chapter13 工事中通行止
そんなこんなで出発。
道中何も無くて一安心。
何回か休憩を挟んで、地図とにらめっこするとどうもあと少しみたいだ。
暑い夏の日だったんで、途中でヘルメットもグローブも外し、Tシャツにジーンズのモッコリ。
ノーヘル上等。カッコいいよ、モッコリ。
最後の休憩。
あと少し走って、目の前の山を越えれば目的地のバンガローに。
結構キツい山道になるけどもうちょいだ。
と、突然の雨が。
そんなに強くないから大丈夫かな。
あとちょっとだしね。
「一気に行っちゃう?」
そうだね。了解。行っちゃおう♪
雨は小雨模様だったんで、ずぶ濡れ回避で山頂付近到達。
と、目の前に道幅いっぱいに置かれたバリケードと工事中通行止の看板。
え?そんなん聞いてねえし。
意味わかんねぇ。
下にお知らせなんか出てたっけか?
「どうする?」
『むしろシカトの方向で。』
「だよね。」
軽やかに看板をシカトして、バリケードの端からやり過ごす俺達。
あとはこの下り道を降りれば目的地に!
テンション上がるよね♪
テンションが上がってるのは皆一緒で。
いつの間にかバイクでの追い抜かしごっこが始まっていた。
何人かに抜かされ、また抜かし返す中で、奇声をあげたり変なポーズをしたりする、いかに笑いを取れるか競争に変わっていた。
抜かす際にウルトラマン乗りをする奴もいれば、スクーターの足を置く所に座る奴もいて皆笑いを取るのに必死♪
皆、超ハイテンション!
「ぅわあーっ!」とか『ひょーーっ!』とか
奇声をあげて追い抜かしをしてる俺たちを見たら、きっと多分皆は新しい病原菌にやられたと思ったに違いない。
気がついたら俺、先頭に…。
すると、先には道一杯に広がる大きな水たまりが現れた。
何か違和感を感じた俺はスピードを落として
止まったんだ。
すると、俺の横を待ってましたとばかりに電光石火の勢いで抜いて行く奴が…。
タイヤが3つあるバイクだ。
モ ッ コ リ 見 参 !
モッコリ以外の仲間は皆スピードを落として
俺に並んで止まった。
すると…
『ふああああああああああああっ‼︎』
ゴルフ場のキャディさんのバイトをやってたモッコリならではの大声をあげながら、両足を45度にV字開脚しながら水たまりに突っ込んで行く後ろ姿が見えた。
星になったモッコリ1号機の鬱憤を晴らすかの様に。
水たまりのど真ん中を突っ走り、
V字開脚した両足の角度と同じ様に水たまりの水が大きく跳ね上がりV字を描く…。
瞬間的にそんな絵が想像出来た。
モッコリは物凄いスピードで水たまりに突っ込んで行った。
大きくV字に跳ね上がる水しぶき。
が。
次の瞬間。
モッコリの姿が半分くらい消えた。
そして、大きく跳ね上がった水しぶきと一緒にモッコリはゆっくりと、ゆっくりと右に倒れながら水たまりに沈んでいく…
水たまりから申し訳ない程度に見えるモッコリ2号機とモッコリ。
そして
ガバーッと水たまりからモッコリ立ち上がる。
仁王立ち。
そしてモッコリ2号機を起こし、水たまりとは言えない深さの水たまりからそのずぶ濡れの身体とモッコリ2号機を引きずり出そうとしていた。
が、思うより深く最後にはブチ切れたモッコリは荷物を放り投げ、バイクを無理矢理引きずり出す始末。
そりゃ重いよね…。
って言うか、そう言う問題じゃないか(苦笑)
小雨模様の夏の夕暮れ時。
水たまりの前で一部始終を見てた俺達。
ずぶ濡れになるのを忘れてしまうくらい、道路に転げ回って笑った。
かなりの時間笑った。
笑い過ぎて死ぬかと思った。
あり得ない。マジで。
工事中通行止
水たまりから生還したモッコリは、あちこち傷だらけで血が出てる。
モッコリ2号機も傷だらけ。
借り物なのに…(笑)
物凄く不機嫌なモッコリ。
引きつってるね。仕草はニワトリみたいだ。
ダメだ。
本当は『大丈夫か?』とか優しい声を掛けてあげるのが友達だと思うんだけど。
モッコリが何をやっても笑える。
面白すぎて笑える。
だってあり得ないでしょ。こんなの。
しかも2日続けて酷い目にあうモッコリって、本当に何者?
あんた本当に凄いわ(笑)
いや、本当にダメだ。
かなりの時間が経った今でも、書きながら笑っちゃうよ。
しばらく続きが書けないわ(笑)
伝説がまた作られた。
ふて腐ったモッコリを皆で謝ったり慰めながら何とか目的地に。
だけどモッコリが居ない時には顔を見合わせるだけで笑ってしまう。泣くレベル。
書きながらまた思い出した(笑)
モッコリ2号機はエンジンがかからなかったんで目的地まで押して歩いて行ったのもまた笑いの種に。
傷だらけで血まみれ。
荷物水浸しの上に、借り物なのにバイク傷だらけ。
しかも前日に愛車が日本最速で星になった。
しかし、伝説を作った男はこのくらいじゃ終わらなかったのは言うまでもない。
モッコリ2号機水没するの巻
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