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平田 オリザ『「リアル」だけが生き延びる』(ウェイツ、2003年)を読みました。

平田オリザさんがまだ40そこそこで桜美林大学にいた頃の本で飾り気がなくいい味を出しています。いくつもふむふむポイントが有りました。私は演劇のことをあまり知らないので演劇人からのの学びがたくさんあります。

本書より…

六〇年代の演劇は、非常に実存主義の影響が強かったり、しかもほとんど無意識にリアリズムのタガを外してしまったために、ヒューマニズムが暴走したと僕は思っているんです。そして、ヒューマニズムだけが肥大化していく。リアリズムというタガがないから、人間中心主義だけが、要するに人間だけが肯定される。
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芸術とか宗教は基本的には人生に対するシミュレーションであって、いちばんわかりやすい例は、僕は「死」だと思うんです。
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芸樹というのは逆で、死に向かっていくシミュレーションなんです。
ふだん私たちは死を意識できないけれども、芸術を通じて愛する者を失った悲しみとか、あるいは自分の死への恐怖を疑似体験することができる。

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