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note16 うけい


今回は前回のnote14  神やらいの続きになります。

須佐之男命は父伊邪那岐命に追放を命じられます。
そこで、母伊邪那美命がいる黄泉の国に行く前に、姉天照大御神に挨拶をしようと高天原を訪れます。
ですが、天照大御神は、須佐之男命が高天原を奪いに来たと思っています。

そこで天照大御神は、須佐之男命に
「それならば、あなたの心が清らかで、汚れた心がないということは、どのように知ることができるか」
と言われました。
これに答えて須佐之男命は、
「それぞれ誓約(うけい)をして子を生んでみたらわかります。」
と答えました。

天照大御神と須佐之男命は、高天原にある天の安川を中に隔てて、それぞれがうけいをされました。
うけいとは、あらかじめ決め事をしておいて、その結果によって真意を占う方法です。
この場合は生まれる子供が男か女かで決めています。女性が生まれたので、須佐之男命の身の潔白が証明されます。

うけいは次のように展開していきます。

まずは、天照大御神が須佐之男命の腰に帯びている十拳剣を受け取って、これを三つに打ち折り、天の真名井(あめのまない)の水で清めて、手に巻いている玉の緒を、ゆらりゆらりと揺らぎ鳴らしながら、かりかりと噛み砕いて、ぷうと吹くと、その息の霧にお生まれになった神の御名は、多紀理毘売命(たぎりびめのみこと)またの御名は奥津島比売命(おきつしまひめのみこと)と言います。

次にお生まれになった神は、市津島比売命(いちきしまひめのみこと)、またの御名は狭依毘売命(さよりびめのみこと)と言います。

次にお生まれになりました神は、多岐都比売命(たぎつひめのみこと)です。

以上、十拳剣からは三柱の女神がお生まれになりました。
これがいわゆる宗像三女神(むやかたさんじょしん)で、宗像大社(むなかたいしゃ)のご祭神です。

次に代わって、須佐之男命が、天照大御神の左のみづら(髪の毛)に巻いている多くの勾玉を貫き通した長い玉の緒を受け取ります。天の真名井の水で清めて、玉の緒がゆらりゆらりと揺らぎ鳴らしながら、天の真名井の水に振り注いで、かりかりと噛み砕いて、ぷうと吹くと、その息の霧にお生まれになった神の御名は、正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)です。そして、この忍穂耳命(おしほみみのみこと)の御子が邇邇芸命(ににぎのみこと)で、後に高天原から築紫の日向高千穂に天降ることになります。
これを天孫降臨(てんそんこうりん)と言います。

また、右のみづら(髪の毛)に巻いておられる玉の緒を受け取って、かりかりと噛み砕いて、ぷうと吹くと、その息の霧にお生まれになった神の御名は、天之菩卑能命(あめのほひのみこと)です。天之菩卑能命は出雲国造(いずものくにのみやつこ)をはじめ、出雲系諸氏族の祖神(おやがみ)となります。
古事記には、皇祖神の系列と出雲の系列が並列して登場します。

また、かずら(髪飾り)に巻いておられる玉の緒を受けとって、かりかりと噛み砕いて、ぷうと吹くと、その息の霧の中からお生まれになった神の御名は、天津日子根命(あまつひこねのみこと)です。

また、左手に巻いておられる玉の緒を受け取って、かりかりと噛み砕いて、ぷうと吹くと、その息の霧にお生まれになりました神の御名は、活津日子根命(いくつひこねのみこと)です。

また、右手に巻いておられる玉の緒を受け取って、かりかりと噛み砕いて、ぷうと吹くとその息の霧にお生まれになった神の御名は熊野久須毘命(くまぬくすびのみこと)です。

以上、珠からは合わせて五柱の男神がお生まれになりました。

そこで天照大御神は、須佐之男命に
「後から生まれた五柱の男の子は、私の持ち物から生まれた神ですから、私の子と言うことができます。先に生まれた三柱の女の子は、あなたの持ち物である剣を生まれた神ですから、あなたの子と言うことができます」
と言われて、それぞれ御子を分けられました。

今回はここまでです。

いつもありがとうございます🌈

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