私が元気になったお話

雪が降っているよ。
外は明るいよ。
あなたは、暖かい家の中にいて
眠りについている。
起きるのには、まだ早い。
ここにある太陽は一日中沈まないのだから。
空は、降りしきる雪のために
ぼんやりと明るさが行き渡っている。
私は眠るあなたの耳に、
そっと言葉をかける。
何を言ったのか、
あなたにはわからない。
けれどかすかに、
あなたのまつ毛が震え、
安らかな息が聞こえてくる。
「太陽は、もう沈まないと決めたんだ」
私は眠っているあなたに、
今度ははっきりとした声で言う。
もう三週間も太陽は
一度も地平線の向こうへ落ちずにいる。
その太陽をもってしても、
雪はとけずにこの街に降り積もった。
死んだ雪と、生まれたての雪が層になって、
この街を新しく作りかえているみたいだった。
あなたは、目を覚ます。
その頃には
一面まばゆい世界になっているだろう。
きっとあなたは気にいると思うよ。

この短い文章は、いつ、どこで知ったのか、もう忘れてしまった。
だけど私は大好きで、あなたに話したかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?