見出し画像

計算に頼る功罪1/論文を引用して考える

 計算だけできたってダメ、計算くらいできなきゃダメ。この議論に結末はあるのでしょうか。

論文を引用して考えていきます。

「子どもの数理解における部分-全体スキーマの発達:整数について」栗山和広(2004)九州保健福祉大学研究紀要 5

論文タイトルのスキーマというのは、考え方の枠組み、といった意味です。

この論文は、ある数をいくつかに分けたりあわせたりを、子どもはどう理解しているのかを調査し考察している、ということです。


調査対象:小学校2年生と3年生。時期はいずれも1学期末
出題例:100が3個、10が6個、1が24個を合わせたらいくつになる?

部分と全体の話に戻せば、この例では部分は100、10、1がそれぞれ部分、全体は300と60と24の合計で384になります。繰り上がりのあるひっ算を学習している2年生なら正解してほしいですね。この時期の旬な課題です。

ところが驚きの結果がでています。

「2年生の正答率は46%。3年生の正答率は53%」「合成課題の理解としては十分とはいえない。」

「算数大丈夫かな」が「これはまずい」に変わる瞬間です。

いっぽう、正答率を見ればできなくても普通だとも解釈できます。安心してよいかは別です。調査は宮崎市内の公立小学校で行われています。学力の低い地域ではありません。

誤答をみてみましょう。

3624(かずを順番にならべただけ、と思われます)

164(桁の意識はあるのでしょう)

あるあるです。うちの子これ書いてそうだわ('Д')と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

まだまだ論文は続きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?