キラキラひかる

この本の好きなところ

お酒達がまるで魔法の力が備わってる飲み物みたいに美味しそうなところ。

ウイスキーを、『このとろっと深い金色をみると、私はうっとりしてしまう。』

カルーアは毒薬、『私はグラスにウォッカをどぼどぼっとついで、カルーアをまぜた。この、とろっと黒い液体は、まるで毒薬みたいで今の気分にぴったりだ』

ジンには、キュンメルを、キュラソーとトニックウォーターでオレンジ色の炭酸酒を、ピムズには、ジンジャーエルを。

お酒好きな私にとって、お酒のでてくる小説ほど嬉しいものは無いのだ。
さらに言えば、強いお酒を舐めながら飲む行為そのものが、なんて、大人の飲み方なのだ。とキュンとした。

二つ目は、といっても、ここが核だけど、出てくる登場人物がいちいち魅力的でかわいいところ。


睦月の優しい性格。笑子を受け入れて、愛しているところ。なんど同じ質問をしても、はしょらずに同じ話をしてくれるところ。話し方が優しいところ。笑子が癇癪を起こしても、優しく見守っているところ。笑子のことを、1人の人として大切に思っているところ。睦月が、1番常識人で、善良で、優しい世界線に生きている。だからこそ、その分、知らない間に人を傷つけている自覚がないし、脳足りん!と笑子に言われるような『善良なこと』で、『正しいこと』を基準に生きていて。自分のことよりも、誰かのことを考えてる人だなって思う。優しい人。

笑子という人物が好き。この本を読むと、私自身が笑子に寄って行ってしまうくらい彼女が好き。まっすぐで、傷つきやすくて、ズレてて、心そのままで生きている人。甘え方がわからなくて、力加減も分からなくて、壊したく無いのに壊してしまって、壊れていくのを見るのが怖くて、拒絶して、また後悔する、その感情が伝わるし、わかる。笑子の表情や、感情がコロコロ変わるのをちゃんと書いてあるところ。笑子の怒った顔や、笑った顔が頭の中に浮かぶような書き方。優しい睦月が大切なところ。亡くなった患者さんに対して、善良な睦月を悲しませるなんて、と、怒りたくなる。というかわいいところ。(106ページ)その後に、そんなことを思わなければよかった!と、憤る姿も、ありのままで、愛おしい。私は自分と彼女との共通点を見つけることができるので、彼女がこの本の中で生きている間は何度もここに会いに来ると思う。

紺くんという名前、紺くんの、性格。友達になりたい。僕は男が好きなんじゃなくて睦月が好きなんだ。っていうところ。睦月もだけど、笑子さんも大切にしているところ。睦月が本当に好きなところ。不器用なところ。そんな紺くんを睦月が好きなところ。


みんなそれぞれ傷を抱えて、訳ありで、お互いの関係性は脆くて、このままがいいのに、そうはいかなくてっていう、もどかしい感じが好きです。でも誰も、誰かを傷つけたいんじゃなくて大切にしたいだけ。という感じが好きです。


好きなシーンは、樫部さんや、柿井さんや、紺くんや、みんなでご飯を食べるところ。野菜をどどんっと出す笑子と、樫部さんの会話が好き。こんな風に優しい世界でみんな生きていけたらいいのにって思う。

この本を読んでいると、嬉しくなってきます。
みんな、本当はちょっとずつ変でズレていて、それを普通なんだよ〜って顔して生きてると思う。普通ってなんだって思うけど。

私は、酔っ払いになって、いつもの
自分より心(心臓)が剥き出しになって、何もかもを吸収しやすくなって、その逆に何もかもが垂れ流しになる感覚が好きです。(周りは迷惑だと思います。ごめんなさい。)やりすぎて、壊れてしまって、後悔することが山ほどあるし、泣くこともあるけど、いつもの、自分が10なら、酔っ払いの自分は200くらいになるので、(感受性とかが。)何もかもが私で、僕で、自分で、恥ずかしいくらいに剥き出しで、そんな自分を愛してくれよ!!ってトゲトゲ叫びながら生きてるんだと思います。いつもは隠しているだけで。この本の、笑子はそんな生き方を肯定してくれる気がするので、私の中で御守りのような本になっているのだと思います。壁に掛かったおじさんの絵に歌を歌ったり、紺くんのくれた木に紅茶やトマトジュースをあげたり、睦月の気を引きたくて、怒ったり泣いたり、伝えたいのに伝わらないのがもどかしいとか。そういうの、全部人間で、感情で、素敵だと思うんです。笑子みたいな人がいてくれるなら、私はこのままでいいのかな。なんて、甘く考えています。この本は、文章のこの言葉!っていうよりかは、出てくる人達に会いにくる感覚です。そんな本かな!これにて、読書感想文終わります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?