゲームプランの選定や状況への対応力に大きく関わるため採用を推奨する。
ニンギルスとは別方向の処理・ダメージ手段の役割を持つため、採用の有無でプレイ難度や攻めのリスクが大幅に上昇する。
消費素材が軽くEXゾーンを必要としないことからウルフとの両立が可能である。ロアーやベイルを活用しつつアドバンテージを獲得するため、攻めと盤面形成(守り)を両立できる。
高打点が残り、相手側の処理要求を高められる。

・スキル:絆の力
処理ラインとキルラインが変わり、リソース消費を抑えられる。
具体的には、同型の18の処理と18×2体でのキルラインである。
ゲームプランの根幹であり、一択と言っても過言でない。

・スキル:平原
ヒートライオを使用する場面が存在せず、スキル無しと同義の評価を下している。
罠を踏む行為はファウルが担っており、リンク素材3を消費することからも攻め手段としては過剰である。

③デッキ枚数

特定のカードが試合の勝敗に直結するという考えの基、デッキ枚数を最小に抑えることで確率の最大化を図っている。(先攻の炎陣、後攻のエネコン)
聖域の素引きや各種の被りについては、先攻ではギミックが回りさえすれば浮き札1枚が試合に与える影響が少なく、後攻では高い要求値に応えるためのリスクとして許容している。

※デッキの増加に伴う確率変動の値(20~25枚)
・1枚採用のカードを引く確率
先攻:1.0%→0.8%→0.8%→0.7%→0.7%
後攻:1.2%→1.1%→1.0%→0.9%→0.8%
・2枚採用のカードを引く確率
先攻:1.6%→1.4%→1.4%→1.2%→1.2%
後攻:1.8%→1.8%→1.6%→1.5%→1.3%
・3枚採用のカードを引く確率
先攻:2.0%→1.9%→1.7%→1.6%→1.5%
後攻:2.2%→2.1%→1.9%→1.8%→1.7%

基本的なプレイ指針

アドバンテージの獲得方法

冒頭の説明の通り、コンボによってアドバンテージを重ねていくが、獲得のタイミングは限定されている。
①ウルフの転生モンスター回収
②転生ウルフの炎陣、ロアーの回収
③ジャガーの墓地蘇生
④ファルコのいずれかの墓地効果
⑤ロアーの自己効果でのセット(使い切り)
つまりは「ウルフの効果」と「墓地に送られたカードの使用」により、初めてカードが増えることとなる。
ここまでは特別な話でもないが、重要のことはこれら①~④(⑤)を如何に毎ターン起動させるか、という意識である。

炎陣の存在
先攻優位を高めるカードとして紹介した要因がこれに当たる。
炎陣が絡んでいない場合、②転生ウルフの回収が未使用となり、獲得量を1枚分損した形となる。
※ロアーを回収する場合においても、⑤自己によるセットを使用していないため損失量としては同等と言える。

相手ターンでの起動
①と④については誘発効果であり、条件が達成されることで相手ターンにおいても使用できる。2枚分のリソースを得る行動として、先攻ではこの一連の流れをより再現性高く実行できることを追求したい。
④を起動させる点においても炎陣がもたらす勝利寄与は大きい。

転生におけるリソースの概念

「リソース」というと枚数のアドバンテージを指すことが多いが、ここでの意味合いは「全ての要素を考慮したデッキの継戦能力」を表す。
転生ギミックは性質上、打点の捻出(処理)と妨害の供給が限られている。
目先のカード獲得に奔走した結果、処理不足に陥り、強い展開ができたにもかかわらず敗北するケースが発生し得る。

数少ない攻め手であるセキュリティとニンギルスにより、除去をしつつライフを削りきることが、このデッキの目指す終着点となる。
転生ギミックにより獲得したリソースは、キルを阻む障害を取り除く補助に過ぎないという認識を持つべきである。

継戦能力の要素として、EXの転生リンクの枚数も該当する。
毎ターンアドバンテージを獲得できるジャガーは転生リンクが残っていることが条件であり、回収はウルフとジャガーの戻しに依存している。一度転生リンクを失った場合には回収する手段が存在しない。
転生リンクの消費による、アドバンテージ獲得のメリットと継戦能力を失うリスクを踏まえ行動を選択する。

除去に対するリスク分散

効果未使用のウルフ
ジャガー効果時の転生リンク除去
ウルフ下にジャガーはリスク高い
ジャガーによってウルフを起動させる
ウルフを戻すために転生リンクを優先させる
一度にまとめて効果を発動する場面で、それらが達成できない時に必要以上の損失を被る。
段階的にリソースを獲得していくことがリスク低減に繋がる。
ベイル下ジャガー
ウルフ下フォウル
フォウル前ウルフ使用

