がんをめぐる冒険(24)がんは詐病とウソを流される

 がんの検査手術が決まって、上長と役員と一部関係している人にメールで伝えたら、まさかの役員が「アイツ仕事したくないから、がんだと言っている、詐病だ」と言って回っていたことがわかりました。
真面目に仕事していたんだけどなぁ…、だいいち、がんとか詐病で言ったらすぐバレるし。だったらメンタル壊れましたとか判別しにくい病名にするけど(笑)。
 
 実はその役員とは因縁があって……。
 よくよく考えたら、春先から目をつけられていたんです。管轄外の仕事をなぜか私にやらせようとしてきました。しかも、毎日更新業務があり、通常業務に支障をきたす内容です。大企業ならこの時点でアウトかもしれませんが、拒否すれば角が立つし、命令は引き受けるしかないのが中小企業のリアル。上長も仕方なく〝パワハラ案件だから、とりあえず飲み込んで。通常業務は減らしていいから〟と言ってくれました。
 ハードな中にもどうにか策を考えて、パフォーマンスをあげるのが会社員だと思っていたし、〝めんどくさいヤツ〟と思われたくないと思っていたので、通常業務ができるように〝役員案件〟の改善策を提案したもののノーリアクション。それで数カ月して役員から「あの件どうなってるの?」と直電が。役員は「とにかくやれ」の一点張り。それじゃ通常業務が回らないから言ってるんですけどね。
 担当上長に改善案を話そうとしても「メールでください」と言うから、メールしたのにスルー。さらに役員は「(担当上長は)いつでも会社にいるんだから越えかえればいいじゃないか」と私に非があるように言ってくる。
 にっちもさっちももいかなくなって「うちの社風は進めてしまえば、なんとなくなるから、まずは進めよう」と直属の上長の許可を得て改善策を進めることになりました。
 そして進み始めると、役員が文句タラタラ。「その改善策でいいのか?」「今までの客が離れたらどうする?」と言いがかりの嵐。こちらからの提案は全つぶし。打開策を考えることもなく、話は堂々巡り。
 解決策を与えないで堂々巡りさせるのもパワハラのひとつです。
さすがの私もその場を立ちました。
 
自分の机に戻ると、役員は
「仕事を放棄したんだな」
と言い放ちました。
 
 仕事にプライドをもってやっているし、できないものを効率化して提案しているのにこんな言われようだから非常に悔しかったのでよく覚えています。録音した証拠があれば言えるのですが、あちらは「覚えていない」と国会議員並みの回答でもみ消されましたけど。
 そんなこんながあったのが8月。足の付け根が腫れたのが9月の末。
 10月にがんがわかって、11月下旬、1回目の入院から戻ると
「アイツ仕事したくないから、がんだと言っている、詐病だ」と言って回っていたのです。
 上長のところに、役員が「アイツがんって言ってるらしいけど、そうじゃないんでしょ?」と何度も言ってきたそうで、
「いやいや、がんじゃないと信じたいのは本人でしょ」
と一蹴。
 ところが、施策の担当上長が「大丈夫? 詐病だってきいたけど」と言ってきた。
「え? なんでそんな話に??」
「仕事したくないから、がんだって言って回ってる、って(例の役員から)聞いた」
そうで、
そういうこと考えるのも役員らしいな、と話は終わったそう。
 
ところが、別日に社長から「アイツ詐病らしいけどどうなのか?」
と聞いてきた。
 結局、私のウソを拡散させていたのはこの役員でした。
 
 2回目の術前のアンケートに、最近ショックだったことを書く欄に
「会社で詐病と言われていた」
と書き残しました。

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