少額口座で威力を発揮する安全で利益率の高いOTMバタフライ戦略(IB証券APIによるプログラム付き)

狭いバタフライは、基本的にはほとんどリスクなく大きな利益を上げられる可能性のある手法です。安全度は高く、比較的少額の口座でもSPXで攻められると思います。私のIB証券には、まだあまりお金をいれていないので、この手法を試すことにしました。多くの証券会社では$2000以上いれていないとオプションをやらせてくれないのですが、この手法では最低の$2000の口座でも安全に勝率よく投資することができると思います。最大リスクは$300程度、最大利益は$3700程度ですから、運がよければ大きく資産を増やすことも可能でしょう。突然の暴落以外では損失が100ドル以上になる可能性はあまりないのではないかと思います。ポジションを最初のころは数週間に1回、最後のほうは毎日マネージすることによって利益を上げていくのが目標となります。

今回採用したOTMバタフライは、相場が微妙に上がる方向にかける方法です。75日前後のオプションで、デルタ35のコールを中心とした非常に狭いバタフライです。

今回は、私のトレード日誌形式となっています。

IB証券のAPIを使ったプログラムを添付しています(有料)。Windowsのスケジューラーで一日に2回ほど動かして運用しています。

これまでの結果

3勝1敗 平均利益47%

ポジション1

Open : 2024-02-29 12:55:40-05:00 at 2.55. Strike = [5200.0, 5240.0, 5280.0]
Close: 2024-05-15 11:21:52-04:00 at 5.95 利益$340.00 (133%)

ポジション2

Open : 2024-03-27 13:04:36-04:00 at 2.45. Strike = [5340.0, 5380.0, 5420.0]
Close: 2024-06-17 11:43:38-04:00 at 4.55 利益$210.00 (86%)

ポジション3

Open : 2024-04-24 14:05:30-04:00 at 2.30. Strike = [5205.0, 5245.0, 5285.0]
Expired: 2024-07-18
close price = 0 Profit -$230 (-100%) (権利消失)

ポジション4

Open : 2024-05-31 14:07:06-04:00 at 3.25. Strike = [5350.0, 5310.0, 5390.0]
Close: 2024-07-30 13:45:22-04:00 at 5.60 Profit $235.00 (72%)

最初のポジション

購入 2024年2月29日

次のようにオプションを買いました。

SPX価格:5085.36
コール (ストライク5200、DTE77) 買い 1枚(中心から40ポイント下)
コール (ストライク5240、DTE77) 売り 2枚(中心:デルタ35)
コール (ストライク5280、DTE77) 買い 1枚(中心から40ポイント上)
購入価格: $255
最大損失: $255
最大利益: $3745

ブラックショールズ方程式を使った利益の予想

ブラックショールズ方程式を使って将来オプション価格がどのように推移するかを予想しましょう(ライブラリは下のほうにあるリンクを使っています)。もちろんSPXが将来どのような価格になるかはわからないので、横軸に将来のSPXの値、縦軸がそのときの利益・損失(Profit / Loss またはPL)の予想値をプロットします。図の中の縦線は購入時の価格、黒点が現在の価格(横軸)とPL(縦軸)をプロットしたものになります。

もし満期(5月17日)でSPXが5240でおわれば、最大利益$3745となりますが、そのようなことが起こる可能性は非常に低いです。最終日だけとびぬけて大きいカーブになりますし、最終日までポジションを持っている可能性はほとんどないので、最終日を除いたものをみてみましょう。

最終日近くまでは、基本的には価格の変動はあまりありせん。SPXが上がって$5200程度になりそうであれば、ポジションを保持、そうでなければどこかの段階でポジションを切ることになります。

このグラフは下のプログラムを走らせると、自動的に表示されます。未来のカーブが上側にある場合、利益は時間とともにあがっていくことになります。全くヨコヨコだった場合、4月7日ごろまでは、利益が増えていくことがわかります。時間とともに利益が上がっていくので、シータがプラスということになります。今回の戦略では、合計シータがプラスの場合のみポジションを保持することにしましょう。

購入時の各パラメータは以下のようになりました(かっこ内はポジション合計。購入した枚数をかけてから合計します。売りのポジションはマイナスをかけます。)

ストライク:[5200, 5240, 5280]
枚数:[1, -2, 1]
権利:[Call, Call, Call]
デルタ:[0.407, 0.349, 0.294] (0.30%)
ガンマ:[0.001, 0.001, 0.001] (0.00%)
シータ:[-0.895, -0.822, -0.745] (0.40%)
購入価格: $255 (最大リスク)
理論最大利益:$4745 (SPXが5240で満期を迎えたら)

