伊集院光の「笑いの法則」
伊集院光のエッセイ本「のはなし」を今更ながら4巻までメルカリで買いました。
私は中学生時代からの伊集院さんのラジオリスナーだか、この本を持っていなかったんですね。
伊集院さんの話は、ラジオで聞くものという謎のこだわりがあったのか?以前この本読んでそんなでもなかったのか?真相はよくわからないが、とにかく今まで持っても、読んでもいなかったわけです。
ラジオのトークの方がやっぱりいいですが、伊集院さんの話はやはりおもしろい。
この「のはなし し」つまり4巻に、非常に伊集院さんらしい私が好きな話があります。「『カマキリ』の話」というお話です。
伊集院さんが、カマキリが好きって話なんですが。何が好きって「他の昆虫をむしゃむしゃ食べるのが好き」だし「生きた餌しか食べないから飼えない」のもいいらしい。
ここまでだとテレビで見せるような物知りの伊集院さんって感じですよね。でもこの蘊蓄(うんちく)が最初にあるの大事ですよね。このフリがあるから後半が活きる気がします。
そして、こっからがおもしろい。
そんな好きなカマキリにも伊集院さんは唯一不満があると。それは「交尾のあとにメスに食われること」だと言います。
なぜか?その例えがおもしろい…「殺し屋なのにお母ちゃんに弱いみたいな」という例え話です。ここは原文そのまま載せますね。
なんだか、殺し屋なのに母ちゃんにに弱いみたいな…。マフィアのボスを撃ち殺した帰り道、苦そうにタバコを吸いつつクラシックタイプの黒いオープンカーに乗り込み、西友へ。なぜならさっき電話で母ちゃんから「帰りに葱とめんつゆ買ってきて」と言われたから。しかも家に帰ってめんつゆ見せたら、母ちゃん曰く「三倍濃縮のやつだって言ったろ、ストレートタイプは高いんだよ。ホントヒットマンかなんか知らないけど、めんつゆ一つ買ってこれないロクデナシに食わせる夕ごはんはないよ!」ってケツを甘蹴り入れられて、そうめんをうらやましそうに見ている殺し屋の図が浮かぶ。
読者の頭の中を分析すると…「殺し屋なのにお母ちゃんに弱いみたいな」と言われて一瞬わかるようなわからんようなってなって(ボケとも言うかな)、上に引用した話でフォローする(ツッコミとも言うかな)、ここがめっちゃおもろい。
また例えがホントに細かい(笑)その細かさを伝えるために全文引用したわけですが。このリアルでおもしろい説明で、つながらないものがつながって笑うわけですね。
伊集院さんが帯も書いている、放送作家石田章洋さんの「おもしろい伝え方の公式」という本があります。
ここに「人はなぜ笑うのか?」の説明としてキンカンの法則というものが説明されています。
枝雀師匠が唯一の笑いの原則としたもの、それこそが「緊張の緩和」の理論です。それを、枝雀師匠は「緊緩(キンカン)の法則」と名付けました。この理論は、いたってシンプル。人は緊張が緩和された時に笑うのです。
「遠いジャンル」からネタを借りてきた異質なものを「身近なものにたとえる」のが大原則。そうすることで、相手の頭に一瞬「?」が浮かび、そのあとで納得するといった「?→!」の動きが生まれ、「キンカンの法則」が発動するのです
まさにじゃないでかね。これ。
すごいですね、ほんと、「カマキリがメスに食われる話」と「殺し屋が母ちゃんに怒られる話」がつながるわけですよ、伊集院さんにかかると。
典型的な伊集院さんのおもしろい話の展開な気がしますねー。
言うならば、事象と事象をつなげる天才ですよね。なぜつながるかと言えば、本質や違和感をつかむのがうまいのだと思いますね。
毎日書くためにもっとライトにいきたかったのですが、伊集院さんの話になるとやっぱちょっと熱くなってします。
それではまた明日。