扇田 昭彦『劇的ルネッサンス―現代演劇は語る』(リブロポート、1983年)を読みました。
1980年代初頭に扇田昭彦氏が演劇人に対して行ったインタビュー集です。60年代~70年代のアングラ演劇を中心に戦後の演劇をつくった人々が大体40代くらいで脂の乗った頃で扇田節もあり読み応えありました。1980年代の本ですから1ページあたりの字数も多く約500ページの本、演劇人の言葉は考えつくされており、刺激的でした。
本書より…
アフリカへ行った時、原住民の妙なアフリカ漫才みたいなものを見たんです。それはお互いに自分が何者かわからない、記憶を失った者同士が、「お前は何者だ」って言いながら漫才をやっていくんだけど、これがひっくり返りそうなくらいおかしかったんです。お互いに手がかりがないために、だんだんことばが役にたたなくなっていく。そうすると変に人間の存在が強く浮かび上がってくるんです。
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だから、理詰めでできることが人間のやるべきことであって、理詰めでやることによって、むしろ狂気みたいなものが生まれるという信仰があるんだよね。そこからしか狂気が導き出せない人間というものがいるわけだよ。
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