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note20 天の岩屋戸(いわと)から受け継がれているもの



前回は天の岩屋戸の段の解説をしましたが、この段には今日の神社で行われるお祭の起源と言われるものがたくさん含まれています。
ちなみにここで言うお祭は、御神輿(おみこし)などをかついで行う賑やかなお祭のことではありません。
まずはお祓いをした後に、神様に捧げ物をして、祝詞をあげたりするご神事のことを指しています。
現在でも古代に起源をもつお祭が連綿と受け継がれて、執り行われている、つまり神代のお祭が今も続いているのです。
全国の神社で毎日執り行われている祭祀・お祭の大本になるのが、この天の岩屋戸になります。

それでは、詳しく見ていきます。

前回の解説でお伝えしましたが、天照大御神が岩屋戸にお隠れになったために世界は闇に包まれます。
そこで八百万の神々が天の安川(やすかわ)という川の河原に集まります。
そして知恵の神である思兼神(おもいかねのかみ)に思いを込めさせると、思兼神は、神々にさまざまな手はずを指示していきます。

まずは鶏を百羽集めさせます。
前回の解説の中でもお伝えしましたが、伊勢神宮の20年に一度の遷宮(せんぐう)でも、「カケコー」と鶏の鳴き声を真似てご神事が始まります。
また、神社では、お御霊(みたま)うつしのときや神様が鎮座する本殿の御扉(みとびら)を開閉するときに警蹕(けいひつ)と言って、神主が「おー」という声を3回出し、その間に御霊をうつしたり、扉を開けたり閉めたりします。
ここでも音を鳴らしますが、その元は天の岩屋戸のこの鶏にあるのかもしれません。

次に石斯許理度売命(いしこりどめのみこと)に鏡を作らせます。これが、三種の神器の八咫鏡(やたのかがみ)と言われています。
その後に玉祖命(たまのおやのみこと)に勾玉(まがたま)を作らせますが、これも三種の神器の八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と言われています。
ちなみに三種の神器の三つ目は、この天の岩屋戸の後に高天原を追放された須佐之男命が葦原中国に降り立ち、八岐大蛇(やまたのおろち)を退治します。
須佐之男命が八岐大蛇を切ったときにその尾から出てきたのが、草薙剣(くさなぎのつるぎ)で、これも三種の神器です。

八咫鏡・八尺瓊勾玉・草薙剣、これら三種の神器を持つ人が日本の天皇陛下である証です。
ですから、平成から令和への御代代わりの際も、平成の天皇陛下から今上(きんじょう)天皇陛下に三種の神器が渡されました。

ちなみに、三種の神器の八咫鏡は伊勢神宮の内宮(ないくう)に納めてあり、八尺瓊勾玉は皇居にあり、草薙剣の熱田神宮にお祀りしてあります。

また日本において本物偽物という概念ではなく、全てはわけ御霊という考えがあります。
例えば、皇居にお祀りしてある鏡も本物であり、また全国の神社の鏡もまた、八咫鏡のわけ御霊という認識のもの、お祀りしています。

話しを進めます。
この後天の香山(かぐやま)の男鹿の肩骨で占いをします。鹿が神様の使いでなるという認識や、占いも今に残る風習です。
昨年の御代代わりでも、大嘗祭(だいじょうさい)に奉納するお米の場所を決める際に、亀の甲羅を焼いて占う亀卜(きぼく)という方法で決められました。
そして、栃木県と京都府が選ばれたのです。

そして、そのあとに天の香山の榊(さかき)を抜いてきて、その榊に八尺瓊勾玉と八咫鏡と白と青の布をかけて飾ります。

そして、天児屋命(あめのこやねのみこと)に祝詞(のりと)をあげさせるのです。
これが祝詞の起源と言われています。
天児屋命は藤原氏の先祖であり、奈良県春日大社のご祭神です。
春日大社にはたくさん鹿がいて、神様の使いとされているのをご存知の方もいると思います。

そして、天宇受売命(あめのうずめのみこと)には、岩屋戸の前で舞を踊らせます。
これが神様に奉納する御神楽の起源と言われています。

さらに、天照大御神が岩屋戸を細目に開けて鏡を覗いたそのときに、天照大御神を岩屋戸から引き出した男神が天手力男神(あめのたぢからをのかみ)です。
長野県諏訪大社のご祭神です。

このように天の岩屋戸の段には今に受け継がれているものがたくさんあるのです。

神代が今に連綿と受け継がれている文化を持つ国が日本以外にほかにあるのでしょうか。

私は古事記の中でも、天の岩屋戸が一番好きなのですが、それは困ったことがあったときにみんなで集まって、話し合い、直感を受け、みんなで協力して準備を整えて、最後は笑いによって、結果的に問題が解説していく、このプレセスがこの在り方がとても日本らしいと問題解説方法だと思うからです。

さて、これまで何度か、ここでも私が言霊の学びをしていることをお伝えしたり、また言霊的な解釈をお伝えすることもありました。

今回の天の岩屋戸は、言霊の学びにおいては一つの大きな区切りになります。

私としては皆さんに言霊の原理などをお伝えしたいと思いますが、お伝えためには私自身が学びを深める段階です。

ですから、これからは発信のペースを今までよりはかなりゆっくりになると思います。
その間、言霊の学びを深めたいと思います。

このような発信を始めるきっかけであった、日本の精神性、そして日本語を話す私たちの役割を言霊の原理をお伝えすることで明確になると、いまは思っています。
真の意味での天の岩戸開きとは何か、そこに言及していければと思っています。

言霊の原理については、どんな風に発信するかも含めて模索しています。

今回はここまでです。

いつもありがとうございます🌈

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