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俳句三十句抄

これまでに書いた俳句の三十句抄です。
読んでいただけたら嬉しいです。


つちふるや頭良くなるとの神社
やどかりをゆっくりさせて聖歌かな
干すふとん蝶吸い寄せてやすみやすみ
やさしさや若葉と手話で云うような
自転車のサドルを全て薔薇にせよ
シャワー終え鏡に吸われないで去る
好きだったオクラも見えていた星も
巡礼や迷路に蜂の巣があるよ
固く固く木を縛りつけ日焼けする
六月の現地の人の釣日和
扇風機かなしい夢をみてる顔
メーデーの製氷皿へ水踊る
木は静かなりハンモックに生きもの
生家より遠く草笛のくちびる
手を嗅ぐとわたし不良ねゼラニウム
虹二重よわい絆創膏浮いて
台風来テレビが頼もしいホテル
青蜜柑揉み赤ちゃんをずっと見る
今朝の無言キッチンにさわやかな風
山に船その枯蔦の中の船
朝の目にすすき埋もれるには脆い
ここは外オリーブの実を数えきる
コヨーテを呼びオリオンを指す正気
重ね着の中にパジャマもあり街へ
下へ下へ氷まもなくきえてしまう
音の中を水車はたらく日短か
二日目の風邪に眩いおかゆかな
冬めくは睫毛の軽さ低いビル
笑っている雪の予報の雪だるま
ジャケットを焼くメリーゴーランドに似てる


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