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「新次」さんが座っていた場所‥大島 長崎漁港

ここに行きたかった。ここに座れるものなら、座ってみたかった。鉄柵の向こうに広がる漁港。堤防には赤い小さな灯台。そして対岸の森。本土の仮設住宅で暮らしていた新次さんが、突然、島に戻り、海を眺めていた場所だ。そこにはかつて、新次さんと美波さんと亮くんの家があった。

この場所を、GoogleMapで見つけて投稿したら、震災後の倒壊した家の処置について詳しい方から「それは、おかしい」とのコメントを頂いた。理由はこうだ。一般家屋は、全壊と判断されたら、更地にしてしまうのがルール。そんなところに住居があったなら、門柱などの構造物が残っているはずはないと。

確かに今も残っている。左側は半分流されているが、右側の門柱は、蔦に絡まれながら、しっかり立っている。ドラマが放映された時とおなしように。で、ここに「新次」さんが座ってた。

オレンジ色の浮きがぶら下がったままの松の木も、そのまま残されている。これらが残った理由を、地元の方が教えてくれた。ここには民宿があったと。民宿は一般的な住居と見なされないから、そのまま残っていたんだろうと。NHKさんは、ここを見逃さなかったんだな、きっと。

海水浴場として整備されている「小田の浜」のすぐそば。民宿の多い地域。大型漁船のいない小さな漁船ばかりの港は、瀬戸内に住む私には、まさに見慣れた風景で、今、どこにいるのか忘れるほど。

帰りがけに、階段を振り返ってみた。携帯に残されていた美波さんの声が、自然と蘇る場所だった。

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