岡室 美奈子 (編集), 梅山 いつき (編集)『六〇年代演劇再考』(水声社、2008年)を読みました。

早稲田大学が2008年に開催した60年代演劇に関するシンポジウムの記録。とにかく登壇者が豪華です。唐十郎、別役実、佐藤信、蜷川幸雄といった主役からからデヴィッド・グッドマン、横尾忠則、扇田昭彦など支えた人々、宮沢章夫、平田オリザ、岡田利規などの90年代以降の演劇人、そしてニューヨークのラ・ママのエレン・スチュアートまでよくぞここまでというメンバーです。その後、亡くなった方も多く貴重な記録です。


本書より…

やり残した仕事、たとえば井上ひさしさんの一九六九年初演の『表裏源内蛙合戦』など、早く体力があるうちにやってしまわないと間に合わなくなってしまうという思いがあり、そちらを考えるより、先に終えることを終えてしまおうと思っているのです。
そういう思いがあって、櫻社の終焉については言えないのです。きついんです。
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その時、私は経済の問題が一番大きいと思っています。
やはり俳優が経済的に自立しなければ、いつまで経っても対等な関係にはならない。それをごまかしてきたわけでしょ、日本の劇団は。「かけがえのない役」とかいって、端役にもきついチケットノルマを掛ける。それは明らかに劇団主宰者の欺瞞ですよね。それを改善するのは、一劇団の問題ではなく、やはり社会システム全体を変える必要があるでしょう。

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