ジャガーとロアーの選択

リソース面ではジャガー、瞬間的な妨害数ではロアーが優れており、どちらを必要としているかが判断基準となる。
対面や手札の内容によっては深淵が妨害に換算でき、特に対ミラーにおいては深淵による制限がロアー以上に機能するため優先して設置を狙う。
後手の攻めが強いデッキに対しては止めて耐えることが必須であり、そうした状況下ではロアーの回収を選択する。自己によるセットかウルフによる回収は後手側の脅威度合いとゲームレンジの想定で決定するが、多くの場合で瞬間的なリソース獲得(自己伏せ)を目指して問題ない。

深淵>ロアーである理由

重複する内容ではあるが、アドバンテージ獲得の面で優れているためである。「ジャガーを活用できること」と「相手ターンでのリソース獲得が見込める」
ベイルの耐性を含めた3面(または4面)を超えての1キルは成立が困難であり、直接的な妨害がライフを守る際に必須ではない。

炎陣1枚のみの展開

転生ウルフ炎陣(ジャガー)または、ガゼル回収ファルコから選択となる。
ウルフが残った場合は次ターンにリソース差を広げられる期待があるが、いくつかのリスクが想定される。
アドバンテージが大きく稼げておらず、長い試合展開を想定しなければならないが、ウルフの消費は継戦能力を失うことを意味する。また、コントロール奪取が致命打になり得てしまう懸念もある。
妨害の質、処理のリスクを考慮し判断する。
筆者の構築や選択傾向にはなるが、体感ガゼルファルコとする場合が多い。

深淵の発動タイミング

炎陣がある場合は、罠除去の有無を確認した後に即打ちが基本となる。これはウルフが処理された場合に回収分を損する可能性があるためである。
ロアーの回収が見込める場合は、相手側の行動によって最適な選択ができるよう引き伸ばしを検討する。

DDクロウへの対応

ジャガーに対して打たれることが最も致命打となりやすい。
ラグにより所持が確認できた場合、ロアーの回収によって消費を誘導する。
ウルフでの回収をジャガー以外で起動させることでリスク分散を図る。
ジャガーに対してはチェーンで打たれるより発動前に除外される方が被害が大きい。

伏せに対する考え方

妨害1枚に対し2枚カードを失う交換比となる。
例:ウルフの処理、ジャガー起動時の転生リンク、フォウル対象選択時
妨害を踏み越える能力がない前提を認識し、劣勢時では割り切りや読みにより細い勝ち筋を通すこと、優勢時では本命への妨害に対し徹底的なケアを図ることを念頭に置く。

劣勢時
勝ち筋から逆算し、どの程度の要求を満たされた場合に勝ち筋を追えなくなるかが具体的に想定できなければならない。
決して、本命があるかないかといった博打的な思考をしてはならない。
リスクを賭けずとも試合が成立が際にはその手段を優先する場面もある。
フォウルを二度は使えないが一度のみ使用するなど、割り切る中でも確率を上げる方法を模索していく。

優勢時
リソースが十分に確保できた場合、負け筋を無くす詰めの段階に移行する。
フォウルの妨害強要、フォクシー、ニンギルスの大捕り無力化
更なるリソース獲得やロアーの設置により各種スキルのサーチや手札誘発をケアするため、試合を長引かせる場合もある。

打点ライン、着地点の想定

・18+18+絆=40(ウルフ、ジャガー、フォウル)
メインの展開パターンであり、打点量が圧力となっている要因
ジャガーフォウルでリンクを経由せず妨害を強要
・ニンギルス+15以上
セキュリティ、ニンギルスにより、盤面を2枚除去しつつキルに向かえる
・ダリべ+ウルフ
ダリべの項で説明、攻守に優れる。
セキュニンギを温存でき継続的に攻められる。
・ニンギルス+ファルコ
大捕りケアでフォクシーを温存しつつキルラインへ運ぶルート
手順や目的が異なるため別パターンとして記載している
・ウルフ+深淵+絆=39
・25+フォクシー+絆=39
ライフが削れている、リスクを踏まえてキルより盤面形成を優先させるなど
・ダリべライン(25+絆)
25ラインまで落とすことで、相手の前盤面に関わらず勝ち筋を追える。

ウルフ経由の価値

リソース獲得のため基本的にはウルフの設置を図るが、以下の要素を加味する必要がある。

・妨害の影響を強く受ける
効果の起動が前提となるため、通らないと仮定した場合にはウルフを成立させずに試合を進行させる。

・キルラインが下がる
ジャガー、フォウルと同値18であり、打点面においては損失となる。
セキュリティニンギルスを含めたキルルートの場合、リンク素材数は4体だが、ウルフを経由する場合はセキュリティによる除去ができない、もしくはリンク数を1体余分に用意しなければならない。

後手とキルターンにおいては、ウルフを経由しない方針で展開を選定する。


確立計算の利用サイト
https://yazirusis.com/calc/probability.html


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