デルタは微プラス(値段が上がると上がる)、シータも微プラス(SPXが変わらなければ時間とともに上がる)という感じのポジションになっています。

2024年3月5日

市場が上げた後さげてほぼ元の値段になりました。予想利益カーブは下のようになりました。ポジション全体では数ドルプラスになったりマイナスになったりする感じで合計デルタから予想できる通りほぼ変化がありません。まだポジション全体のシータは微妙にプラス(0.3%)なので(SPXが変わらなければ、時間とともに利益があがっていく)、ポジションは継続です。ほとんどオプションの価格の変動はありません。

各パラメータ(かっこ内はポジション合計)
デルタ: [0.415, 0.354, 0.297] (0.40%)
ガンマ: [0.002, 0.001, 0.001] (0.10%)
シータ:[-1.006, -0.91, -0.811] (0.30%)
利益: $5

2024年3月12日

CPIのあとSPXが大きくあげ、だいぶ利益中心に近づいてきました。予想利益カーブは下のようになります。デルタは微マイナス、シータはだいぶ大きくなってきました。まだシータがプラスなので継続です。少し利益がでてきました。

各パラメータ(かっこ内はポジション合計)
デルタ = [0.538, 0.479, 0.419] (-0.10%)
ガンマ = [0.001, 0.002, 0.002] (-0.10%)
シータ = [-1.142, -1.093, -1.026] (1.80%)
利益: $30

2024年3月27日

相場がゆっくりと上げて、デルタがマイナスの領域にさしかかってきました。まだシータはプラスなので継続です。相場がこのままヨコヨコなら最大利益になります。デルタがマイナスなので、相場が少しさげたほうが利益が大きくなりますね。利益予想カーブからも明らかです。少しずつ利益が大きくなっていくのをみるのは楽しいですね!

SPX 5218.2
デルタ: [0.559, 0.498, 0.433] (-0.40%)
ガンマ: [0.001, 0.002, 0.002] (-0.10%)
シータ: [-1.121, -1.08, -1.019] (2.00%)
利益: $50.00

2024年3月29日

今日からグラフ表示が虹色になります。

各パラメータ(かっこ内はポジション合計)
デルタ: [0.644, 0.58, 0.511] (-0.50%)
ガンマ: [0.002, 0.002, 0.002] (0.00%)
シータ: [-1.209, -1.193, -1.151] (2.60%)
利益: $75

4月5日

少しボラが上がってしまい、利益が減ってしまいました。しかしシータは3.2%とずいぶん大きくなってきたので、おそらくすぐに上げ始めることと思います。ひと月近くポジションをもって利益がたった$35とは、安全度は高いけど利益が上がってくるのは遅い感じはします。もう少し満期まで短いものを選ぶべきかもしれません。

SPX: 5204.86
Estimated profit = 35.00
Delta: [0.554, 0.488, 0.418] (-0.40%)
Gamma: [0.002, 0.002, 0.002] (0.00%)
Theta: [-1.411, -1.351, -1.259] (3.20%)

4月8日

週末を平穏に終えて利益が戻りました。期日が近づいてきてシータも大きくなってきました。

SPX: 5202.28
Estimated profit = 70.00
Delta: [0.562, 0.49, 0.415] (-0.30%)
Gamma: [0.002, 0.002, 0.002] (0.00%)
Theta: [-1.49, -1.417, -1.309] (3.50%)

4月10日

CPI発表後で大きく下げましたが、この手法は暴落でも起こらなければとくに大きな問題はありません。

SPX: 5160.65
利益: $75.00
Delta: [0.456, 0.383, 0.31] (0.00%)
Gamma: [0.002, 0.002, 0.002] (0.00%)
Theta: [-1.328, -1.222, -1.083] (3.30%)

4月23日2024年

相場は大きくあれて、かなりさげ、利益も減りました。シータも微妙にマイナスですが、とりあえずこのまま継続します。リスクの低い方法なので利確以外はしなくていいということにします。

SPX: 5069.6
利益: $45.00
Delta: [0.242, 0.171, 0.114] (1.40%)
Gamma: [0.002, 0.002, 0.001] (-0.10%)
Theta: [-1.177, -0.927, -0.686] (-0.90%)

2024年5月6日

上げたり下げたりしながら少しずつ相場は戻していき、利益はついにダブルバーガーに。シータは大きくプラスでヨコヨコで推移してくれれば大きく利益が増えるはずです。しかし、残りの日数は11日しかなく少しの株価の変化で大きく利益が損なわれる可能性のある領域になります。次に1%以上の暴落が起きたら期日までに戻せるかどうかは微妙になってきます。しかし1%あがれば利益は$1000以上、下がっても最大損失は$250程度なのでここはホールドしても大丈夫なはずです。
SPX: 5159.03
利益: $265
Delta: [0.373, 0.243, 0.139] (2.60%)
Gamma: [0.003, 0.003, 0.002] (-0.10%)
Theta: [-2.048, -1.623, -1.112] (8.60%)
Current Price 520.0

