大島保彦『東大入試問題に隠されたメッセージを読み解く』(産経新聞出版、2013年)を読みました。

過去の東大入試問題から東大から社会に向けたメッセージを読み解くという内容。英語の問題は、今読んでもいい文章を使っているなと思います。結構骨があります。東大入試問題はロジカルシンキングの練習問題としても使えるのではないでしょうか。このような本を書ける知識人が予備校という場で生徒に接しているというのは日本固有の良さなのかもしれません。

本書より…

「勉強」とはなんでしょうか。実はとても単純なことです。昨日までできなかったことを、明日からできるようにする。それが、全てなのです。そして、そのために今日という日が、時の流れの中にあるのです。知識を付け加える作業が勉強の根源なのではありません。
何かを知ることによって、頭をかきむしりながら考えることによって、自分が変わっていくことが勉強なのです。
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・・・ヨーロッパでの教育について言及した井上さんや三森さんの文章と考え合わせると、「視覚情報を言語化する」という試験は、日本の言語教育の中に欠落している要素を浮き彫りにする、とびっきりの「国際化推進」の問題と考えることも可能ではないでしょうか。
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30年も東大の入試問題を見続けていると、東大の全学的な、ある種の「動こうとしている方向」と似たような方向に入試問題も推移していると感じることがあります。それは、「もっときちんと理屈を通して、世の中を一緒に作り上げていく文化を形成しよう」ということだと思います。

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