平田 オリザ『平田オリザの仕事〈1〉現代口語演劇のために』(晩聲社、1995年)を読みました。

平田オリザさんの演劇論が非常に分かりやすくコンパクトに纏まっています。「静かな演劇」の理論的背景を論理的に分かりやすく解説してあります。読めばなるほどと納得しましたし、60年代くらいからの日本の演劇の流れを俯瞰することができます。

本書より…

では、芸術は、演劇は何を伝えればいいのだろうか?私は何も伝えるべきものなどないのだと思う。ただ演劇は、人間を、世界を直接的に描くことができればそれでいい。真善美などといった価値基準や道徳からいったん離れて、現実世界を直接的に把握する手段を私は芸術と呼ぼうと思う。
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芸術作品を見て人が感動するのは、突き詰めていえば、「あぁ、たしかに私は、世界をこのように認識している」という感覚が起点となるのではないだろうか。そして、ここに私は、出来事と呼びうる確かな関係の可能性があると考える。

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