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chapter18 ハッタリバンド


こうしてハッタリバンドは誕生した。

いつものメンバーで組んだバンド。
経験者はキーボードの奴だけ。

俺のバンドのキーボードは小さな頃からピアノをやってたんだけど、こいつはやはり小さな頃からエレクトーンをやってた奴で。
実はかなりの実力者。

そしてこいつもかなり面白い奴で。
あだ名を『ケニア』と呼ばれてた。
色黒で、尻がプリッと出てたから(笑)
いつもの面子が付けたあだ名。

おまけにケチだったんで、正式名称は

『ドケチのバトルケニア』

って言われてた。

何故バトルケニアだったのか。
今でも理由はわからない…。


で、ギターとドラムは幼なじみの2人。

ギターの奴がキャンプでハッタリのあだ名を
付けた張本人。
後に壺と同じくらいギターが上手くなる。
あだ名はフナちゃん。

ドラムは1番チビで、猿に似てる。
こいつの話を書くと、新しい小説が出来てしまうくらい面白い奴。
ハッタリと同じくらい面白い奴。
ナイナイの岡村さんにそっくり。
あだ名はカンちゃん。

カンちゃんは小さな頃から真面目な話、ドリフターズに入る事を夢見てた奴で。
小学校の卒業文集の尊敬する人の項目に、


『志村けん』

って書いてあったのを忘れない。


この2人は小さな頃からいつも一緒にいた。
で、カンちゃんがフナちゃんの真似をする。

フナちゃんが服を買えば次の日に同じのを。
洋服でもバイクでも、挙げ句の果てには
好きなアイドルまで同じだった(苦笑)

何から何までフナちゃんの真似をする。
だからサルとも呼ばれてた。
猿真似のサルね。
顔も姿も確かに猿っぽかったから仕方ないわ。


ベースはちょっと経験者で。
楽器屋で友達になった地元が違う同級生。
こいつもかなり面白い奴。
特徴は目。数字の3みたいな目。
で、耳が大きくてまるで象みたいな印象。
漫画に出てきそうな顔だから、パオパオって
呼ばれてた。


で、ボーカルがハッタリ(笑)
大丈夫か?引きつらないか?
やはりコミックバンドやるのか?
想像出来ないなぁ…。


何はともあれ、ハッタリバンドは船出した。
ハッタリの密かな野望は報われるのだろうか。

まだ誰もこのバンドの行方を知らなかった16の
頃に、ハッタリバンドは世に生まれた。

その面子はまるで動物園の様だった。

引きつった顔が得意の細くて離れたヒラメの様な目を持った見栄晴似のモッコリ野郎を中心に


人間や猿や象やケニアなど盛り沢山。


そして気になるのはバンド名。

盛り沢山のメンバーが付けた名は…



『天神バンド』

センスのカケラも無いわ…
何故に天神バンド?な訳?

『な、何故に天神バンドなん?』


初めてそのバンド名を聞いた時に俺は涙を流してハッタリに聞いた。


『いや、ほらカンちゃん家の近くの天神で良く遊んだじゃん!』

うん。解るよ。天神社ね。
そりゃ知ってるよ。遊んだからさ。
しかも天神社の垣根にノーブレーキでバイクをカンちゃんが突っ込ましたよね。
俺のバイクをさ。

そう言う事じゃ無くてさ、何故にそれがバンド名になるかと言う事なんだけど。



『いや、それは解るよ。

だけどバンド名だぜ?

天神バンドは無いだろうよ。』


するとハッタリは少し不機嫌そうな顔をして、

『いや、一応俺のバンドだからさ。

別にいいじゃん…。』


はいはいはい。ごめんなさいすいません。
俺が悪うございました。

って言うか、『俺のバンド』と来た、こいつ。


お れ の バ ン ド



来たー!俺のバンド来たー! 

あははははははは!

来ちゃったよ♪俺のバンド♪

みんなに聞いてみようっと♪



俺のバンド。

ヒャッヒャッヒャッヒャ♪

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