2024年5月13日

なんとバタフライのど真ん中で最後の週を迎えることになりました。このあとCPIなど各指標があり、通常なら利確したほうがよさそうですが、デルタはほぼゼロであり、シータが98.5%と大きくプラスなのでこのまま保持する合理性は十分にあります。あとは「予想以上に動かない」という条件で利確はできそうです。1%程度上げ下げすると、おそらくシータがゼロになり利確になるのではないかと思います。

SPX:5223.07
利益: $485.00
Delta: [0.62, 0.424, 0.234] (0.60%)
Gamma: [0.005, 0.005, 0.004] (-0.10%)
Theta: [-4.039, -3.996, -2.968] (98.50%)
2つめのポジション

利確(2024年5月15日)

CPPやCPIを通過し株価は爆上げ。シータはまだポジティブですがあと1%上げると利益がなくなるというところまで来てしまったので利確となりました。利確プログラムは、まだいじれるかもしれません。

購入価格:$255
売却価格:$595
最終利益:$340
Delta: [0.901, 0.808, 0.59] (-12.50%)
Gamma: [0.002, 0.004, 0.008] (0.20%)
Theta: [-3.363, -4.272, -5.146] (3.50%)

2024年3月27日

ボットは最初のポジションから25日以上たつと次のポジションをオープンするようになっています。次の75日に最も近いポジションは86日とかなり先になりました。ゆっくり育てていく感じになりそうです。

SPX: 5221.11
ストライク: [5340, 5380, 5420]
デルタ: [0.401, 0.352, 0.304] (0.10%)
ガンマ: [0.001, 0.001, 0.001] (0.00%)
シータ: [-0.82, -0.763, -0.699] (0.70%)
購入価格: $245

4月5日2024年

購入時から少しさげましたが、利益がでてきました。しかし相場があがってきてボラが下げてこないと大きな利益にならないので頑張ってほしいですね。シータはまだプラスです。

SPX: 5204.86
利益: $10.00
Delta: [0.379, 0.33, 0.282] (0.10%)
Gamma: [0.001, 0.001, 0.001] (0.00%)
Theta: [-0.915, -0.841, -0.76] (0.70%)

4月23日2024年

相場が荒れ、このポジションはかなりマイナスになっています。安全にいきたければこの辺で切るのもよいでしょうが、相場は必ず戻るものでもあるので、もうちょいいきましょう。

SPX: 5069.6
利益: -$65.00
Delta: [0.174, 0.134, 0.1] (0.60%)
Gamma: [0.001, 0.001, 0.001] (0.00%)
Theta: [-0.603, -0.495, -0.396] (-0.90%)

5月15日2024年

Estimated profit = 145.00
Delta: [0.46, 0.373, 0.289] (0.30%)
Gamma: [0.002, 0.002, 0.002] (0.00%)
Theta: [-1.118, -1.021, -0.888] (3.60%)

5月27日2024年

Estimated profit = 300.00
Delta: [0.437, 0.319, 0.22] (1.90%)
Gamma: [0.003, 0.003, 0.002] (-0.10%)
Theta: [-0.908, -0.813, -0.672] (4.60%)

6月17日2024年(最終)

Open : 2024-03-27 13:04:36-04:00 at 2.45. Strike = [5340.0, 5380.0, 5420.0]
Close: 2024-06-17 11:43:38-04:00 at 4.55
最終利益 $210.00 (86%)

3つめのポジション

4月24日2024年

SPX: 5077.23
Delta: [0.377, 0.329, 0.282] (0.10%)
Gamma: [0.001, 0.001, 0.001] (0.00%)
Theta: [-0.797, -0.739, -0.673] (0.80%)
価格:$230

このポジションは相場が上がりすぎて、結局権利消失となりました。

センターストライクの選び方

今回のプログラムの例では、緩やかな上昇が起こるという読みで、コール側のデルタ35になっています。しかし、急上昇する可能性がある場合(例えば急落後に買う場合)などは、デルタ10~15くらいにしたほうがよい場合もあると思います。基本的にはリスクはデルタが小さいほうが、小さくなります。また、緩やかに下降する、という可能性もありますね。その場合はコールではなく、プットのバタフライにしましょう。まあSPXはゆるやかに上がると考えるのが自然かなと思います。

参照リンク

上の予想カーブの計算は下のライブラリを使っています。ぜひダウンロードして使ってみてください。

IB証券用自動取引+支援プログラム

自動的にポジションを探してオープンし、条件を満たすとクローズします。muiltiple_bot_managerクラスの3行目、self.real_trade = True になっているので、本当にポジションを開きますが、様子を見たい場合はFalseにしてください。上記グラフやログなどは、自動的に作成され、dataフォルダにセーブされます。グラフはCallIB0_FIG_(日付).png、ログはCallIB0_LOG_(日付).txtのような名前になります。プログラムは$5000程度の少額口座用になっています。25日おきにポジションをオープンしていきます。これまでに作ったIB証券用の自動取引ライブラリが全て必要です。

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