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#8 就職活動

#8 就職活動


長かった。
思い返せば1年経っていた。
大学3年の春、就活セミナーとやらに参加したのをきっかけに始まった
進路選択。
大学受験以来の進路選択であった。
多分人生で最後の進路選択なのかな。
そこでとりあえず僕は、大学卒業後どうしようか考えた。

教員にはなれなかった。
正確に言えばなる気がなかった。
不真面目な僕が教員になるのは将来僕と関わるであろう子供達を
不幸せにするからだ。
というかそもそも僕は勉強が大っ嫌いだし、教育に興味がない。
多分これはめちゃくちゃ自由な中高を卒業した弊害(笑)。 いい意味で。

公務員にはなりたくなかった。
確かに休日もしっかりしており、福利厚生も充実。
給料も年功序列で確実に上がっていく。いわゆる公務員法に違反しない
限り、また、国や地方自治体が無くならない限り、解雇されることもない。安定している。間違いなく公務員は安定している。
でも不真面目な僕に硬い役所仕事は向いていない。そう思った。

そんな理由で、民間企業に就職することにした。

しかしながら、ただ金を稼いで生活を成り立たせるために就職したい
ですっ!!!! と言っても入れてくれる企業はなかなかない。
そこで僕は、軸とやらを立てることにした。

①地元広島で活躍できる仕事であること。地域(広島)の人のためになる
 仕事であること。
②自分自身で課題を見つけ、解決に向けて様々な挑戦をさせてくれる会社。
 そして社会人レベル1の僕を、社会人として成長させてくれる会社。

この2つが大きな軸であった。就職活動が終わった今見返すと、こんな会社どこにでもあるやろ。という感想が自分でも浮かんでくる。

あとは付帯的な条件というか、こうあったらいいな〜という理想で、
土日祝休みの完全週休2日制、勤務地が広島市内or近郊であること。
転職する時のために誰もが知っていそうな会社であること(基準として家族全員が知っている会社)。
転勤の範囲が基本的に西日本の都市部であること。
僕が生きている間は潰れなさそうな企業であること。
こんなところだ。

こんな企業を探すべく、大学3年生の夏休みは多くの企業に
インターンシップや仕事体験をしに行った。
多分20社くらい行った気がする。

一応、中央の大手のインターンにもES(エントリーシート)を提出して
参加した。自分の知見を広げるために。
この企業は、トヨタ自動車のグループ会社では最大手で、世界で一番壊れないSUV車(=世界で一番信頼価値が高いSUV車)を作っている会社だ。
余談だが、大学3年の終わりにはこの会社の本社と工場の見学をしに愛知まで足を運んだ。交通費も支給してもらった。
だが結局、選考エントリーはしなかった。日本のトップ100企業にも
選ばれるほどの会社で自分のレベルが通用するとは到底思えなかったのだ。

話を戻すと、3年生の夏休みはほとんどが就活の第1歩で終わった。
そして秋の段階である程度まで絞り切れた。
なので、3年生秋以降は本気で選考を受けたいと思った会社のインターンシップのみに参加した。

そんな中、最初に内々定をもらったのは、業界最大手の中古車販売店だ。
確か3年生の10月とかだったと思う。
内定者懇親会に参加しに、交通費支給で博多まで行った。
しかしながら、内々定は辞退した。

個人的に、印象に残っている企業が3つある。

1つ目は、広島創業のパンメーカー。
小さい頃からここのパンを食べて育った。僕も家族も大好きなパンだ。
3度のインターンシップを通じて、ここで働く人々の自社製品への強い思いというか誇りが伝わってきた。
2回目の面接で出てこられた役員の方が同じ高校のOBであったことから、
ぜひうちで一緒に働いてほしいと言われた。

2つ目は、広島を中心に展開するドラッグストア。
小さい頃からこのドラッグストアには母に連れられ通っていた。
今でもほぼ毎週買い物をしに通っている。
接客アルバイトをする上で、僕自身、接客業に向いているのかな〜と感じることが多かったため、インターンシップに参加してみたところ、
働いていらっしゃる方々が非常に温かく、優しい方が多かった。
最終面接前の面談でも、採用の方と腹を割って話ができた。
初めてだった。自分を受け入れてくれた気がして、就職活動をしていて
楽しいと感じた数少ない機会だった。
だから今でも内々定を辞退するのが心苦しい。ここで働いていらっしゃる人たちの力になれなかった自分に絶望感を感じることがある。

3つ目は、山口と広島と北九州を中心に展開する地方銀行グループだ。
特に広島で多く展開する銀行には、小さい頃から母に連れられて
訪れていたし、人生で初めて銀行口座を作ったのも、この銀行だった。
何よりもただ金融機関であるだけでなく、地域振興のための総合商社の
ような経営方針をとっており、広島をより良くしたいと思っていた
僕にとっては非常に向いているように感じられた。
何よりも人事の方が良かった。夏のインターンシップでお世話になった
人事の方は、冬のインターンシップでも自分のことを覚えていてくださり、
最終選考に際してもぜひ一緒に働きたいと言ってもらえた。
もう1人の人事の方も、面談で色々と話を聞いてくださり、正面から
向き合ってくれた。だから先日、採用担当の方にこう電話した。
「ここで働かせてください」と。

決め手は、人事の方のメモ帳の厚さだった。

真剣な話から何気ない雑談まで、就活生のことをしっかりとメモを
取られていた。しかもビッシリと。

本気で就活生のことを知ろうとしているなと率直に感じられた。
きっと入社してからも僕という人物としっかりと向き合ってくれそう。
だからこの会社を選んだ。
この会社で本気でお金の面から地域社会と向き合おうと思った。
この地で暮らす人々をお金の面からサポートしようと思った。
ここで人としてさらに成長して立派な大人になってやろう、そう思った。

幸せだった。僕の就職活動は。

多くの社会の方と関わる機会をもらえ、自分の強さを知り、自分の弱さを
知り、自分の将来を本気で考え、そして本気で働きたいと思える企業に
出会えた。幸せだった。

あの日リクナビでこの会社にエントリーして、マイページに登録して、
思い切って夏のインターンシップに2日間参加して、面談の時間を作り、
冬もインターンシップに参加し、嵐の中にも関わらず本社まで最終面接を
受けに行って良かった。
全てがここに繋がったのだ。

そんな僕が就職活動で感じたことを1つだけ書き記したい。
それは、

社会の方たちは就活生の味方だ

というものだ。

自分を誇張せず、分からないことは聞く。
自分が考えたこと思ったことを、間違っていてもいいからきちんと伝える。

そんな感じに自分に素直でいれば、必ず人事を含めた社会の方たちは
就活生の味方をしてくれる。絶対に。

僕自身、就職活動を始めた時は、社会に不安しか感じなかった。
でも自分に素直に居続けたことで、社会の方たちは僕の不安を
自信に繋げてくれた。

僕は就職活動で僕を助けてくださった社会の方たちのためにも、
必ず成長してみせる。
決して簡単な道のりではないだろうが、こいつがこの会社にいて良かったと思ってもらえるような人材にここでなってみせる。






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